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天知茂の明智小五郎Ⅱ

前回の記事に書いたように、今回は江戸川乱歩の美女シリーズ(天知版明智小五郎)で特に好きな3作品を挙げたいと思います。
※結構盛大にネタバレをしているのでご注意を。


第3位…魅せられた美女(1980年)

美女役は岡田奈々。
この作品の魅力は、何といっても天知さんが明智役と岡田奈々演じるアイドル歌手·沖晴美の兄·沖良介の2役を見事に演じ分けていること。
特に沖良介のほうは酒グセが悪くて悪態をつく場面があるのだが、天知さんは全くの下戸だったというから驚きである。

こちらが明智小五郎


そしてこちらが沖良介(職業は棋士)
明智との違いは髪の毛の量?笑


貴重な共演シーン。
「相手の出方を見て、こちらの出方を決める」
探偵と棋士、職業は違えど勝つまで(事件解決
まで)のプロセスで意気投合

しかし沖良介氏残念なことに殺害されてしまい、石膏で固められてしまうのです(何故殺害されたのかは是非本編をご覧いただきたい)。

そして謎解きの場面で晴美(岡田奈々)に言う明智の台詞がたまらない。
(明智が石膏を削って遺体が沖良介であることを確認したところで、晴美が石膏に近づこうとするのだが…)

「見てはいけない。私とそっくりに似ているでしょう?見たければ私の顔を見ればいい。兄さんの思い出を美しいものにしておくために」

なんてカッコいい台詞なんだ!!
これが惚れずにいられるか❤


第2位…天国と地獄の美女(1982年)

この作品、放送日が1月2日。そして放送時間が3時間。明智が視聴者に向かって新年の挨拶をするところから始まる。
そしてお正月SPということもあってか、明智が2回変身する。
ただこのストーリー、正月からこんなグロテスクでエグい描写するか?!っていう結構気味の悪いシーンが多い。ま、これがこのシリーズの魅力でもあるのだが。

そして何といってもこの作品の舞台となる人工の楽園·パノラマ島のセット!
すんごい金かけてるな~

人見広介(伊東四朗)がこのパノラマ島の建設を夢見て、人見と瓜二つの大富豪·菰田源三郎(伊東四朗2役)になり変わり、とうとう夢を実現させる。(夢の実現のためにエグ〜いことをするのだが)


そしてもう1点、このエグいストーリーと並行して明智と叶和貴子演じる菰田千代子(源三郎の妻)の姉がかつて恋人同士だったという設定になっていて妹の千代子も明智に恋心を抱くというもう1つのストーリーがある。

ダンスホールで明智と千代子が踊るシーン。
菰田家に次々と悪いことが起き怖くてたまらないと明智に思いを打ち明ける。
(しかし本当に美男美女、絵になる2人だわ)

しかしこの千代子さん、とんでもない衝撃的な最期を迎える。(千代子さんが1番エグいかも)
その最期を迎える前、明智が千代子の罪を暴き、「私を警察に渡すの?」と明智に尋ね、明智が「理由はどうあれ、あなたは裁かれなければならない」と言ったあとの千代子の台詞が凄く印象に残っている。

「冷たいのね明智さんって。姉さんも言ってたわ、明智さんには時々氷のように冷たいものを感じるって」

何故この台詞が印象に残ったかというと、明智小五郎という人物を最も端的に表している言葉なんじゃないかと思ったからである。
天知さんの明智って、背中に近寄り難いオーラを出してるっていうか良く言えばクール、悪く言えば淡白なところがあると思うのだが、皆さんはどう思われるであろうか?
でもそこが魅力で惹かれるポイントなんだけど。
果たして千代子の姉は明智のどんなところを冷たいと感じたのか。
台詞に出てくるだけで一度も本編に登場しない千代子の姉についてここまで考えさせてくれるジェームス三木の脚本が素晴らしい。


第1位…悪魔のような美女(1979年)

人間を若く美しいまま保存しておきたいと人間の剥製をコレクションするという異常心理の持ち主の女賊·黒蜥蜴と明智の知恵比べ、そして淡い恋心を絡めた作品。
黒蜥蜴役は小川眞由美。

この人間離れしたオーラ、黒蜥蜴はこうでなくてはいけない。これ以上無い配役。

この作品を1位に挙げたのはとにかく、ゾクゾクさせてくれる場面が多いこと。そして結末が分かっているのに何度見ても飽きないこと。

緑川夫人(黒蜥蜴が正体を現す前の姿)と明智が黒蜥蜴が勝つか、明智が勝つか賭けをするシーン。
お互いの腹の探り合いに緊張感が漂っているが、
黒蜥蜴の明智を見つめる眼がすでにメロメロ
黒蜥蜴との勝負に受けてたとうじゃないかといった顔。は〜シビれる〜❤

黒蜥蜴もさまざまな姿を見せてくれる。

男装姿
探偵と盗賊なのにまるで恋人同士のような会話をするお二人。明智さん、助手の文代さんに呆れられてしまいます笑
怪傑ゾロ風の衣装。小川さんなかなかキマってる!
この作品の一番の名場面と言っていい。まるで舞台を観ているかのよう。
「最後の勝ちはこっちのものだ(ものよ)」


ソファーの中にいる明智(実際はいない)に優しく語りかける黒蜥蜴

まだまだいろんな衣装で登場しているのであとは本編で確認いただきたい。

さて明智さんの今回の変装は…

黒蜥蜴の手下の松吉に扮する明智。
最初見た時、明智だって分からなくてまんまと騙された。
松吉だと思い込み、明智への恋心を明かす黒蜥蜴。この時はもうただの恋する普通の女。小川さんの黒蜥蜴は女賊としての恐ろしさがきちんとあるから恋する乙女に変わった時に凄く可愛らしく見える


黒蜥蜴最期の場面。恋する人の腕に抱かれて嬉しそう。さらにこの後、おでこにキスまでされちゃう(というか黒蜥蜴が最後のお願いと言ってせがんだからなのだが)

この作品に関しては原作を読んだのだが、原作ではラストのおでこにキスの場面、刑事たちに見られているのだが、ドラマでは完全に2人っきりだったのが良かったと思う。


思いを語りすぎた感が否めないが、天知茂ファン、美女シリーズファンの方々はどの作品がお好きでしょうか?
是非皆さんの思いをお聞かせください(⁠^⁠^⁠)