霧の中の灯台~第3話:霧の中の囁き②
2. 日記の謎
翌朝、アリシアは不安を抱えながらも、日記をもう一度開いてみることにした。前夜は恐怖で読み進められなかったが、何か手がかりを得られるかもしれない。
「今日は霧がもっと濃くなった。あの人はまたやってきた。僕は隠れたけど、声が聞こえる。」
「お母さんが、もう逃げられないって言ってた。僕はどうすればいいの?」
ページをめくると、文字は次第に乱れていき、最後にはほとんど読めないほどに掻き殴られていた。そして、日記の最後のページにはこう書かれていた。
「僕はもうここにいない。でも、ここにいる。忘れないで。」
その言葉を目にした瞬間、アリシアはぞっとした。まるで、書いた本人が生きながらにして姿を消していったような印象を受けたのだ。そして、その記憶が幼い頃のレオの失踪と奇妙に重なる。