「生まれる」ということ
「生まれる」は、不思議な言葉だ。「この世に生を享ける」、「誕生する」と同義だが、「生まれる」の「れる」を糸口に、「生きること」について少し考えてみたい。
国語文法的には、この「れる」は受身の助動詞である。古典の受身・尊敬・自発・可能の助動詞「る」「らる」は、現代語においては、「れる」「られる」に変化した。だから、「生まれる」は古文では「生まる」と表現された。かの『方上記』にも、「朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水の泡にぞ似たりける」と生のはかなさが述べられている。「ゆく