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【R.O.T. People】目の前の人と徹底的に向き合う。ダメな私を変えたひとりのアルバイト

新人店長 山﨑将志

田子さんに直訴して、店長にしてもらったものの結果は、散々。
約半年で、店長から社員へ降格しました。

降格の理由は、純粋に「数字」と「周囲からの信用」。

店舗としての数字は散々だったし、
チームが出来ていなかった。
じゃあ、「チームが出来ている」ってなんなの?って。
それは、
「一緒に働くPA/社員から、仲間や上司として信頼され、似た価値観を持って、同じ目標や同じ方向に進めているかどうか」
だと僕は定義しています。

信用・信頼とかされるために、積み重ねるのは、
遅刻しないとか、約束を守るとか、人に言う前に自分ができるとか、仕事に対しての姿勢とか、社会では当たり前とされる行動の継続。
その行動が信用され、信頼を生む。
自分にはほとんど出来ていませんでした。

今思い返すと、当時の私は、仕事に「本気」ではなかった。
間違いなく、仕事を上辺だけでこなそうとしていた。
だから店長から社員へ降格したのだと思います。

そんな時、先輩から言われた何気ない一言。
「うちに働きに来るほとんどのアルバイトスタッフにとって、自分たち社員は、一緒に働く初めての社会人。だから、その社会人のイメージを決めるのは、自分たちなんだよ。」

この言葉が、自分の中で響いて、
「信用・信頼」だけではなく、それ以上に
「カッコいい・尊敬できる」といった感情を抱かせられる存在でいようという思いが、今も僕の心の真ん中にあります。

降格から再び店長へ

降格後、田子さんに
「一回、自分を見つめ直した方がいいよ。自分が1番輝いていた時の場所に戻りなさい。」
と言われ、アルバイトで採用された店舗(原点)に社員として戻りました。

降格を告げられた事で、何より悔しかったのは自分自身に対して。
降格にはしっかりと原因があり、それが自分自身にある事が分かっていたから。
「何で降格なんだよ」とかの想いは一切なく。行動しなかった過去の自分に対して、ただただ「悔しい」しかなかった。

「この悔しさを今後に絶対に活かす。」

その想いを抱いて、社員に戻って3~4カ月くらい働いた後。
再び店長をやらせていただくことに。
しかもそれは、新店の立ち上げ。
会社として新しい業態へのチャレンジだった。

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そして、海鮮居酒屋「田子商店」がオープン。
オープンしてからは、死に物狂いの日々が続きました。

ありがたいことに、事前の売り上げ予測の倍近くの売上をあげ、忙しすぎて自分の頭が追いつかない日々が続いた。

1番の問題は、事前の売上げ予測に対しての人員しか揃えていなかったので、圧倒的に人が足りなかった事。
最低8人はスタッフがいないとお店が回らない。
在籍スタッフ9人なのに。

だからフリーター、学生アルバイト関係なしに、かなり強引なお願い出勤や延長勤務。
その上、賄いも休憩もなし。
昼過ぎから朝までの営業の中、当たり前のように、みんな休みもなし。
ブラックですね笑
そんな日々が、新しいスタッフを入れるまでの数ヶ月続きました。

人員がカツカツのそんな状況だから、本来、大事にしたかった「自分達が営業を楽しもう!」「お客さまに喜んでもらおう!」という想いを実践する余裕もなく、ただ状況に流されて、来ていただいたお客様に「できるだけ迷惑をかけない」とか、働いてくれているスタッフに「休みや休憩を早く作らなきゃ」というスタンスの日々。

私自身、「お客様を喜ばせたい!」という気持ちが入社した理由にも繋がるので、どんな時でも変わらず一番にそこを大事にしたいところでした。
けれど、スタッフ達にその気持ちを浸透させていくという余裕はまったくない。

今振り返っても、本当に死に物狂いだった。

大きな転機となった一人のアルバイトスタッフとの出会い

オープンして、1ヶ月が経過しても、僕に余裕はなく、人員も常にギリギリ、売上も伸びる一方で、店はいっさい落ち着いていませんでした。

そんな中、一人のアルバイトスタッフとの出会いが、私にとってその後の「チームづくり」の大きな転機となりました。

その彼は地域でも有名な繁盛店の居酒屋で働いていた経歴の持ち主。
居酒屋経験者、経験してきた仕事の幅、面接の受け答え。
オープニングスタッフでの即採用でした。

いざ一緒に働いてみると、彼は、私より仕事が出来ました。

個人の力もあった。
(どう判断し、どれくらい早く・どう効率的に動けるか)

僕が思う店長としての力も。
(チームメンバーをどう活かすか、どういった判断・指示を出すか)

当時の自分より圧倒的にあった。
でも、私とは、理想とする店づくりのカタチが違うと感じた。

なんとなく優先するところが違っていたんだろうな。
感覚の話ですが、
私は、お客様の笑顔を目的にして、結果の数字。
彼は、目の前の数字が目的に来てしまっていた気がする。
数字を追求する事は、間違いではないし、正しいことだとも思います。

だけど、
お客様の満足度・喜び・感動を大事にする目的感。
それらの優先順位を下げて純粋に目の前の売上だけをみる目的感。
そこが変われば営業での判断軸が絶対に変わる。

オープンして1ヶ月経ち、彼とはよく衝突するようになりました。

私よりも圧倒的に仕事ができて、周囲のスタッフへの影響力も高く、
そして私とは目指す先が違う部下。

チームがどちらに傾くかは明白でした。
お客さまや仲間よりも、目の前の業務効率をただただ追求する。
そんな状況を変えられない日々が続きました。

自分に変える力がなかった。
とても苦しかった。

本音を伝える

彼と真正面から向き合えない。そんな自分への不満を感じる日々が続いた。
彼との関係が上手く言っていないことは分かっていたから。
お互いモヤモヤ・イライラを抱えている状態。
自分自身も、ハッキリさせたかった。

そこで、腹を決めて彼を誘い、2人で近くの居酒屋に飲みに行きました。
彼と話をしている中で、
「お店を辞めないか」と彼に伝えました。

目指したい店づくりが違う。
お互いがどちらかに合わせられないなら、どちらかが辞めるしかない。
不協和音を生んでいるチームの先を考えた結果、彼には辞めてもらった方がいいと思った。

でも、彼のフラストレーションの根幹には、
「私(店長)の力不足」があるのは明らかだった。
一緒には進んではいけない。
けれど、居てくれた方が、周りやお店にとっては助かる。

このまま何も改善せずに、ただ彼に辞めてもらうだけでは、自分のエゴを満たすだけだし、何よりもチームにとって大きな改善にはならない。
むしろマイナスかもしれない。
悔しいけれど、認めなければいけないところだった。

結論を出した。
「1ヶ月、店長と思わずに色々教えてほしい」
彼に頭を下げ、教えを乞いました。

妥協しない

彼がいなくなったら、お店がもっと大変になるのも分かっていた。
その為に自分に力をつけることが必要だった。
自分の理想を実現するためには、力をつけないといけない。

なぜ、当時の私は彼に伝えることが出来たのか。
根本にあったのは、「楽しく働けていない自分が嫌だった」からだろうな。

そのころ、本当に仕事に行きたくなかった。
オープンして2~3ヶ月経って、お店には少しは慣れてきたけど、まだまだ苦しかった。
なんでこんな状況で働かなくてはいけないのか?と自問自答の日々。

その時を乗り越えられたのって、降格を経験したからかもしれない。

「もう妥協してはいけない」
というのが、ずっとあった。

降格を経験して、悔しかった。
悔しい気持ちの中でも、自分が全然出来ていなかったことが多かったから納得できた。
自分の中でやりきれなかった・妥協した部分がほとんどだった事実。

言いたいことを伝えれず、チーム作りに妥協して失敗した。

その経験を経たからこそ、彼に伝えることもできたし、頭を下げることもできたのだろう。

一人のアルバイトスタッフとの出会いが、
私の下手なプライドを捨てるキッカケとなりました。
のし上がっていくために、状況を改善するために、理想を追求するために、勇気を振り絞り、変なプライドを全て捨てた。大きな転換期。

この経験が
「周りを大事にしていこう。そして笑顔と元気に囲まれながら、働きたい。」と強く想うキッカケになりました。

悔しい思いをした。
なんでこんな辛い思いしないといけないのだと思った。
だけど、もう逃げたくないとも思った。
だから精一杯向き合いました。

今、僕が困難にぶち当たっても、向き合っていけるのはこの時の経験が大きい。
本当に、彼には感謝している。そして、自分の成長を実感した体験だった。

誰しも、どうしようもなく逃げたくなる瞬間があるだろう。
けれど、徹底的に目の前の人と向き合ったからこそ、私は道が開けました。

僕は、ロットのメンバーに困難に向き合える人になってもらえたら嬉しいなと思います。

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