クリームソーダ伝記
大切な人ほど一度に、突然、一瞬で消えてしまうのは何故だろう。
あれほど当たり前で、ルーティンのようになっていた日常がそうでなくなり、一気に恋しくなるほど胸が痛むことはない。
こんな時に限って笑い合った記憶が呼び起こされて、貴方がいるように話してしまうのは何故だろう。
いなくなると分かっていたならアクションだけじゃなくてラブコメだって選んだのに。
何度も何文字も打っては消して、結局まとめられずに「既読だけでもいいから」と送る。
何度も何日も遡って自分の犯した罪をあれかこれかと探る。
貴方と送り合った手紙は片道切符となり、貴方へと送られた手紙が読み返されることはもうない。
苦し紛れにポストカードの絵を眺めてみるけれど、哀れにこちらを見つめ返されるだけ。
貴方が褒めてくれると思って頑張った勉強も、貴方が喜んでくれると思って買ったワンピースも意味をなさなくて。
こちらの積もった期待だけが崩れ落ちていく。
貴方のシワの寄った手をもう一度握ることはできますか。
貴方の暖かい愛をもう一度感じることはできますか。
貴方ともう一度この俳優さんかっこいいよねって話し合えますか。
どこへだとか、どうしてだとか、わかりもしないことだけがぷかぷかと浮かぶ。
青い海に浮かぶアイスのように、決して甘くはないけれども。
帰ってきてよ、一人でいいから。
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