苦あれば楽あり
寝違えた。
起きた時、左の首がほとんど回らなかった。
自転車でカフェに向かう途中、左折したときがあった。
首をちょっと左向きに回して後方を確認すればいいだけなのに 思うように首が回らない。
仕方なく、首を固定したまま不自然に上半身ごと左に捻ると、視線の先で、まるで口笛吹きながらパンツ一丁で花壇に水をやるおっちゃんと目が合ってしまった瞬間のように驚いた顔をしている、車に乗った老夫婦と目が合ってしまった。
すかさず体を右に捻る。
もし右の首も寝違えていたら このときも不自然になっていたに違いない。
その後痛みは悪化したので、歩いているときに斜め左後ろにいた友人たちと話すときには、回れ右をして話す始末。いざ言いたかったことを言おうとしたときには、話題はすでに次に移っていた。
心が折れかけていた帰り道、アリを見た。人知れず懸命に働く、アリ。 そのひた向きに生きる姿に心を打たれ、寝違えた結果起きたできごとに嘆いていた自分が、ちっぽけに思えて恥ずかしかった。
人生、苦あれば楽あり。
明日からまた頑張ろう!