霧の中の灯台~第2話:灯台の秘密①
1. 足音の正体
灯台へ続く小道に立ち尽くすアリシアの耳に、トン……トン……と規則的な足音が響く。木々に覆われた道は霧に包まれ、先が見えない。アリシアは恐る恐るその音に近づくが、歩を進めるたびに足音も遠ざかるように感じられた。
「誰かいるの?」
声を張り上げるが、返事はない。ただ霧が濃くなるばかりだった。
すると、彼女の足元に何かが落ちてきた。木の枝から滑り落ちたかのような感触だったが、それは小さな紙切れだった。拾い上げてみると、それは古びたノートのページの一部で、子どものような字でこう書かれていた。
「灯台に来ないで。」
ページは湿っており、いつここに落ちたのかわからない。だが、その文字にはどこか見覚えがあるような気がして、アリシアの胸はざわついた。