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会計税務チェックのウラ側を聞いてきた
こんにちは。マネーフォワード クラウド会計Plusでデザイナーをしている伊藤です。
マネーフォワード クラウド会計Plusでは先日、月次締めの前に仕訳をチェックできる「会計税務チェック」をリリースしました。
機能について詳しくはこちら
会計税務チェックは、週刊 税務通信・週刊 経営財務でおなじみの税務研究会と、マネーフォワードが協業して作った初めての試みです。
そんな機能のウラ側を、インタビューして参りました!
登場人物(敬称略)
■ 森池 真人(左上)
税務研究会所属。
企業懇話会の運営を担当。企業の経理部門の課題解決に資する情報提供を行っている。税理士(東京税理士会所属)。
■ 谷口 俊介(右上)
税務研究会所属。
事業戦略本部にて企画・マーケティングを行っている。
■ 杉浦 大貴(左下)
マネーフォワード クラウド会計Plusのプロダクトオーナー。
元経理部で、新卒のときに税務通信を見て勉強していた思い出がある。
■ 伊藤 舞花(右下)
マネーフォワード クラウド会計Plusのデザイナー。
インタビュアー。
仕訳の間違いをチェックしてくれる「頼れる先輩」のような機能
ーーそれでは、今回作った機能について教えてください
杉浦:月次締めのタイミングで、仕訳のおかしいところがないかチェックする機能を作りました。自分自身も経理をしていた経験から、間違った仕訳を見つける作業に十分な時間を割けなかったり、専門的な論点を学ぶ時間がないと感じていました。
今回、税務研究会さんにご提供いただいたルールを利用することで、専門的で難しい仕訳のチェックをクラウド会計Plusのユーザーに届けることができると思っています。
ーー月次のタイミングでチェックできると嬉しい点はなんですか?
杉浦:税務の間違いって、仕訳的には正しいけど気をつけなければいけない論点があったりするんですが、普通に仕訳を切っていると間違いに気づかず流されてしまうこともあるんですね。
そういう論点を「これ大丈夫ですか?」とチェック機能で聞いてもらえるので、便利かなと思います。言うなれば「ひとり税務に強い社員が入った!」みたいなイメージですね。
ーーこの機能を作ったきっかけについて教えてください
谷口:当社はもともと税務の情報を発信する企業ですが、日常業務のルーティーンのなかで経理スタッフさまに必要な情報収集をサポートする機能を作りたいというのがきっかけでした。
技術やシステムが進化してきたことで、一定の知識がない人でも経理ができる環境が整いつつある一方、ある程度の規模の法人になると経理職はやっぱり専門職。ではその専門性は何に裏打ちされているかというと、その方が持っている情報だったり知識になります。
今回の機能は、ユーザーにとって必要な情報を、実務の導線上でレコメンドするような試みです。チェック機能は一般的になりつつありますが、チェック機能に情報収集機能を一体で組み込んだのが今回の試みのポイントです。
(仕訳をチェックすると同時に、読むべき記事を表示してくれる。)
森池:読んでいただくタイミングのひとつとして月次チェック時はかなり理想的だと感じています。税務通信は一冊がかなりのボリュームでして、それが毎週送られてきます。経理の方は総じて年がら年中お忙しい人が多いので、なかなか税務の重たい情報を大量に読んでいくのも骨が折れるかと思います。
杉浦:お恥ずかしい話なんですけど、実際、私も税務通信は読みきれてはなかったです。今回の機能は、実際に切った仕訳、自分の会社の仕訳に関わるところが読む情報として出てくるので、いいレコメンドですよね。
(税務通信)
谷口:そうですね、ミスした時や見逃したときのタイミングで記事を確認すると、記憶に残るし、沁みますよね(笑)
将来的に発生するであろうことをインプットすることも大切ですが、、まさにそのどんぴしゃりのタイミングでインプットするのは、かなり学習効果があるのではと思います。
杉浦:マネーフォワードの経理部でデモを行った際にも「教育にすごくよさそう」というフィードバックがありました。
谷口:世の中、紙の書籍を読まない人が増えているし、人が調べ物をするときのアクションが昔と比べてかなり変わってきていますよね。
会計ソフトを通して、ユーザーさんにとって今、必要な情報を目の前にデリバリーできる機能なのですごくいいなと感じています。本を読まなかったり、ネットで調べる傾向は若い人のほうがあると思うので、新任の経理の方にもぜひ触れてもらいたいです。
仕訳のチェックをしてくれるルールは、大きな会社にも対応
ーー仕訳をチェックするルールはどのように作られているんですか?
森池:ルールを会計システムに組み込んでアラートを出し、そのタイミングで記事を表示することで、今までとはガラッと変わったコンテンツ提供の仕方ができるのではないかと考えました。
もちろん我々の本業は情報提供サービスですので事業として会計業務を行っているわけではありません。ですので実際の会計のお仕事をされている方がどこで間違えているのかが経験知としてわかりません。そこは税理士法人さま、会計事務所さまなどのお力を借りてルールを作らせていただきました。
谷口:ルールに関してはかなりの部分を税理士法人あすなろさんにご協力いただいています。入力ミスのパターンや仕訳を誤るパターンがある程度決まっているというところが着眼のきっかけとしてありまして、税理士法人あすなろさんにご助力をいただいてアラートを出すケースの洗い出しをして、可視化をしました。
森池:もちろん今回はマネフォ経理部さまにも協力に加わっていただいてやっています。ですから非常に精度が高い、かなり大きな会社さんでも使えるルールになっているのではないのかなと思います。
今後、機能はどんどん強化していきたい
杉浦:今回の機能は一般的なものではないので、早い段階からユーザーフィードバックを得たいと思い、提供できるところからリリースしました。
ーー今後強化していきたい機能はありますか?
杉浦:まだ実装できていないルールもたくさんありますし、残高に対してもおかしな仕訳や残高になっていないかチェックできるようにしたいと思っています。
マネフォ経理部にもらったアイディアも今回のベータ版のリリースには盛り込めていないので、単純なチェックなどシステムが得意な部分はどんどん強化していきたいです。
森池:入力者のレベルや会社の特性を読んで表示させるコンテンツを入れ替えるなど、画一的なものを出すのではなく相手に合わせて見せる情報を出し分けると便利になるし、助かるのではと思っています。
たとえば新人さん向けには税務通信の中でもビギナー向けの記事をお見せできると、教育に効果的かなと思います。
杉浦:新人さん向けだと、起票のタイミングで、まるで先輩が指導してくれるようにチェックとレコメンドをできると良さそうですね。
森池:面倒見のいい先輩や、面倒見のいい顧問税理士さんみたいな存在がいいですね〜。
信頼できる情報で、もっとコミュニケーションを円滑に
谷口:レコメンドされた情報や内容をユーザーが完全に理解できなくても、「これは自分よりもっと詳しい人に確認した方がよさそうだ」と気づいてもらうだけで意味があると思っています。
今回の機能によって、ユーザーさんに良い意味で気づきを与えられて、「専門家や上司・先輩など詳しい方に聞こう!」というコミュニケーションのきっかけになれば、業界全体として良い循環になると思っています。
杉浦:コミュニケーションで言うと、「調べたんですけど…」と上司や先輩に聞くときにソースがよくないところだとやり直しさせられるんですよね。実際、怒られたことがあるんですけど(笑)
税務通信は確かに人の目が入った信頼できる情報なので、それを持って先輩や上司に聞きにいきやすいと思います。
森池:税務通信は主な情報源が国税当局ですので、これ以上、信用できる情報はないと思います。
また税務通信は税務の専門誌の間では最大の発行部数をもっているので、税理士さまからクライアントさまに勧めていただいていたり、親会社から子会社の経理に勧めていただいています。
なおかつ税務署の職員さまも読んでいらっしゃるので、おこがましいかもしれませんが、税理士・納税者・当局、3者の共通言語に近いものではあると思います。
杉浦:すごいことですよね、ほんと。私の前職は50年以上の歴史がある会社だったんですけど、そこでも税務通信をみていたし、マネーフォワードに入ったときも購読していました。
森池:税務通信の何月何日号のあそこの何ページの記事を見ながら色々検討する、みたいなのは普通に行われているようですね。
杉浦:絶対に信頼できるよりどころだと個人的には思っています。
経理パーソンとしての成長、引いては業界の成長へ
森池:今後つけたい機能で言うと、「すごく気になる記事がでてきて、読みたいんだけど作業が中断できない」ときって多々あると思うんですよね。けっこうボリュームのある記事もありますので、とりあえずストックしておける機能があれば、あとでまとめてじっくりと読めるのかなと。
杉浦:それいいですねぇ
森池:記事のストックが溜まってくると自分の弱い部分が浮き彫りになってくるんじゃないかなと。自分やっぱここ弱いんだなとか知識の中でもこれが不足しているんだなとか見えてくるかもしれないですね。
杉浦:ストックをベースにまた新しいレコメンドをできる可能性もありますね
森池:弱い部分をさらに補強するためにこういう本を読んだらいいですよ、とか、こういうセミナーを受講するといいですよ、みたいな多様なコンテンツにつなげられたらいいなと思いますね。
杉浦:弱いところをさらに学びたいときにレコメンドできる…。この機能は最終的に会計業界全体のリテラシーの向上につながっていくといいなという思いがあるので、ドンピシャな機能だと思いました。
森池:私どもがやっている会員制度でもみなさん色々な悩みを抱えてらっしゃるんですけど、その大きなひとつは教育、人材育成なんです。教育方法の決め手がないのでOJTでやっていて、「とりあえずみてろ!」がどうも現実なようでして。
教育する人の余裕がない中で、業務がどんどん複雑化してきているので、余計教育に手が回らない。そこを放っておくと、人材がなかなか定着しない悪循環になってしまう。
そういう意味で今回の取組みがどんどん進化していって、人材育成の助けになってほしいと思います。
杉浦:教育というところでは、より良いタイミングで、より良い記事をレコメンドしたいので、ルールをもっともっと強化していきたいです。
あとは、個人に合わせてセミナーや本をおすすめすることで、よりよい経理人材が生まれて、経理全体のリテラシーが上がり、スキルと知識で活躍する経理の仕事がかっこいい!という風になっていくといいなと思っています。
会計Plusを使うと、「かっこいい、詳しい経理」になれる。そんな風になっていくといいな。
谷口:少し手前味噌になりますが税務研究会のコンテンツは届け方によっては今よりもっとたくさんの方のお役に立てるという思いがあるので、今回の取り組みのようにこれからも協業できるところは協業して、業界全体で手を取り合い、専門家の方も、経理スタッフの方も、みんなが豊かに、便利に働けるようになるといいなと私も思っています。
Work illustrations by Storyset
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