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『遠野物語』柳田國男を読んで〜土とふるさとの文学全集より

遠野のトーはアイヌ語の湖の語からだろう。昔は一円の湖水だった、というのが興味深い。まず連想したのは泉鏡花。民家の娘がさらわれて(神隠し)、恐ろしい人の妻にされる。その人の目の色は少し違う。(漂流してきた外国人?)母一人子一人と姑の家。嫁と姑の仲が悪い。孫が祖母を鎌で殺す(家庭内暴力?)オシラサマはアイヌにもこの神がいる。ザシキワラシは十二、三歳の童子。この神の宿る家は豊かになり、出ていった家は没落する。長者の家でキノコにあたり、七歳の女の子を除いて全滅した後、遠き近きの親類が家の家財、味噌などまで取り去り、一朝にして跡形も無くなる。(今もありそう)この事件の前の前兆は蛇を殺した。
葬式のあと、亡くなった老女の魂が部屋に来る。狂女と娘と孫が気がつく。後ろ向きの老女をあまたの人が見る。
二代続けて川童の子を産む。子は殺す。姿形極めて醜怪。手に水かきがあった。(遺伝性の病気?)
山奥に立派な家(マヨヒガ)。何かを取って来れば長者になれる。
安倍貞任のゆかりの場所が多い。(落ち武者伝説?)
津波で亡くなった妻に会う。
蓮台野、昔60歳を過ぎた老人を追いやった場所。山婆が娘を食う話

遠野物語拾遺

羽衣伝説や、川の流れを変えて変えてくれたら一人娘をやると言って召使い女を身代わりにし、祟られた話。その家は男が生まれると二十歳前にきっと死ぬという。気に入らぬ婿を人柱にしようとして、娘も一緒に亡くし、自分も入水して死ぬ話。お鍋が淵は領主の妾が、領主の戦死で幼子を抱えて入水したところ。その後白い衣装を着た婦人を見たものが二、三人いる。

オシラサマは養蚕の神、眼の神、女の病、子供の神

もろもろ、なにか異様な感じがする。閉鎖的な村で、貧しく、男尊女卑。老いても保障がない。同じ国のことでも違和感満載。障害児(?)を川童の子と言って殺し、気に入らない婿は人柱にし、老いたものは連台野に追いやったり、棺桶に入れて谷に落とす。飼っていた馬と長者の娘が夫婦?獣婚?戦乱で夫が死ぬと幼子と入水?気に入らない嫁は離縁、その後どうなった?近代化、西洋化してやっと住みやすくなった、野蛮な民族?

・・・違和感がすごいが、もう少し勉強を進める。これを宮沢賢治のように昇華できるか。泉鏡花のように絢爛たる物の怪の世界に転じるか、それも疑問。綺麗事ではない日本の昔話。この恐ろしい違和感が、話し手の鈴木喜善が「日本のグリム」と呼ばれた所以だろうか?「本当は恐ろしい遠野物語」でも書けそう。


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