好きな小説家を語る① 森見登美彦さん
◎はじめに
さて、前回の投稿からだいぶ間が空いてしまいました。多分いないと思いますが、楽しみにして毎日確認してたのにーという方がいたら申し訳ありません。
「歴史小説を語る②」をお届けする予定でしたが、少し予定を変更して、「好きな小説家を語る① 森見登美彦さん」 を今回の題材としたいと思います。どうぞお付き合いください。
◎森見登美彦さん
・有名な方ですが……
ご存知の方も多いと思いますが、この方はどのジャンルの小説家だ、ということを定義するのが難しいように思います。
「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「夜行」あたりはファンタジーと呼んでも差し支えなく、ファンタジー作家、というのがおさまりが良い気がしますが、「夜行」などはSFチックなところもあるほか、「太陽の塔」「恋文の技術」などは恋愛小説と言ってもよく、作品群全体がある意味コメディと言っても間違いではない気がします(私見)。また、奈良県出身、京都大学卒ということで、近畿地方のバックグラウンドが作品に大きな影響を及ぼしていることも大きな特徴です。
いずれにしても、山本周五郎賞受賞(個人的に受賞作にハズレが少ないと思います)、本屋大賞候補、直木賞候補にも何度も選出されるなど、とにかく面白い作品を描かれる方です。
・作品紹介
◎図を作ってみました。
一応言っておくと、ここに書いてある8冊は、完全に独断と偏見により選出した、私的ベスト8です。「熱帯」「ペンギン・ハイウェイ」あたりが入っていないことに疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、もうこれは好みの問題ということでご理解ください。
この8冊に順位をつけても良かったのですが、それも野暮かなと。
おおまかに、出版年が古いものが左に置いてあります(順序は合っていますが、期間が表現できているわけではないです)。
・図(の左の方)の作品について
「太陽の塔」「夜は短し歩けよ乙女」「恋文の技術」「有頂天家族」「宵山万華鏡」を第1期みたいな括りにしてみました。
どれも森見成分(なんだそりゃ)が存分に堪能できる作品かなと思います。
個人的な好みで言わせてもらうと、「夜は短しー」が1番のお気に入りです。おそらく7、8年前が初読ですが、それから10回以上読み返した作品だと思います。
不思議なことが起きてもおかしくない、と思ってしまう、舞台としての京都。黒髪の乙女(と主人公)の軽妙な語り。小説としての魅力が詰まっています。
「太陽の塔」もタッチは似ているのですが、デビュー作ということもあってか、未完成感がありますが、それだけに、太陽の塔の鮮烈なイメージ、ファンタジックな世界観が際立ち、味になっているように思えます。
もう一つ、ここに「宵山万華鏡」を入れたことについて言わせてもらいましょう。短編集であり、代表作と言われることは少ないですが、
ほんとに好きなんです、これ
「宵山姉妹」に始まり、全収録作を通して独特な世界観に引き込まれます。コメディ要素は薄めで、ファンタジー、ちょっとホラー(ではないか?)な雰囲気もあり、他作品にはない魅力を感じられる短編集です。
白眉は「宵山劇場」。最後の一言が忘れられない。なんともいえない幸せな気持ちになりました。
・残りの作品
なんと言っても「夜行」ですね。
「宵山万華鏡」の方向性を突き詰めた感じで、「夜は短しー」が昼なら、「夜行」は夜の不思議を凝縮した印象。全く違う方向ですが、これも本当に、心に残った作品です。あまり詳しいことは言いたくないですが、人生の不可思議性というか、可能性というか、そんな言葉が個人的には浮かびました。
◎まとめ
まあなんというか、もう読んでほしい。人気のある作家さんなのでよくご存知の方も多いとは思いますが、私のトップ10に入るほど大好きな作家さんなので、紹介させてもらいました。本当に、どの作品も魅力があるので、未読の方は読んでみてほしいです。
次回の題材はどうしようか、全く未定です。いつになるかわかりませんが、小説を語るか、一度閑話休題、別のものを挟むか、まあとにかく駄文にお付き合いいただければ幸いです。