【FX】次の円高時に一番下がる通貨の考察
2024年現在の円安環境では、何らかの金融ショックで円高になるというストーリーは昔ほど強力ではないと言われますが、それでも事前に備えておくと、その時が来た場合に焦らずに済みそうです。
次の円高というものを考えてみたいと思います。
通貨の連動
全面円高になるような状況で、普段トレードしている通貨のことだけでなく、一番下がる通貨のことを考える利点の一つは、他通貨の動きに惑わされなくなることです。
特にクロス円をトレードしている場合は、ドル円やドルストレートの動きを参考にしがちですが、ショックが発生したときでも、普段と同じように参考にできると思うのは危険です。
通貨により下落率や反転のタイミング、戻しの大きさなどは違うものなので、他通貨の動きに引きずられないように、過去どのようなパターンになっていたか知っておくべきです。
以前はどうであったか
次の円高を考える材料として、過去に起きた2つのショックについてチャートで確認してみたいと思います。
・リーマンショックとコロナショックを対象に期間は±50週
(2008年9月15日、2020年2月20日発生として)
・通貨は、FX、証券会社等で比較的取引が容易な通貨(米ドル、ユーロ、スイスフラン、南アランド、メキシコペソ、トルコリラ)で、対円
・ショックが発生した週(T+0)の終値を1として週足の終値を変化率で表示
・リーマンショックの場合
・コロナショックの場合
円高になった事例であるのでショック後に円高になっているのは当然ですが、それ以外に法則のようなものを挙げるとするなら、以下でしょうか。
1.新興国通貨(南アランド、メキシコペソ、トルコリラ)の方が下落が激しい。
2.ショック前の値動きが大きいほど下落が激しい。
3.下落に5週以上かかり同じ速さでは戻らない。
上の表はグラフのショック前50週のばらつきとショック後10週の最大下落率を数値にしたものですが、金融危機のとどめとして不安定だった相場が一気に下落したリーマンショックと、比較的安定していた相場が、急にパンデミックとしての危機が発生したコロナショックでは、下落の大きさや戻りの鋭さが違います。
これから何らかのショックが発生するとして、トレードするなら
・新興国通貨をショート
・一波目が終わる5週間くらいはショート保持
・下がりどまっても下落前まで回復することを狙ったロングはしない。
というところでしょうか。
ショック前から大きく下がっているから、ショックではもうそれほど下がらないのでは、という逆張りよりも、弱い通貨はショックにも弱いという順張りの方が良さそうです。
次の円高が発生するかについて
どのような目的であれ、トレードにはエントリーと決済が必要です。
コロナショック以降に大きく円安になったのなら、多くの円売りエントリーが発生したということであり、極論ですが発生前の価格に戻っていないのなら、エントリーの全てが決済されたわけではない、ということになります。
もちろん全てのポジションがそのまま残っているわけではないでしょうが、
目的をもって建てられたポジションは、その目的を達成するまでは保持されるはずです。
例えば、円を持つ人が米国株式を購入して老後資金とインフレに対応するという目的がある場合、このトレードは数年で終わるものではありません。
とすると、レバレッジの効いた円売りポジションはまだ十分残っており、
それらが、同じタイミングで決済へ向かったときは大きく円高に引き戻されると考えられます。
残念ながら時期や原因はファンダメンタルズなのでわかりません。そもそも上に挙げた2つの例の一つは、プロでも予想していなかったパンデミックです。
このため、現在の環境でも金融危機で円高は起こり得るというアイデアがあるだけであり、それに備えるには過去起きたことを次回の参考にするしかないのだと思われます。
最も下落する通貨
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