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Wolfire Games 対 Valve、Steamの独占禁止法違反を訴えた裁判

2021年に Wolfire Games が Valve を訴えて裁判所に棄却されましたが、その際は証拠不十分な部分を補強すれば再提出の余地がある状態でした。なので、それからどうなったか個人的に気になってキャッチアップしてました。
記事編集時点では、再度の訴状提出が裁判所に受け入れられて裁判に入っています。

日本語の情報は以下のように棄却されたあたりが最後なので「終わったもの」と思われているのではないかと思います。

ですが、自分と同様にその後が気になった人もいるかも知れないので書き出しておきます。

自分のスタンスは、本当に価格競争につながるなら訴訟がうまく行ってほしいけど、よく分からんと言ったところです。


Wolfire Games による訴訟内容の要約と説明

言い訳 : 自分は法律の専門家でもなんでも無いので正確な情報ではありません

実際の訴状はこちらを参照。

前提として、 Steam は PC ゲーム市場で75%のシェアがあり、ゲームパブリッシャーは Steam で販売しないと売上が見込めないことから、 Valve は以下のような行為を強権的に実施できる立場にある。これにより30%という高いストア手数料を維持しているという主張です。

1. プラットフォーム最恵国待遇 (PMFN) 条項による他プラットフォームの価格管理

Steam でゲームを販売する場合、 Valve はゲームパブリッシャーに PMFN という条項への同意を求めます。 PMFN は他のプラットフォームで同一製品を販売する場合に価格や商品内容の変更を禁止する条項で、後から他プラットフォームへの商品提供を優遇してプラットフォームや消費者に不利益が生じることを防ぐ目的があるようです。PMFN自体は一般的に販売プラットフォームで利用されています。

しかし、この条項により新規参入のストア業者が価格競争でより安くして勝負することが難しくなるという主張がなされています。近年は PMFN が他プラットフォーム参入を価格競争の面で抑制して独占禁止法に違反しているのではないかという危惧による訴えが複数起こっています。

よくある勘違いとして、 Steam ではゲームと引き換えできるシリアルキーを発行し他ストアでの販売をゲームパブリッシャーに認めているため、 PMFN がシリアルキーの販売に限定したものと思われることがあるようです。実際には Steamが全く関わらない販売でも同一製品であれば適用されると Valve が回答しているそう。

2. シリアルキーの発行数制限と PFMN による囲い込み

前述のシリアルキーの発行ができる数を制限し、 PFMN で価格を同一にすることで Steam への囲い込みをコントロールしているという主張らしい。正直よく分からなかった。

とはいえ、シリアルキーのガイドラインの変更でこの訴えに対応したのでは?と疑われる部分もあったので、意味はあるのかもしれない。

3.「レビュー爆撃」の選択的な取締

Steam に都合のいいレビュー爆撃を放置することでゲームパブリッシャーに圧力をかけられるという主張。
正直なところ無理があると思う。

一度目の棄却以降の出来事

前述の通り、2021年に訴えの内容を証明する証拠が足りないと裁判所で判断されて棄却。2022年に証拠を追加することで再度、訴訟が進められています。

今後の進行予定はこちらで確認できます。予定通りに進んだとしても、判決は2025年以降になりそう。

アメリカで消費者の訴訟人募集

一度目の棄却の際は Wolfire Games(ゲームパブリッシャー) と消費者による、それぞれ関連しつつも別個の2つの訴訟として進めていたようなのですが、 Steam のユーザー契約で Valve への消費者による集団訴訟が禁止されているという指摘があったため、弁護士によって「集団仲裁」という方法を取る準備が進められています。

アメリカ在住者が対象ですが、無料で訴訟人として登録して勝訴すればお金が貰えるというふうに募集しているようです。
不審な詐欺広告ではないかと話題になってます。

Dark Catt Studios と訴訟統合

Valve に対してほぼ同様の訴訟を起こしていた Dark Catt Studios というゲーム会社と、2022年7月頃に訴訟の統合をしています

なので記事タイトルは正確性にかけるのですが、「Wolfire Games と Dark Catt Studios による~ 」だと長いので、過去の流れも鑑みてこれにしています。


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