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言葉の積み木 (三)

21.

想い出のかけら

だんだん透明になってゆく

見えなくなってゆく

追いかけても

手をのばすと

しゃぼん玉みたいに消えた

淡くて 哀しくて

涙が出てきて止まらない

22.

屍ふめよ草木

残骸呑めよ大地

我今、ここに眠らん!

朽ちた城

もう、仰ぐ空も力もない

終幕の時である

23.

人間って、石蹴りの石

人に助けられて やっと動ける

だから、見捨てられたら

はい、それまで

人生の終わり

石蹴りしながら そんなこと考える

その石、自分に見えてきたりする

24.

もう、一人でいたくなって

自分の部屋に閉じこもる

ドアに鍵を掛ける

ベッドに大の字になる

“あの子、元気だろうか……”

“生きるって何だろうか……”

いろんなことを考える

天井を見つめて

すき間風に耳を傾ける

これからも、生き続ける理由を考える

25.


夏の暑さ忘れる


秋の哀しみ忘れる

26.

占いはずれ

そんな性格でもないし

そんな性格にもなれない

小さすぎた

自分

悔しさが出てこない

偉大になれない

迫力ないライオン

らいおん

おもちゃにしちゃ

人間に愛想よくない

人を率れない

うつぶせにつんのめる

力出せない

単純でなきゃ生きられない

27.

渚 走り

何処へ行けるというの

水平線 越えられるのは

かもめだけ

砂の中に足跡

何処へ続くというの

28.

きれいな七色の風船が

太陽に負けないくらいの笑い顔が

生きるためにあるなんて誰が考えてました?

子供は粘土細工じゃないんです

思いどおり真っ直ぐにならないからって

無理やり心棒なんか

突っ込まないでください

その曲がりかたの方が

あなたが考えているより

よっぽど人間らしいかもしれないのだから

29.

悲しみを知らない人より

人にやさしい人がいい

幸福探す人より

他人に微笑みかけられる人がいい

自分が死ぬ時

その瞬間生まれてくる生命を

祝福できる人がいい

30.

ひぐらしの声は幻

かげろうの命は幻

またやってくる

あの季節

幻の季節

セピア色に皆溶けて

時と流れて風の中

時と詩って消えてゆく

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