コーヒーの生産背景:訛伝と事実確認(Semilla’s Message)
こんにちは、ROUTEMAP COFFEE ROASTERSです。
今回の記事では、カナダのコーヒーインポーター「Semilla Coffee」より届いたレポートを日本語に訳し、内容を共有していきたいと思います。
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1)生産情報の訛伝と真実
スペシャルティコーヒーを購入する際、消費者はロースタリーが表示する生産背景、そしてロースタリーは生豆輸入業者が表示する生産背景を参考にしていると思います。
コーヒーがどの地域で生産され、どの精製方法で処理され、どの品種が収穫され、どれくらいの標高で栽培・収穫されたのか。そして生産に至るまでのストーリーなど。
提示する情報は販売する事業者でそれぞれですが、残念なことに、そこに表示されている情報が誤った内容であったり、ニュアンスの異なる書き方で表されているケースがスペシャルティコーヒーの業界ではまだまだ多くぞんざいします。
これからお伝えする内容に(批判を承知で)例を挙げて、この問題について警告をする大きな理由は、コーヒー生産地の中でも「あまり知られていない」地域の小規模生産者について、コーヒーインポーターが情報を掲載する際に誤った認識で掲載し消費者に共有しているパターンがよく見られるからです。
これまで我々が発信をしてきたグアテマラ/マタケスクイントラの情報に関しても、調べてみると非常に多くのコーヒー事業者が誤った情報や問題のある表現、言葉などを用いて発信をしていることが以下の3つの例からわかります。
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例えば下の例1)のページでは、とあるコーヒーインポーターがグアテマラのコーヒー生産地域について解説されているのですが、コーヒー栽培地域の内訳でハラパ州について全く触れていないことがわかります。
“Fraijanes/フライハーネス”(全く別の地域)という見出しで括られていますが、さらにFraijanesの説明についても一切されていません。
例1)
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例2)では、マタケスクイントラのとある土地所有者(いわゆる大地主)が、地元のコーヒー生産者からパーチメントとコーヒーチェリーを直接購入し、このインポーターへ販売しているということを説明しながら、その大地主が450もの小規模生産者グループを「創設した」と評価しています。
しかし、その大地主の実際は、コーヒーの地元相場よりは高い価格ではありますが、推定の生産コストよりも低い価格で生産者からコーヒーを買い集め、さらに独占的に購入することで、マタケスクイントラの小規模生産者から新たな買い手を寄せ付けないようにしているのです。
ちなみにこの地主の名前は、他の生産者のコーヒーを販売する際に少なくとも 5 回は出てくるとのことです。
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例3)の大規模なインポーターは、ハラパ県産のコーヒーについて解説しています。
しかし、このインポーターは、ハラパの生産者について語るのではなく、ハラパの品質はフエフエテナンゴやアティトランなど有名な地域とよく似ていることを強調し、ロースターに対してこのコーヒーがいかに「価値のあるコーヒーであるか」について強調をしています。
一見ポジティブな表現として書かれているのでしょうが、名前がよく知られていないことを引き合いに「有名な地域のコーヒーよりも低価格であり高品質」であることを価値として見出すことは果たして前向きであるのか、疑問が残ります。
2)事実の確認:どこから買うのか、正しく見極めて選択をするために
先ほどの例3)に関して言うと、このようなパターンは些細なことに思えるかもしれませんが、コーヒーのサプライチェーン上に存在する中間業者が使う言葉の選択には、小規模生産者にとって非常に大きな意味があるのです。
消費者によく知られていてかつ、販売にあたって有益なブランドとなる生産地の情報ばかりを主張し、あまり知られていないコーヒーの生産地を省略することーーーつまり情報の抹消は、サポートしていく前段階からその地域全体の可能性を奪ってしまうのです。
小規模生産者の生計をその土地の所有者のものと決めつけることは、彼らから認識やコミュニティへのつながり(または市場へのアクセス)、そして利益を奪ってしまいます。
価値ある買い物をするために、十分なサービスを受けていない生産者を搾取すること、これは非常に明白なことです。
生豆、焙煎豆共にコーヒーを購入する際には、インポーターまたはロースターがどのように言葉を使うか(あるいは使わないか)、どれだけ正確な情報をシェアしているのか。よく観察することをお勧めします。
そうすることで、カップの背景について多くのことがわかり、時間の節約にもなります。
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この内容について、代表のBrendanとメッセージを交わすうちに、日本のコーヒー市場に共有されている情報量の狭小さを実感しました。
言語なのか、現地とのコミュニケーション量の差なのか…分かりませんが、今ではあらゆる手段を用いて情報を獲得することができます。(見極めは十分に必要ですが)
われわれコーヒーロースターは直接消費者と関われる立場にいるものとして…
まずはしっかりとコーヒー生豆を仕入れる中間業者がどのような信念をもっているのかを知ること。
さらに購入を選択するコーヒーの生産の背景を能動的に考え、深く調べていくこと。
コーヒーを提供する上で特に意識しなくてはならない、大切なプロセスであると思います。
小規模コーヒーショップ【ROUTEMAP COFFEE ROASTERS】
地元千葉県での焙煎所の開業を目指しながら、千葉市稲毛区にて
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