過ぎゆく夏
たまたまベストタイミングで季節の移り変わりの一断面を切り取ることができたと思える写真が三枚撮れたので、今回は駄文はできるだけ差し控え写真を主役とさせて頂きたいと思います。
まず、冒頭の写真がようやく涼しい空気が遠慮気味ながら忍び込んできた多摩川の夕景です。少し前までの圧倒的なボリューム感が影を潜め、薄く平べったい雲が今までより高い位置に広がっています。夏のほてりがようやく冷め、遠くの山の端まで見通せるようになり、隅々まで紅に染まっていく様子が壮観です。
次は大阪出張の帰りに出会った満月です。前日は中秋の名月でしたが東京は天気が悪く月見を楽しむことができなかったため、思いがけないご褒美となりました。雲間から徐々に姿を現してきたのですが、私の経験上地平線から出たての月は特に大きく見える印象があり、雲の覆いが外れた時スーパームーンのように大きく光り輝いていました。道中の淀屋橋の上では、月をカメラに収めようとする人々でごった返しておりました。
そして締めくくりが、多摩川の対岸から上がるフィナーレの花火です。ゴルフの打ちっ放しをしている時に、機関銃のような連続する破裂音が派手に鳴っているなと思ってはいたのです。練習を終え、いつもの路地を辿ると、腹に響く打ち上げの音が続いており、花火のカケラが屋根と屋根の間から垣間見えます。突き当たって土手に上がると丁度クライマックスでした。ゴザに陣取る家族連れ、折り畳み椅子を横に並べて肩を寄せ合うカップル、豪勢な花火にはしゃぎ回る子供たちで堤の上は大賑わいでした。
茹だるような猛暑が続き、それから早く逃れたいとばかり思いがちで、ともすれば足元の時間を疎かにしていたような気もしてもったいないことをしました。ふと足を止めてみると、時は着実に刻まれているようです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?