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ハンドメイドイベントへの道〜噂の中国人ライバーたち〜

2024年は自分的一大イベントが2つあった。
一つはアイスランド一人旅。もう一つは何年ぶりかのハンドメイドイベントへの参加である。

美大時代、芸祭(文化祭のことをこう呼ぶ)で友人たちと各々が作った小物やポストカードの物販をしたのはとても楽しい思い出であった。自分が作ったものを見ず知らずの人がお金を出して買ってくれることには、ちょっと他のことでは得られない無上の喜びがあるものです。

そんなハンドメイドイベントに久しぶりに出たいと思い立ったのである。社会人になってから一人で出したこともあったけど、今回は仲間を募って部活っぽく楽しみたかったので、まずは社内で仲間探し。できれば何かしらのプラットフォームで自分の作品を売った経験がある人が良く、服飾系や美大出身者は何からかのイベントに出展したことがある人が多いのでそのような人を募ったところ、美大出身者の多い我が社、すぐに仲間が3人見つかった。

今回参加することにしたのは、浜松町の都産貿で開催される「TOKYOハンドメイド祭」というイベント。大学生の頃(20年前です)はハンドメイドイベントといえばデザインフェスタくらいしか発表の場がなかったものだけど、今は屋内外問わずこうしたものづくり系のイベントが毎週末どこかで開催されている。都内だけでもどのイベントに参加しようか悩むほどの選択肢の数である。

TOKYOハンドメイド祭は屋内イベントなので開催日当日の天候に左右される心配がないのと、入場無料で来場者が多そうなのが良いポイントだった。事前に見に行ったら規模も大きすぎず小さすぎす、きれいな会場で雰囲気が良かったのでこちらに参加決定〜

半年間各自準備をして、開催日当日を迎えた。ちなみにこの日までにお互いの作品は画像でちょっと見ただけで現物の作品や物量などはほぼ確認し合っていない。それでも当日ぶっつけで並べてそれなりに見えるようにレイアウトするバランス感覚が普通にあるあたり、やっぱりみんな美大よねーと思うのであった。

入口の外に開場の40分くらい前から列ができている。お目当ての作家さんがいるということですな、コミケ感がある。もし自分の作品を目当てに並んでくれたりしたらすごく嬉しいだろうな~

12:00開場。開始1時間くらいは私のブースに足を止める人もあまりおらず一つも売れず、このまま一つも売れていかなかったら悲しいな…と思っていた。泣かず飛ばずだった時のイベントの、売れなかった作品を包み直して帰る時のしょんぼり感を思い出す。大体出展一回目は一つでも売れたらよしとして、そこで心折れずに反省点を見つけて二回目三回目の出展をしながらコツを掴んでいく人がやがて売れっ子になっていくのだろう。でもこれがなかなか難しい。特に1回目が惨敗だとそこで心折れてしまうもので。

13:30頃から彼らが現れた。中国人ライバーである。今回のイベントの一つ前の回を見に行った時、スマホ画面に向かって中国語でしゃべりながら買い物をしている人が何人もいてあれは何?と思っていたら、どうも最近のハンドメイドイベントではよくある光景で、ライブコマースで代理購入または転売目的で日本のハンドメイド商品を購入していく中国人ライバーだとか。ハンドメイドイベントに出展どころか客として行くのも久しぶりだったのでそんなことになっているとは全然知らなかった。

でもそういえば、中国進出をしていない日本のアパレルブランドの路面店で同じような中国人ライバーが大量買いしていく話は聞いたことがあるので、中国本土で手に入らない日本のものが中国で転売されているのはジャンル問わずよくあることなのだろう。ただ高級ブランドはわかるけどハンドメイド商品もだとは…一点もの感がいいのかな?

彼らがあるジャンルのブースで必ずライブ配信をしていることに気付いた。まさに自分の作るものがそのジャンルそのものなのでもしや…と思っていたら、案の定というかやはりやってきて、片方のスマホで商品を撮影しながらもう一台のスマホで何か話している。多分「これ欲しい人いますかー?」とグループチャットみたいなところに商品の画像や動画を投下して、欲しい人が名乗りあげたら代理購入しているようである。同じ商品が複数個ある場合は、机に並べて撮影しながら購入者にどれがいいか聞いている様子もある。

こういうライバーが次々にやってきては事務的に買っていくのであれよあれよと在庫がなくなっていった。買い手がついたら購入した商品に買い手の番号が書いてあるシールを貼って、大きな紙袋に戦利品をぽんぽん入れていく。会場内に多分20人くらいそんな中国人ライバーがいる。売れないよりはいいかもしれないけど、ちょっと味気ない。

これは人によって違う感覚だろうけど、私は自分が作ったものに執着がないので買ったあとに転売されようが気にならないのだが、もしぬいぐるみとかオリジナルキャラクターだったら感じ方が違うかもしれない。ぞんざいに買われていったらやっぱり嫌かも。転売だけではなく、キャラクターデザインを模倣されるリスクもあるとか。そんなこともあってライブ配信自体禁止にしているイベントもあるらしい。

中には最初から転売用の仕入れなのであろう、特定の種類だけ30個買って行った中国人女性もいた。その人は私が数を数えているうちに向かいのブースでも爆買いしていた。密かに「根こそぎネキ」と命名。包装を待っている時間もないほどライバーたちの間では熾烈な購入合戦が行われている様子。

根こそぎネキが全部購入した直後に「〇〇はもうありませんか?」と聞いてくるライバーが何人かいた。同じチャットルームに代理購入するライバーが何人もいて、購入希望者がいたら早いもの勝ちで買っていくシステムのようである。根こそぎネキがかっさらっていったものが相当中国人受けするということは分かったが、正直自分の中では「なんでそれ?」というものだったので謎である。ちなみに一切見向きもされない商品もあり、偏りがすごい。

16:00を過ぎると新たに入場してくるお客さんも減り、ライバーたちも買い尽くしたようであまりブースに来なくなって暇になってきたので、交代で会場内を見に行く。インスタをフォローしていた作家さんと作品を交換できたり、出展者同士の交流も楽しい。

17:30閉場。出展してみないと分からないいろいろな発見があった。一緒に出展した仲間たちもそれぞれよく売れて楽しかったようなので、また次回ブラッシュアップしてみんなで出展すべく、頑張って作ろうと思う。

今回は売り上げの9割が中国人ライバーで、普通のお客さんで本当に気に入って買ってくれた人は何人いたのだろうという感じで手応えはあまりない。私も開場前から待ってくれるようなファンができるようにがんばろう。商売の基本はリピーターの獲得である。


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