損得勘定との戦い
貸しを作る、借りを返す。
貸したものは返してもらう必要があり、借りたものは返す必要がある。いつからかそんなルールを見つけては、すべての事象にその法則を当てはめていた。
そのルール自体は間違ったことでは無い。お金を貸したら返してもらわないと困るし、借りたお金を返さなければ借りた相手が困る。なにより、利子が付いて返済額が大きくなる。
では、親には?学校には?国には?
その他、自分に関わる多くの人、または関わりを感じることは無くとも、か細い糸でつながっている人には?
自分自身が気づいていない間に多くの恩恵を与えてくれた人には、なにを返せばいい?何を返せるものがある?
そして、果たして、与えてくれた人たちは何か返してもらうことを期待しているだろうか?
僕は労働の対価として賃金を欲する。
対価が大きければ大きいほどいいと思うし、少なければ生きていけないと嘆くことだろう。
でも、対価を必要としないで働く人だっている。
対価を期待せずに恩恵を与えてくれる人がいる。
そういう人たちに、僕は生かされている。
恩恵を感じながらも、借りを返そうなんて思えるはずもなく。
ただ、受け取った命を、自分のために消費している。
だから、ときどき、見返りなんて求めずに、誰かに何かを与えられたらいいのかもしれない。
自分がそうやって誰かに生かされたように。
自分が同じように誰かを生かせるなんて期待せずに。
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