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年の締めくくり

いよいよ年も押し迫って参りました。毎年この時期になると、来るべき新年に向けた下地を整えるため、年末年始のまとまった休みにどのような活動をしようかと頭を悩ませるのですが、今年は以下の3つを重要課題に据えることにしました。

ゴルフ:素振りバットでの振り込みによる正しいフォームの定着
ドラム:「太陽にほえろ」を教材とした多様な基礎的フレーズの反復練習
文の肥やし:保坂和志「読書実録」の精読と高橋秀実「素晴らしきラジオ体
      操」、島地勝彦「人生は冥土までの暇つぶし」による視点の変更

思い起こせば、昨年も似たような目標を掲げながら、大晦日に高熱で倒れ、三が日は肺炎と格闘、その後も病が尾を引いて約2ヶ月半在宅勤務を中心とする生活を強いられたのでした。今年は目標云々の前に、その基礎である健康に一層留意する必要があるのかも知れません。

そんなことを考えつつ、一方で、一年間伴走を続けてくれた妻とのささやかな忘年会、ならびに新年を出発するにあたっての新たな結束の会についても並行して設定しておりました。忘年会については私が働いている都心部、新年会については生活の基盤となっている小田急沿線の庶民的かつ活気あるエリアにあるレストランをそれぞれチョイス。

全て計画通りことが進んでいると思って迎えた忘年会当日の朝、妻が起きるなり咳き込んでおりました。毎朝5時半起きで朝食準備という生活から解放され、気力によって辛うじて抑えられていた疲れの蓄積がどっと出てきてしまったのかもしれません。聞けば、前日夜、湯船に浸かってゆっくりした後、身体を冷やさぬよう空調の温風にあたっていたら突然咳と痰に見舞われたとのこと。その頃私は既に眠りに落ちていました。

クリスマスからバレンタイン?に衣替え? (京橋のイルミネーション)

忘年会はこれを逃すと来年になってしまうとは言え、当然ながら健康第一なので、つらそうだったらキャンセルすべき、と思っていたのですが、楽しみにしていた妻は無理を押しても行きたい、とのことで、昼間安静にして、咳が人様の迷惑にならない範囲で治まっていたら、という条件付きで夕方まで様子見をすることにしました。

私としても半ば行きたいという気持ちはありつつ、どうしたものかと悩みながらも、結局は自分の欲望に流され、床に臥せる妻に必要な水分や果物などの採りやすい最低限の食糧を置いて、ゴルフのフォーム固めを予定通り進め、近くの貸しスタジオで太陽にほえろに合わせたドラム練習もこなして、夕方を迎えました。

寝室に行くと、どうやら妻は何とか行けそうな雰囲気です。いつもより余計にスカーフやらコートを着込んで、澄み渡った冷気の下で光り輝く中央通りに向かいました。かつて妻が勤務していた会社にもほど近いそのレストランは、同窓会を開催する年配の方々や階上の宿泊客と思われる様々な地域から来られた外国人、大所帯の家族連れなどで賑わっておりましたが、奥まったスペースを確保してくれたお陰で、我々は夫婦水入らずで2024年振り返りを行うことができました。

窓辺に目をやると歴史を感じさせる明治屋の建物が大人の街角を演出しています。年初は肺炎との格闘、夏に大阪から東京への転居と我々夫婦にとってもそれなりに動きの大きな一年でしたが、周りを取り巻く環境はそれよりも更に大きくある意味過酷な変化を続けております。そんな中でも、ささやかではありますが、常に私の居場所を整えておいてくれる妻を気遣いながら、ちょっとしたサプライズであったメキシコのファヒータを思わせるラム料理に至るまでコース料理を堪能させて頂きました。

妻はこのまま体調を取り戻すのか、或いは昨年の私のように病に沈んでしまうのか。健康を礎とせねばと一旦は肝に銘じながら、そして本来であれば身を挺してでも労わるべき妻に対し、無責任にも、それは明日の朝を迎える迄分かりません、と運を天に任せてしまう私。妻よ、どうしようもない夫ですみません。でも、また来年もよろしく。

幸運にも窓辺の席に (Dining&Bar Lavarock (京橋))


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