10年前の韓国、マッコリ大学での1年
2011年、当時二十歳で韓国のソウルに交換留学した。ピチピチの二十歳なのに、数え年の韓国では既に21とか22歳になっていてガッカリしたのが記憶に新しい。成人式は振り袖を着ず、チマチョゴリで記念撮影した。
11年という年は、なんといっても世界中で韓流の人気が爆発的に高まった時期だ。KARA、東方神起、少女時代、2PMなど懐かしいアイドルが全盛期だった。韓流は「冬ソナ」ですでにおばさま達の心を掴んでいたが、その影響が若者までじわじわ広がっていった頃。外国人学生がたくさん韓国に留学しに来ていたし、日本の大学でも韓国語が人気だった。
北朝鮮では、金正日が急死した年だ。朝鮮半島はこれからどうなのか?統一するのか?戦争になるのか?この状態が続くのか?韓国は兵役がある。男子学生は当事者として、揺れる朝鮮半島の政治状況を見守っていた。
K-POPマニアからの留学
私の母は韓国に関連する仕事をしており、私自身も幼少期のころから韓国という存在を身近に感じながら育った。家では韓国料理をよく食べたし、保育園のころは朝鮮舞踊を習ったりもしていた。
高校生の時、当時5人で活動していたアイドルグループ「東方神起」にハマった。受験が迫っていたにも関わらず、Youtubeで夜な夜な東方神起の動画を見まくっていた。歌を聞きながら歌詞をカタカナでメモし、意味を調べ始めたのがきっかけ。大学に入り、本格的に勉強を始めた。外国語を操れるようになっていく感覚、世界がぐんぐん広がっていく面白さ惹かれ、留学することにした。
マッコリ大学
留学先はソウルの高麗大学(コリョテハッキョ)。別名、マッコリ大学。ここの学生はマッコリが大好きだ。安くて美味しくて、いい感じのマッコリ居酒屋が、校門をでるとズラリと並んでいるのだから、誘惑されないわけがない。大きなヤカンいっぱいにそそがれるマッコリを、チヂミと一緒にわいわい食べる。
お~きな皿に何リットルものマッコリを注ぎ、新入生に一気飲みをさせるという、罰ゲームのような新入生歓迎会が伝統になっているのも、このマッコリ大学だ。
お酒好きな韓国の大学生もまた、とても勤勉なのには驚かされた。成績は就職活動に直接影響するそうで、みんなスペックを維持するのに必死だ。学内には24時間オープンの自習室があり、試験前なんかは席取りをしておかないと、場所がなくなるほど人が集まる。完徹した人の体を癒やすためか、女子専用で昼間だけ利用できる仮眠室もあった。
なんでこんなに坂だらけ
高麗大学を振り返るときに思い出すのは、校内の斜面の多さだ。とにかく坂だらけで、常に階段や坂を登ったり降りたりする必要がある。大学もそこそこの広さなので、自転車でも使って移動したいものだが、無理だ。私が住んでいた外国人寄宿舎にいたっては、大学よりもさらに上に登った場所にあり、毎日の山登りがしんどい。
こんなに坂が多い校内でも、女子大生たちは化粧をし高いヒールを履いて、オシャレしている。スニーカーでもゼイゼイしている私からすると、ありえない光景だったが、これは美容大国ならではの美意識の高さなのだと納得した。しかし、これが試験前となると、全神経を勉学につぎ込むためか、ヒール率は下がり、「あれ?こんな顔だったんだ」と思う程にすっぴん率があがる。やっぱり可愛い大学生だ。
韓国は楽しい。料理も美味しい。これから楽しい韓国もたくさん伝えていきたい。