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塗る亜鉛建築:墨の家<インタビュー>

『墨の家』は施主様のご自宅兼書道教室として建築されました。

設計監理された一級建築士事務所 group-scoopの安河内さまのインタビューも織り交ぜている記事ですのでぜひご覧ください!!

設計監理:一級建築士事務所 group-scoop
施工会社:株式会社アルク建築


さび止めのローバルが内装で?

と思われた方がいらっしゃるかもしれませんが、、、実は、、、

こちらは塗装最中の様子です🎵

OSBボード(Oriented Strand Board:配向性ストランドボード)<以降:OSB>に塗装しておられました!!

今回お使いいただいたのは弊社のマットカバーです。

実際にマットカバーとローバルを並べてみたものがコチラです。

マットカバーは上記のように一瞥すると「黒灰色」を呈する製品です。。。

しかし、、、

さっそく建物内部へ!!

玄関すぐのマットカバーを塗布したOSB壁面

写真では明るめのグレーに見えるのですが、実は黒灰色のマットカバーをお使いいただきました!不思議なことに光源によって全く違う仕上がり(明るいグレー)に見えています。

『本来の色という見た目』に光の強さ表面の凹凸、見る人の体調によって様々な表情が見られる素材の底力を存分に活用された秘話をお話しいただきます。


ーーーマットカバーの採用を検討した出発点は?

<安河内氏:以下、安河内>
「書道教室という建物の性質上、壁への墨の付着が絶対的に起こりますが、一度付着した墨を完全に拭き取ることは、よほど表面が平滑な素材や塗装でない限り難しく、経年により、墨の汚れが増すことが予想されました。」

ーーー幼い頃に書道教室に通っていましたが、至る所に墨汁が飛び散っていたことを思い出しました。。。確かに墨を拭き取るのは難しそうです。

<安河内>
「汚れない壁をつくるより、この『汚れ』が単なる汚れでなく『趣』に変わらないか?『汚れ』が重なるほどに奥行きが増す、そんな壁が目標でした。」

ーーー『汚れ』が重なり奥行きが増して『趣』に、、、深いですね。。。

<安河内>
「書道で使う水墨のように、墨の量や筆の運び方、光の当たり方などで発生する趣のある自然な濃淡や奥行き感をどうにか表現できないか?という想いが芽生え、『最初から墨汁で染めてしまうか?』という発想で検討をスタートしました。」

ーーー墨汁での試行錯誤の結果はどうでしたか?


<安河内>
「墨汁を直接塗ってみるなどいろいろと試作を重ねましたが、OSBの表面は接着剤の層があり、そもそもうまく色が乗りません。」

「とはいえ、ペンキをベタ塗りしても普通には濃淡は現れませんし、だからといって、わざとムラを描くのも違うなと思いまして。」

「しっかりと色が乗りつつも、自然なムラや偶然的なグラデーションを表現できる素材、、、を思い浮かべたとき、頭に浮かんだのがローバルでした。」

”塗る亜鉛” ローバル


ーーー偶然的、、、とは実際どのようなことがあったのですか?

<安河内>
「そんな折、タイミングを同じくしてダイニングのペンダントの作者である陶芸家の友人からとても興味深い話をうかがうことができました。」

「彼(陶芸家の友人)の作品は様々な鉱物を含んだ土と様々な釉薬を焼成して偶然におこる化学変化により独特のテクスチャや偶然的なグラデーションを生み出すとのこと。」

ダイニングのペンダント

<安河内>
「それは良くも悪くも予測不能の化学変化であり、釜に入れた後は作者にも全く結果が読めない、そんな偶然の産物だそうです。」

「陶芸と異なって焼成による化学変化こそ難しいですが、土に含まれる鉱物により予測不能の反応を起こす陶器のように、

亜鉛という同じく鉱物の集合体であるローバル凹凸の激しいOSBと重ねれば、OSBの凹凸により複雑な光の当たり方を生み、そこにもともと多彩な表情をもつローバルが加わることで似たような予測不能の化学変化が起こるのでは?と、想像が確信に至った瞬間でした。。。」

ーーーマットカバーが全く黒くない明るい表情ですが、、、

<安河内>
「これまでの使用経験よりローバル(マットカバー)は亜鉛の粒の集合体であるがゆえ、季節や時間帯、光の当たり方などで激しく色味を変える素材であることはすでに知っておりました。」

「また、ハケ跡など、塗布の軌跡による良い意味での趣あるムラが発生することも把握していましたので、そこに下地としてのOSBの凹凸のテクスチャと、木材のもつ不均質な色味や表情というもう1つのレイヤーが加わることで、さらに複雑な変化が起こるのでは?と期待した次第です。」

「言ってみれば、木片の集合体と亜鉛粉の集合体のコラボですね。」

ーーーなるほど、、確かに光の加減で複雑な変化が起きてますね。

『無塗装のOSB』と『マットカバーを塗布したOSB』を組み合わせアクセントとしてご活用
黒灰色のマットカバーですがOSBの凹凸も相まってさまざまな表情が垣間見えます。

亜鉛の粒の集合体としての特徴を存分に活かされています。。。


ーーーえっ!?仏間がキラキラしている?

左手には仏間があります

さて、この仏間ではOSBにメッキカバーを塗装!!

メッキカバーはこちらです🎵
左がメッキカバー塗装箇所、右がマットカバー塗装箇所

ーーーメッキカバー採用に至るまではどのような感じですか?

<安河内>
「すぐにOSBに塗装することをローバル株式会社さんに相談し、幸いなことに興味をもっていただき、驚くほどの数のサンプルをつくっていただきました。」

お手製の塗装ブースにて塗り方や質感チェック!
光源による比較(太陽光)
光源による比較(屋内照明)

今回はさまざまなサンプルをご覧いただき、お仏壇の入る仏間にメッキカバーをご採用いただきました!!


ーーーさて、他のお部屋は?

リビングを中心にキッチン、サニタリースペース、クローゼットなどへのアクセスもバリアフリーで小さなお子様〜ご高齢の方でも安全な動線が確保されておりました。

個々の空間においては、間仕切りを設けプライベートな空間も確保できるように設計されています!!

リビングにいるだけで人の温度感が感じ取ることができて、木材に包み込まれた空間に佇むだけでほっこりと優しい気持ちになれました。

また、黒灰色一色の空間に囲まれれば、本来なら黒の重厚感を感じてしまうかもしれませんが、光の加減で様々な表情を見せるため重厚感だけでなく、灰色の持つ洗練された気持ちを落ち着かせるような感覚になり、書道教室に必要な集中力が自然と高まるような印象を受けました。


ーーーご採用後の感想をお聞きしたいのですが?

<安河内>
「まさに御社と当事務所のコラボ作だと思っています。結果は期待以上に複雑でした。」

「季節や時間、光の当たり方、照明の具合、見る側の体調(眼の具合)によっても都度その色味が変わります。実際に眼で見た色味と、カメラにとどめた画像の色味との違いも驚くほどの差があります。」

「竣工後約1年が経過しましたが、その趣は減速することもなく、むしろさらに濃淡が増してきたようにも思います。」

「書道教室による墨の汚れも全く違和感なくマットカバーと馴染んでいます。それどころか墨というもう1枚のレイヤーが加わったようで、
さらに複雑な色味に変化しつつあり、今後の経年変化がより楽しみです。」


撮影を終えて

OSB(木材)とローバル製品の融合を体現した”墨の家”
さび止めという選択肢ではなく仕上げ材としてご活用いただいたことで、
改めて”塗る亜鉛 ローバル”の可能性を感じさせていただきました。

一級建築士事務所 group-scoop 安河内さま、西岡さま、ご協力いただきましてありがとうございました。
一級建築士事務所 group-scoopさまのHP


こちらは福岡県糟屋郡にある物件です。

のどかな田園風景も広がっているところもありますが、空港も近くにあり博多駅からの利便性も良い糟屋郡に”墨の家”がございます。


安河内さまはこの他にも”日立 ハコフネ”でもローバル製品をお使いいただいており、自然由来の亜鉛の変化をご活用いただいている「ローバルヘビーユーザー」です!!

<記事作成:RSK>


↓マットカバーが採用された物件はこちらから↓


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