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【失敗の法則】衰退・消滅する企業に見られる7つの傾向
GenZeeは、これまで7回の転職、M&Aや出向まで含めると10社での勤務経験、そして、数百もの深く関わった事業提携先企業や出資企業、などを通じて、数多くの会社を中から観察してきました。
その経験から、徐々に、一時的には繁栄していたものの、その後、「衰退や消滅してしまった企業に見られる傾向」、すなわち、”失敗の法則”が見えてきました。
このテーマは多くの書籍が出ているテーマですが、自身の経験から極めてシンプルにまとめると、以下の7つに絞れると考えます。
1. 市場の変化に対応しきれなかった
市場の変化に気付かなかった、気付いていたが適応できなかった、対応したが手遅れだった、というケースが多々あります。
事業領域を取り巻く社会には、常に、しかし、気付かないほどに緩やかに、大きな変化が起きます。
ITの発達、ボーダレスとなった世界、モノからサービスへの消費のシフト、所有から都度利用、都度買いからサブスク、ウェブからアプリ、DX、フレキシブルワークスタイル、リアルとオンラインの融合、メタバースの流行と飽き、AI席巻とその先、などなど。挙げたらきりがありません。
このような社会の変化と、それに引き続いて起こる顧客ニーズの変化に対応し切れない企業は、その大きなうねりが静まった時、気付いたら衰退していた、というケースを見たことがあるのではないでしょうか。(消えた会社のことは忘れがちなので意識しないと気がつかないもの)
また、少しニュアンスは違いますが、市場への投入が早過ぎた、というケースもあります。市場への投入タイミングは重要ということ。手遅れもまずいけど、早過ぎても失敗することがあります。
AOLはブロードバンド時代への適応が遅れた。Napsterは早過ぎた・・。
2. 模倣が容易で価格競争に陥った
特許で保護した事業モデルや知財に乏しく、根性とスピードで勝負などというケースに見られがちな、後発参入企業に負けるパターン。
スケールや既存のリソースを活かして低コストで参入した企業が、時間をかけて、じわじわとシェアで追いつき、追い越す…。
小さなIT企業や、かつて韓国や中国企業に負けてしまった家電メーカーなどが思い浮かびます。
3. 過去の成功や一本足事業に依存
運やタイミングや(その時点での)ユニークさで、爆発的ヒットをした商品というものはあります。が、案外その商品を産んだ企業のことは知られてなかったりします。それくらいに爆発力のある商品をリリースしたことは素晴らしい。でも、その一本柱の事業、商品だけに頼っていると、いつか衰退の入り口に突入します。100年続く企業はあれども100年続く商品というものはなかなかありません。とらやの羊羹くらいでしょう。
そのような事業やサービスが、絶好調の時に、そのキャッシュカウからの資金を元に、第二、第三の柱を準備していくことが欠かせません。
一本の杖より二本のストック、二本脚より三本、四本の椅子の方が安定することと同じです。
4. 船頭多くして船山に登る
対等な割合で出資する複数の企業株主が経営を握るケース、小さな会社なのに数多くのCxOがいるという会社は、危険です。事業が順調に伸びているときは良いのだけど、一旦業績が悪化すると、歯止めが効かなくなります。
対等な比率で出資している企業から”派遣された”役員の間で意見がまとまらなかったり、”持ち帰り検討”が多く、決めるべきことを決めれない。落ちている原因分析をする人は多数いるが、その解決策を提案し、かつ実行する(責任を取ると言う)人が現れない、という状態に陥りがち。
CTO、CIO、CDOがいる会社で、システムの設計ミスで個人情報漏洩が発生した場合に、誰が責任者なのか、GenZeeには分かりません。
5. 顧客や取引先の声を疎かにした
カスタマーサポート部門、今ならカスタマーサクセス部門を軽視したり、現場からの意見、提言を軽視する経営陣。取引先に対して高圧的だったり、常に遅刻してくるような傲慢な外部交渉部門責任者。
こういう文化の会社は危険です。
業績の良い時、何事もない時には順調でも、乱気流に入った時、取引先や顧客は温かく応援してくれません。
6. 建設的でない社内批判が横行
経営陣だけが悪者でもありません。匿名による経営陣や会社への批判、露骨なマネージャーへの反抗とそれを許す人事という歪んだ空気が蔓延する会社も危険です。立ち上げ時の採用で失敗したスタートアップに見られがちなケース。
自分もその船の一員(いやむしろ勇気ある起業家が作った船に便乗しているだけ)であるという意識が欠如した社員が多数派を占める前に、手を打っておくべきです。
7. 計画性の無い人員と経費の膨張
人も会社も、浪費癖、見栄っ張り、ブランド志向は凋落への一歩となります。
まだ赤字なのにやたらとパーティーをする、大した目的もないのにビジネスクラスで飛び回る、身の丈に合っていない立派な自社ビルを建てる。そういう会社は危険です。
綿密な事業計画に基づいた人員増強ならもちろん良いのですが、計画性なく、大きな会社にしたい一心で、売り上げは大きくないのに人数が多いスタートアップ。経費の無駄遣い、交際費比率が高く規律が低い大企業。
これらの悪い文化は、じわじわと会社の成長を阻害していきますし、一旦染みついた習慣はなかなか変えられません。激薬のリストラや経営陣刷新などをしないと、衰退の坂を下ることになります。
■まとめのキーワード
以下の4つのキーワードで表わせられます。
「市場性」・「固執」・「内向き」・「浪費」
逆に言えば、上記7つの失敗の法則やこれらの4つのキーワードの逆を行けば、企業の成功確率が上がるというもの。
また、これを個人に当てはめても、「人生の凋落を避ける」ためのヒントになるのでは、と思います。
主には企業に勤めるビジネルパーソンにとっては、自分の時間と人生を捧げるに値する会社かどうかを見極めるヒントとして、また、これから会社を大きくして、消滅しない会社作りをしようと努める起業家の方々にとっては、その会社作りのヒントとして、参考になれば幸いです。
以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。関連するこちらの記事もご覧ください。