フィールドトライアルで近道をする

大企業で新しいプロダクト(製品)を出すのは大変だ。まずは上司や、上司の上司の説得が必要で、彼らをその気にさせた後は、いくつもの会議で承認を受ける必要がある。そのために、大量のPowerPointを書いたり、根回しの行脚をすることになる。また、セキュリティ、個人情報保護、知的財産保護、品質管理などの各種チェックを受ける必要もあるだろう。年単位の時間がかかる場合もザラである。その結果、会社によっては、新しいプロダクトを出すことに対して諦めムードが漂っている場合もある。

その時間を短縮する方法がある。それは、実証実験(フィールドトライアル)である。

フィールドトライアルの本来の目的は、企業内の閉じた環境だけではなく、実際の現場(フィールド)で検証してみることにより、ビジネス的 & 技術的な実現可能性を確かめることだ。フィールドトライアルを始めるのは、プロダクトを出すのと比べて簡単で、社内手続きも数週間〜数ヶ月で済むことが多い。そこで、フィールドトライアルを、「手軽に始められるβ版」と少しだけ拡大解釈するのだ。

SkyWayは2013年12月に、まずフィールドトライアルとして始めた。ユーザーが順調に増えたので、1年ほど経ったところで、正式プロダクト化を目指すことにした。それから2017年9月の正式プロダクト化まで、3年もかかってしまったわけで、時間がかかりすぎた点については反省している。でも、フィールドトライアルとして素早く始めたのは良い判断だったと思う。

フィールドトライアルには欠点もある。事業が継続することを保証できないことや、システムの信頼性を保証できないことだ。SkyWayのフィールドトライアル時代にも、多くのお客様から「事業の継続性について教えてほしい」「システムの信頼性について教えてほしい」という問い合わせをいただいた。私たちは、「正式なプロダクトにできるかどうかは約束できないが、全力で努力している」「システムの信頼性は保証できないが、商用サービスと同じレベルの運用をしている」と正直に説明することにした。その結果、多くのお客様が商用のサービスにSkyWayを採用してくださった。つまり、お客様にリスクを取っていただいたことになる。フィールドトライアルの段階で十分な実績を作ったことが、正式プロダクト化の判断につながったので、リスクを取って採用してくださったお客様に深く感謝している。

大企業で新しいプロダクトを出すのは大変だ。フィールドトライアルを「手軽に始められるβ版」として使って、近道をしよう。

このノートはβ版として公開しています。より魅力的なコンテンツを書くために、アンケートにご協力ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?