霧の中の灯台~第4話:地下室の囁き④

4. 母の隠し事

帰宅後、アリシアは母に問いただすことを決意した。幼少期の記憶が曖昧なこと、灯台での体験、そして赤い影。母が何かを知っているのではないかという確信が芽生えつつあった。

「お母さん、レオがいなくなったときのこと、何か知ってるでしょ?」

母は一瞬、何かを言いかけて口を閉じた。その顔は、まるで隠し通してきた何かが露見するのを恐れるようだった。

「そんなこと、もう忘れなさい。あの子のことは事故だったのよ。それ以上は……」

「事故じゃない!」
アリシアは声を荒げた。母の態度は、何かを知っている証拠だった。

「灯台に行ったのね?」母は低い声で尋ねた。
その言葉にアリシアは驚いた。母がそれを知っていることが不自然だった。

「なんで知ってるの?お母さん、何を隠してるの?」

母はしばらく黙っていたが、やがて重い口を開いた。
「あの日、霧の中で何があったのか……私も知りたくないの。でも、あなたは……」

そのとき、家の外からまたしても足音が聞こえた。トン……トン……トン……。

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