読書について


書と毒

本は毒であると、考える。

思想の毒性

本は著者の思想によって紡がれる。
本を開けば、始終思想に見える。まみえる
文章一つ、言葉一つを切り取っても、そう。

その思想こそが、本に含まれる毒。

読書と蟲毒

読書をすれば、他者の思想に安易に触れられる。
―それは刺激的で、甘美で、蠱惑的―

しかし、自分のものでない思想に耽るごとに
貴方は自分の思想に耽ることができなくなる。
だって、他人に思考を委ねているのだから。

故に、読書は服毒足り得る。

多種多様な毒を食み続けたあなたの脳では
紛う方なきまがうかたなき、蟲毒が催されている。




後書き

今回の話は、他人の考えを本で摂取していく中で、思いついたものです。
つまり私自身も中毒ということですが、そのほうが私らしいとも思います。
ある程度考えた後で、ショーペンハウエルの『読書について』にも同様のことが書かれていて、少し嬉しくなってしまったことは内緒


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