【サタスペ】微妙な処理 ~これってどうなの?~ 2024/11/04追記
ドーモ、マーズです。
サタスペというゲームは、複雑さゆえか、書き方の問題ゆえか、自然言語の限界ゆえか、ルールブックを読んでも一意に確定できない処理が発生することが多い。
例えば恋愛情報ハプニングの出目12、でかでかと「生命の誕生。子供ができる」としか書いていない結果など。【子持ち】の代償をつけるのが妥当だと思われるが、本当にそれでいいのか、ルルブは何も答えてくれない。最終的にはDDの判断に任せるしかない。
プログラムであれば例外を吐いて停止するような場合でも、人間であれば柔軟に例外を処理して続行できる。それこそTRPGの醍醐味の一つでもあると思う。しかし、どのような処理が例外的なのか、予め把握できていた方が負担は少なくて済むだろう。
というわけで、この記事ではそのような例外処理を含めて、どのように裁定するか断言できないケースを集めてみた。とはいえ、ルルブとサプリを一言一句把握しつくしているわけではないため、あくまで私が確認した限りでは、という留保を着けさせてもらう。ここに書かれているからといって、どこを見ても一意に解決できないケースであることが絶対に保証されるわけではないので悪しからず。また、そのような場合にどのような裁定を下すべきか、自分なりの判断も可能な限り付け加えることにする(あくまでも例として)。例外処理は無数に存在し得るので、発見次第追記していくことにしたい。
なお、公式の記述から明確に答えが出せるものについては、別の記事(https://note.com/rotten_marz_3rd/n/n1b9b1be68651)で述べているので、こちらもご確認いただきたい。
追加情報や訂正などがあれば、遠慮なくお教えください。
(C)冒険企画局/新紀元社/河嶋陶一朗と速水螺旋人と暗転丸と池田朝佳とイケダサトシと泉信行と魚蹴と岡野繁浩と齋藤高吉とdczとぺらねこと吉井徹 「アジアンパンクRPG サタスペ」
「準備状態」は手に持っている状態なのか
「両手」つきの武器を2つ同時に準備して片方だけ使う場合、「両手」のペナルティは適用されるのか?
裁定1:準備状態はすぐに撃てるようにしてるだけ(安全装置解除してスリングで吊るしてるなど)
裁定2:それを許可したら「両手」が無意味になるので、準備状態=手に持っている
麻薬カテゴリのアイテムの「効果時間」はいつまでか
特に【酔拳】を使うときに問題になる。「お酒」のようなものは特にダイスで効果ターンを決めるわけでもないので、どのように解釈するべきか?
裁定1:「お酒」で好みが変わるのはセッション終了時までだから、セッション終了時までずっと
裁定2:「お酒」を使用したラウンドだけ適用する
苦力が持っているアイテムは使用できるのか
苦力に持たせているアイテムや、おたから「鉄壁のトランク」に入っているアイテムは、その状態のまま使えるのか、それとも一度一般装備に移動しなければ使用できないのか。
例えば苦力が持っている「お酒」は使用できてよいのか、苦力に持たせている武器を血戦中に使えるのか、など。計画フェイズ中なら、持ち替えを繰り返して一時的に通常装備に移して使用、また苦力に持たせて元通り、で可能に思える。
特に、「鉄壁のトランク」の中にあるアイテムは「破壊」することができない(基本p.92)が、使用が「消費n」のおたからは、n回使用すると「破壊」される(基本p.82)。もしトランクの中にあるまま使用できるならば、消費型のおたからは無限に使えてしまう。
「装備」の範囲はどこまでか
上記の疑問点と関連。
使用が「装備」になっていて「部屋」の特殊機能がついているアイテムが存在するので、「一般装備」と「装備」は別の範疇であることは確定でよいと思われる。
では苦力が持っているアイテム、「鉄壁のトランク」の中のアイテムは「装備」状態なのか。
例えば「へそくり」を苦力に持たせていた場合、効果を発揮するのかどうか。
他には、銃俠の条件の一つである「価格が6以上の射程が射撃の武器を3個以上装備している」は、アジト装備も含むのか、苦力が持っている分や隠し棚に入っている分、乗り物の分も含むのか。
【仁義なき戦い】使用ラウンド中に反応攻撃は可能なのか
【仁義なき戦い】で血戦を開始した場合、同異能を持たないキャラクターは、最初のラウンドに一切「行動」がとれない。これについて、「行動」とはなにか、という質問に対して、河島陶一郎先生は以下のように答えている。曰く、血戦中の移動や跳ぶは行動なので不可能だが、セーブ判定は可能と。
では、反応攻撃はどうなのだろうか。反応攻撃は「行為判定」とあるが(基本p.59)セーブ判定も行為判定なので(p.61)、行為判定は必ずしも行動ではないと思われる。しかし「行動」についての定義がルルブやサプリ中には見当たらないので、DD裁定になるのではないかと思われる。これはモラル判定で「迷」になった場合も同様だ。
ちなみに「律」の場合は「攻撃フェイズに射撃や格闘を行うことができなくなる」(基本p.61)とあるが、反応攻撃は「射撃」「格闘」のどちらでもなく、「命中判定を行う」としか書かれていないので、可能と解釈できる(なおその場合、「突撃攻撃」も同様なので、律でも突撃攻撃ができてしまうことになるというオマケがつく)。
【反撃】持ちに突撃攻撃したらどうなるのか
殺し屋の異能【反撃】は対象が「自分を攻撃した単体」、説明文中にも「誰かが自分を攻撃してきたとき」と、ふわっとした書き方をしている(基本p.100)。突撃攻撃も「攻撃」であることには違いないので、反応攻撃の判定をした後、さらに反撃の判定をするのだろうか?
「抱き締める、キスをする」でワープするのは成功度いくつのときか
これは有名なやつだが、ロマンスの「抱きしめる、キスをする」は割り込みの行動で、「判定に成功すると、相手と同じマスに移動する」副次的効果を持つ(基本p.66)。それを狙って、計画フェイズや血戦中にワープ目的で使用されることも多い。しかしこの行動は必要成功度が4となっているため、「成功」の定義が二通りに解釈できてしまう。
裁定1:成功度1で判定は成功なので、1成功すればワープする
裁定2:必要成功度は4となっているので、4成功しなければワープしない
RPG-7に【銃劇】を組み合わせることはできるのか
殺し屋の異能【銃劇】は「複数の目標に対し、射撃を行うことができる。そのとき、(中略)個別に命中判定を行うこと」(基本p.100)とあるので、射撃の命中判定に組み合わせることができることがわかる。そしてRPG-7は射程が「射撃」、そして特殊機能「爆発6(強制)」があるが、「爆発」の説明には「命中判定に成功すると」とあるので、強制爆発であろうと、射撃の命中判定を行うことに変わりはない。
要するに、これ以外の何らかの要素がなければ、RPG-7の命中判定に【銃劇】を組み合わせて、一個のRPG-7で複数の弾頭を放つことは、ルールとデータの上では禁止できないように見える。しかし私がDDで、PLからそのような提案をされたときは、恐らくこう言うだろう――「お願いだからやめてください」
情報収集ルールにおける場所の趣味について
マップ上のそれぞれの場所には、趣味に対応するタグが設定されている。それによって情報収集のリンク判定に修正が入るのだが、修正の条件について二通りの記述が基本ルールブックに存在している。
一つはp.51の真ん中の列、「リンク判定の難易度への修正」の表で、リンク判定の対象トピックのタグと場所のタグが一致していると難易度-1となる。
もう一つはp.146左下、「■地図」の「●趣味」の項目で、場所のタグと同じ趣味を持っているキャラクターがリンク判定を行うと難易度-1となる。
裁定1:この二つは矛盾する内容ではないため、両方適用する
裁定2:後の記述の方が優先されるため、二つ目の効果のみ適用する
ふとんを使って車で寝る場合、快適度減少はあるのか?
ふとん(基本p.79)……乗り物で睡眠できる日用品。〔快適度〕は乗り物の〔荷物〕の値を使用する。よくガラクタ表で出て捨てられる。
睡眠時の〔快適度〕については、キャラメイクのページ(p.27右上)に記載がある。これはアジトの〔快適度〕についての説明であり、乗り物で睡眠するときの快適度については何の説明もない。これらのルールとデータをそのまま適用すると、乗り物で睡眠するときの回復精神点は必ずその〔荷物〕の値と同じになり、乗り物にどれだけアイテムが積まれていても、また乗り物で別の人が睡眠を取っていても減少しないということになる。
裁定1:上記のように〔荷物〕の値で固定値とする
裁定2:アジトと同様の処理を適用する(その場合アジトの〔生活〕にあたる値をどのように設定するべきか?)
そもそも大抵はアジトで寝るのでふとんが使われることは少ないが……。
特殊機能「部屋」つきのアイテムについて
アイテムを購入した際、通常は〔通常装備〕欄にアイテムが追加される(基本p.55)。
特殊機能「部屋」がついているアイテムは、「〔通常装備〕欄に書き込むことが不可能なため、アジトでのみ使用できる」(基本p.72)
これらのルールをそのまま適用した場合、「部屋」アイテムは購入できなくなってしまう。そのため、購入時即座に〔アジト装備〕になると裁定するのが妥当だろう。
では「部屋」の機能が付いたアイテムは、他のPCと受け渡しができるのだろうか? アイテムの受け渡しについては同じくp.72の同項目に記述があり、計画フェイズで同じ場所にいれば、「自由にアイテムを交換することができる」。これについて〔通常装備〕や〔アジト装備〕の区別はない。アジト装備のアイテムなども自由に交換できるのだろうか。
アジト装備について、基本p.27には〔通常装備〕と〔アジト装備〕のアイテムの持ち替えについて記述があるものの、PC間での交換に関する記述はない。
裁定1:アジト装備も自由に交換できる
裁定2:〔通常装備〕欄のアイテムしか交換できない(この場合、「部屋」の特殊機能がついたアイテムは購入者が持ち続けることになる)
スペスペの趣味的武器拡張ルールについて
スペスペp.5には「趣味的武器拡張ルール」がある。実はこれには、「趣味的武器表」の、自分の持つ趣味に対応する同名のアイテムを持っている場合、それを趣味的武器として使用できる(例えばゴシップの趣味を持っているなら日用品の「カメラ」を趣味的武器として使える)というルールの記載がある。
これについて、同じく「趣味的武器拡張ルール」にある「趣味ポイント」や「趣味的武器の投射」ルールは適用されるのだろうか。
そもそもこのルールが価格の壁を越えて趣味的武器を持てるので割とやべえルールではある。「ゴシップ」の「カメラ」や「パフォーマンス」の「ロープ」(いずれも価格2)が趣味的武器としても使えるならば、〔生活〕2で趣味的武器(価格3)を維持できるということになるからだ。
【阿修羅】と「フルオート」の組み合わせについて
殺し屋の異能【阿修羅】(基本p.100、鉄鉄p.33)は、両手に持った武器の好きな数値・特殊機能を使用できる。ただし射程は短い方を使用しなければならない。また、武器の特殊機能「フルオート」は、基本p.75によれば「通常の射撃の代わりに」フルオート攻撃ができる。
そこで片手に射程が格闘の武器、もう片手にAKなどのフルオート機能がついた武器を持った場合、射程は格闘だが、フルオート機能は使用できるのか。
裁定1:射程が格闘になるので、フルオートは使えない。
裁定2:フルオートは普通射撃武器にしかついてないという前提にもとづいた記述であり、意図としては通常攻撃の代わりであると解釈して許可する
もっとも、ダメージ修正11、命中7みたいな攻撃をフルオートされたらバランスがぶっ壊れてしまうので、DD的には許可したくないかもしれない。それにフルオート攻撃がしたいなら奥義【旋風脚】を覚えればよい。
同じ陣営での誤射について
誤射は、格闘状態にあるキャラクターを外側のマスから攻撃した場合に発生する(基本p.59)。そして格闘状態は、「敵対的なキャラクターと同じマスに入った場合」発生する(基本p.58)。よって、同じ陣営のキャラクターだけが同じマスに複数いた場合、誤射は発生しないはずとなる。
しかし、公式リプレイではこの場合でも誤射が発生している。公式リプレイをルールのリファレンスとして使ってよいわけでは、必ずしもないが。
【物神】について
キジルシの異能【物神】は、アイテムとお話ししてそのアイテムを使用できなくする、キジルシを代表的する強力な異能だ(基本p.116)。この異能はアイテムを「使用できなくする」だけであり、破壊したりアイテム欄から消したりするわけではない。
では唯一持っている武器が【物神】で使用不能になった場合、《武器なし》攻撃はできるのだろうか。《武器なし》は「何の武器も持っていない」ときに使用できるデータである(基本p.74)ため、役に立たなくなった武器を持っていても《武器なし》攻撃はできないのだろうか。もっとも、その武器を捨てればいいだけの話ではあるが。
同様に、装備している乗り物アイテムが【物神】で使用できなくなった場合、そのキャラクターは乗り物なしになるのか、それとも乗り物に乗っているものとして扱うのか。もちろんそのまま移動することはできなくなるため、乗物から降りなければ移動はできなくなるだろう。また「車体」の適用はできなくなるだろう。
しかし命中難易度の上昇や反応力の低下、「跳ぶ」の禁止といったペナルティは適用されるのか。また叛逆児の【ハコ乗り】のような乗り物系異能の効果は適用されるのだろうか。微妙な問題であるため、そのような珍事が起きた際はよく話し合って欲しい。
使用:装備のアイテムについて
使用が「装備」のアイテムは、「持っていれば常に効果がある」とある(p.78)。この「持っている」は、通常装備を指すのか、それともアジト・乗物も含めて装備欄全体を指すのか。
通常装備限定の場合、「部屋」の特殊機能がついた使用が装備のアイテム(たまり場、隠し棚、墓といった特殊施設アイテムなど)は効果を発揮できなくなってしまうが、かと言って身につけていないと効果を発揮しないであろう大多数の装備アイテムが、アジトに置いたままでも効果を発揮してしまうのはおかしい。
「部屋」の特殊機能がついたアイテムだけ、例外的にアジトに置いてある場合に効果を発揮すると裁定するのが妥当な落としどころだろうか。
罪狩は〔戦闘〕で情報収集できるのか
ブースターカルマ「罪狩」の代償に【仮借なき正義】というものがあり、〔戦闘〕以外の環境値でリンク判定ができなくなるという効果がある。
しかし〔戦闘〕の情報収集は、「戦隊のキャラクターは(中略)〔戦闘〕の環境値を使って情報収集を行うことができる」(ロケットp.43)のであり、「戦隊」限定となっている。罪狩が必ずしも戦隊のメンバーであるとは限らないので、文字通りに裁定すると、罪狩でこの代償を習得したとき、そのキャラクターは情報収集の手段がなくなることになってしまう。
そういう代償であると解釈し、戦隊のメンバーでない罪狩でこの代償を習得したら情報収集ができなくなると裁定するのも一つの手段だ。
これを避けたい場合は、そもそもこの代償を習得しないのが正解だろうが、習得してしまった場合に、例外的に〔戦闘〕での情報収集を認めるという裁定もできるだろう。もちろん戦隊だけが可能とあるため、完全にゴールデンルールによる裁定であるため、DDに強要してはいけない。
リンク判定でファンブルした場合、起点のタグは消えるのか
情報収集ルールの「□リンクをつくる」の表(基本p.51)によれば、ファンブル時は「情報ハプニングが発生する」、成功度0時には「リンクを失う」とある。この表は二通りの読み方ができる。
1.ファンブルと0成功は別だよ派(ファンブルして逆転しなくてもそのタグは消えない)
2.ファンブルしたらタグが消えるよ派(ファンブルは自動的に成功度0になるため、ハプニングが発生すると同時にそのタグが消える)
表で分けて書かれているため解釈に幅が出てしまう。これはDD裁定とし言えないと思われる。
なお、教養イベント4番など、上位リンクを得ないイベント効果の場合は、リンクが繋がらないだけで0成功ではないので、タグは消えない。
※ヘッダーのサタスペの画像は冒険企画局公式ページのものです