自然体な人
飲み会でどんな人がタイプかという話題になった。ほどほどに酔いが回っている中で、特に考えることもなく「綾瀬はるか」と答えた。
若かりし頃に見た「世界の中心で、愛をさけぶ」以降、個人的にイチオシの俳優さんなのだ。
しかし、それまでの会話の流れとしては、固有名詞ではなく、人柄や性格などを答えるべきだったようで、「男は所詮見た目だよね」という悲しいつっこみをもらってしまった。
男性がみな見た目重視というわけではないと思うので、男は所詮そんなもんだという価値観を強化してしまったとしたら、大変申し訳ないと思う。
翌日、このやり取りをふと思い出し、二日酔いの頭で考えてみた。改めて答えるとしたら、「自然体な人」というのがしっくりきそうだと思った。
自然体。
何とも曖昧な表現だが、何となく素敵な言葉。
だが、「自然体」とはどういう人を意味しているのか、説明を求められてもうまく答えられないことにも気がついた。
検索してみると、気負いがなく自然な態度、自分に正直、人によって態度が変わらない、無理をしていない、心に余裕があるなど、様々な解説がある。柔道や剣道のような、武道の姿勢としても大切なもののようだ。
調べてみて、なるほどな〜と思いながらも、自分が使う言葉としては、どこか他人行儀な感じもした。
自分なりに、主観も交えて言い換えてみると、自然体な人とは、「分かりやすい人」と言ってもいいかもしれない。
楽しそうなときは見ているこちらが楽しくなるくらいに楽しそうだし、怒っているときは明確に怒っている。嫌いなものや納得がいかないことも、はっきりと口に出す。
楽しいのか怒っているのか、嬉しいのか悲しいのかわからないと、どう反応したら良いのか、判断に迷う。結果として、触らぬ神に祟りなし、当たり障りのない関わり方で、遠巻きに眺める選択をするだろう。
一方で、いつも言いたいことを言って、感情の起伏がわかりやすい人でも、それが許される人と煙たがられる人もいる。その人との関係性や普段の言動など、色々な要素が絡むだろうから、「自然体な人」を一言で表現しようとするのは、ちょっと無理があるのかもしれない。
それに、いつでもどこでも誰とでも「自然体な人」なんて、多分存在しないだろう。仕事で強いプレッシャーを感じれば心の余裕はなくなるし、あからさまに敵意を向けてくる人に対して、全く態度が変わらないなんて人も、いないと思う。そんな人がいたら、むしろ不自然体だ。
楽しみなはずの予定を少し面倒くさく感じたり、嫌いな人がいざ仲間の輪から外されるのを見れば同情したりもする。いろいろな感情が常に入り乱れているのが、むしろ人間らしいとも思う。
もしかすると、「自然体な人」という特定のタイプの人がいるのではなく、自然体でいることのできる関係性や状況があるだけなのかもしれない。だとすると、結局は相性の問題で、好みのタイプを表すのに「自然体な人」というのは、あまり適切ではなさそうだ。
いろいろと考えてはみたものの、結局よくわからないままだ。何だかまた眠たくなってきた。
当面の間は、「綾瀬はるか」で乗り切ろう。