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音楽についての思い出

 前回、長年の友達に読書と手芸があると書いたがもう一つ大事な友を忘れていた。

 それは音楽。
私は約半世紀前の高校生の頃、かなりちゃらけていたので、ラジオの深夜放送に夢中になっていた。ニッポン放送のオールナイトニッポン、文化放送のセイヤング、毎週リクエストハガキを書き、それがまたよく読まれていたんだなあ。フォークソングのメッセージ性に打ちのめされたものだった。クラシック音楽は「チッ!」という感じで眼中に無かったのだが。

 高校の音楽は選択制で2年間授業を受けた。他の選択科目、美術、書道より持ち物が少ないのがよかった。定年を迎えて雇用延長何年目?というような爺さん先生だったが、私とは折り合いが悪く(私、何をしでかしたんでしょうねー)私は大嫌いだったんだ。
その先生は週に一度の授業の終わりに、クラシック名曲の有名なフレーズをピアノで聴かせレコードで聴かせ、音階を取って生徒に歌わせる。一月に一曲頭に叩き込ませるのである。試験に必ず出るというので無下にも出来ず、メロディと曲名作曲者名は嫌でもおぼえた。

 卒業前にその爺さん先生が言うのに「皆さんはこれから先どんな苦労をするか分かりません。人生には花も嵐もつきものです。そんな大変な時音楽は皆さんを助けます。流行りの音楽も良いですが、クラシック音楽は何百年も人々の心の中で生き続けてきたものです。今NHKFM放送では8割ぐらいクラシックを流しています。授業で耳にした音楽をここで聴くことができます。皆さん、元気を出して頑張るんですよ」

 その時は「面倒くさいこと言ってるなー」ぐらいにしか思わなかったのだが、私もお年頃になり結婚して人の親になった。親元から遠く離れ友達が一人もいない土地での結婚子育て生活、友達作りが下手だったからワンオペ育児に早速行き詰まった。夫には内緒だけどその頃よく発狂しなかったと思う。少なくとも心療内科マターだった。

 そして、何故か、音楽の爺さん先生の言葉を思い出して、ラジオのスイッチを入れた。NHKFM(民放のFM局はなかった頃)で聞こえてきたのは、モーツァルトの40番。「あ、これ知ってる。聞いたことある!どこでだっけ?」めまぐるしく記憶は過去に遡り高校の音楽教室の風景がよみがえった。「先生が言ってたのはこの事だったんだ」音楽が心に染み入った。多分涙を流していたと思う。

 それから私の心は少しずつ元気になっていって、今がある。

 人生はいい時もあれば悪い時もある。私もいろんな経験をして学んだ。苦しい時に、とっておきの元気の素を3つ程心の引き出しの中に持っておくと良いと思う。
これは、夫や子供や孫ではない方が良い。生命があるものは不確定要素があり過ぎる。ペットもそう。ロスが起きた時にダメージが大きい。
心の友になりうるのは接している時は心が無になり元気をもらいリセットが出来るもの。それには音楽は適している。飽きないという意味でクラシックはさらに良いと今では思う。
 1600年代に作られたバロック音楽に癒されるのはどうして?不思議ではないですか?
 

#クラシック音楽 #FM放送#振り返り

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