薔薇
例えば
鋭すぎる棘に血を流したとして
それでも
愛したのが薔薇だったから仕方ないと
笑っていればいいだろうか
例えば
その鮮やかな深紅が
私が流した鮮血によるものだと
だからこそ愛しいのかもしれないと
そんな可能性に気付いてしまっても
笑っていればいいだろうか
例えば
その棘に流した涙でさえも
洗い流せることはできないと
それでも私は
幸せだと
笑っていよう
血を涙を
流しながらでも
薔薇が此処に在る
それで十分だと
笑っていよう
その棘さえも抱え込んで
全てを愛そう
星屑に躍らされた女が
かつて言ったように
「だってしょうがないじゃない」
「愛してしまったんだもの」
偶々、其処にいたのが薔薇だった
偶々、愛したのが薔薇だった
棘があることすら知らずに
私は其処に立ち止まって
薔薇の差し出した手を
私は自ら選んだ
それを、それを後悔したことはないから。
だから。
笑っていよう。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートいただけたら泣いて喜びます!!