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自分は教師に向いているのか ~いくつかの特性が影響していることについて~
★悩む人には改善の意識がある
教師である皆さんなら、
一度は考えたことがあると思います。
「自分は教師に向いていないのではないか」という問い。
私なんか、
退職するまでずっとそのことを考えていました。
たまに、教師としての
自信が全身にみなぎっている方も見ますが、
8割方は、自分に対してこの問いを
発し続けているのではないでしょうか。
ただ、退職して今思うのは、
「自分は教師に向いているのか」と、
迷いながら教師をしている人の方が、
結果的に伸びていると思っています。
もちろんエビデンスなんかありません。
あくまで印象です。
「生まれながらの教師」みたいな、
資質能力、素質ともに備えている方も希にいます。
しかし、私から見ると、
多くの教師たちの資質能力に大差はありません。
差があるとしたら、「改善の意識」の差です。
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よく、営業の世界で
「話し上手がセールス上手ではない」と言われます。
むしろ、
「話し上手よりも、聞き上手であることが重要」らしいのです。
聞き上手とは、第一義的にはお客さんの話を
聞く力のことですが、
もう一つは、
上司や先輩の話を傾聴できる姿勢のことです。
つまり、セールス力が向上する人というのは、
「聞き上手」であり、突き詰めると
「学び上手」であるということです。
自分が、教師として向いているか
どうかについて悩む人は、学び上手であり、
改善の意識をもっている人が多いように思います。
★学びの本質を知っている人は大丈夫
若いころに、先輩から「教師たるもの五者たれ」という言葉を教わりました。
ごめんなさい。
出典はわかりません。
どなたか知っている方がいたら教えてください。
教師に求められる役割を
「学者」「医者」「役者」
「易者」「芸者」の5つの「者」にたとえた言葉です。
・学者のように学べ
・医者のように生徒を診よ
・役者のように生徒を魅了せよ
・易者のように生徒の未来を見よ
・芸者のように生徒に寄り添え
「易者」と「芸者」についてはピンと来ませんが、
「学者」「医者」「役者」はそのとおりだと思います。
とくに「学者のように学べ」
については、異論はないと思います。
「自分は教師に向いているのか」と
自問する方は、自分に教師として
足りない部分があるであろうことを自覚しているので、学ぶ姿勢があります。
ただ、学びについて
勘違いしている方が多いので、
ここで少し学びの方法についてふれておきます。
学びの形は多様ですが、
教師の学びといえば、
「実践(経験)」「座学」「記録・発信」などがあります。
この中でも、多くの先生方は
「実践」を大事にしていると思います。
それは間違いではありません。
しかし、経験さえ積んでいけば
教師の資質・能力は伸びる、というのは間違いです。
教師の仕事は人間相手ですので、
「経験」は大事です。
では、経験年数が長い教師の方が、
年数の浅い教師より優れているかというと、
そうでないことは教師ならだれでも知っていますよね。
経験は大事ですが、経験だけでは教師は伸びません。
なぜかというと、実践経験は、
インプット(座学)と、
アウトプット(記録・発信)がセットで行われている必要があるからです。
経験したことを振り返り、
それを言語化し、それを発信し他者と交流します。
そうすると、多くの知見や情報が集まってきて、
対応策を練ることができます。
そして、再度実践するのです。
これがPDCAです。
改善の意識がある人は、この学びの特性を知っています。
なので、長期的には伸びていくのです。
★教員の男女差
あと、男女の特性を意識し、
それを活かしている方も、教師として優秀だと思います。
今の時代、男性、女性の特性といった
話をするだけで、いぶかしがられてしまいますが、
あくまで一般論としての話だと思ってください。
私の独断と偏見ですが、
教師の特徴を男女で分けた場合について、
思うところをざっくりと並べてみます。
【男性教諭】
●楽しい授業を志向する
●女子の扱いが苦手
●独自のルールをもっている
●キレる子どもを落ち着かせることができる
●行事になると燃える
●パソコンや機械に強い
●上昇志向が強い
【女性教諭】
●保護者対応が上手い
●ベテランになるにしたがって懐がふかくなる
●やんちゃな生徒の対応に苦労する
●我が子を見るような感覚で生徒に対応する
●説教が長くなりがち
●要領がよくて仕事が早い
●地味なこともまじめにこつこつと継続できる
こんなところでしょうか。
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これらの特性は、
人間のもつ父性、母性といった
生物学的な違いが大きく影響しているようです。
なので、自分が教師に向いているか
どうかについて悩んでいる人は、
男性は母性を、
女性は父性を加味するような姿勢で
生徒に対応していくことを意識してみてください。
★発達的な特性を抱えている方
誤解を恐れずお話ししますと、
「自分は教師に向いているか」と
悩まれている方の中に、
一定数、ご自身の発達の特性が
影響している場合があります。
たとえば、半年たっても受け持つ
生徒の名前をほとんど覚えられない。
授業中、全体把握が難しいため、
特定の生徒への対応をしているうちに、学級全体が騒々しくなる。
生徒の表情や態度の変化に
気づくことができず、対応が遅れてしまう。
教室、教官室、職員室の机や棚が
書類であふれかえり、いつも散らかっている。
締め切りを守れず、たとえば、
指導要録なども次年度まで持ち越してしまう。
こういった方々です。
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このような特性のある先生方でも、
楽しく教員生活を送っている方もいます。
そもそも、こういった特性のある方々は、
本質的に教えることや子ども自体が好きなのです。
なので、どのような状況でも前向きに
考えられる方が多く、生徒に対する偏見も少なく、
公平・公正に指導できる方が多いように思います。
ただし、生徒や同僚の先生方は、
その先生のフォローに苦労している場合が多いことも確かです。
まずは、医療機関やカウンセラーに
相談するなどしながら、
ご自身の特性について客観的な診断をしてもらうことでしょう。
そのうえで、対応策を考えていくことかと思います。
このように、どのような教師であれ、
それぞれのもつ特性があり、
特性があるということは、足りない部分もあるのです。
なので、だれしも
「自分は教師に向いているのだろうか」
と悩むのは当然ともいえます。
要は、ご自分のもっている特性を理解し、
その特性の良さを活かし、
足りない部分を補っていくことなのです。
足りない部分は、
学び続けることで補うしかありません。
頑張ってください。
応援しています。
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