言葉の積み木 (二)
⒍
『まぁ、どうでもいいけどね』
全ての心の淀みを
白紙に変えられる 私の口癖
『まぁ、いいけどね』
この一言で、自分を紛らわす
いい加減そうだけど
これは私の理性を保護する一言
⒎
今年 金木犀は咲くだろうか--------------------
花になれないだろう 私
⒏
時間の型にはめられて
今日も一日が始まった
いつだったろう
時間に束縛されまいと……
いつだったろう……
⒐
ここに生命(いのち)がいる
だからいつか死も訪れる
今だけだから
その生命を抱き締めたくもなる
生命たちは
一瞬一瞬を生きているから
死ぬのも一瞬
もし 今
さっきまで燃えていた生命の抜け殻を
この目の前に放り出されたら
どうしよう
その死臭に
私は気が狂ってしまうかも知れない
10.
ひとつ
また ひとつ消えてゆく
ひとつ
また ひとつ失う
ひとり
また ひとり別れる
ひとり
また ひとり去ってゆく
悲しみと
虚しさだけが残り
そして
私の心は透明になってゆく
11.
何かが 向かってくるのが分かる
それを迎えるために
私は 風に吹かれる--------------------
12.
風のようだと 誰かが言った
心のようだと 私は想った
13.
セロファンを透かしたように青く
すべてが 空に沈んだ
初夏の宵
14.
木間(はざま)から見えるのは 町
今 耳を長くした 小さな生き物が
不安そうに それを見ている
大きく 黒いものを
恐れている
15.
別れが
怖いくせに
また一つの命を側に置きたくなる
今のうち 心で抱き締めてやろう
それしか私にはできない
今は 頬よせて--------------------
16.
ペガサスは飛びたかった
自分を繋いだ鎖が憎らしかった
白いたてがみを振り乱し
鎖を激しく鳴らし 息荒く
涙を流し 嘶く
ペガサスは夜空を仰いだ
そこが彼の故郷
満天の星の輝く 彼の聖域
嵐の過ぎ去った後
彼は自由を取り戻した
ペガサスは
星空に帰って行った
魂だけが 夜空に白くはばたいた
17.
ああ……私はみつけた
私の翼を
青い空に白く浮かぶ
私の翼を
18.
子供って、いつも
楽しいこと考えてるんだ
そして それを邪魔するのは
いつだって大人なんだ
19.
なぜそんなに
子供を手の中に包み込んでしまいたがるの
自分の体の一部にしてしまいたがるの
ああ……
それならいっそ
ロボットでもお守りしていればいいんだ
20.
人の心がわかった時
人に振り向かれた時
その時こそ
初めて人は
人間になれると思う
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