メタシアター演劇祭「真夏の夜の夢」観劇メモ
2023年11月23〜26日の4日間にわたって開催されたメタシアター演劇祭。
世界初のVR SNS演劇祭と銘打たれたこのイベントは、そのタイトルにふさわしいクオリティと規模のものだったと言えるでしょう。
PC VR(Meta Questなど、スタンドアロンで動作するVRヘッドセットだけでは使用できず、ハイスペックなPCとの連動が前提となる)での参加が要求されるなど、観劇側にもスキルが求められるというハードルの高さがあるにもかかわらず、連日、どの公演にも多くの人がジョインしており、演者だけでなく鑑賞側の熱気も感じられるイベントでありました。
さて、本イベントの目玉は、何と言っても「真夏の夜の夢」上演です。言わずと知れたシェイクスピア作品で、なんと日本シェイクスピア協会が後援しているというのですから、その取組の本気度がうかがわれるではないですか。
ところで後援ってなんぞや、とも思ったので調べてみました。協会の行う支援は「共催」「後援」の二種があるようで、後援の場合は「当該の企画・イベント等がシェイクスピア研究と密接な関連を持ち、協会会員にとって、参加が有意義であると認められる場合を指します。」とのことでした。
さて、「真夏の夜の夢」です。
実は、観たことがないんですよね。「マクベス」は観たことあるけど。
劇では当たり前のことですが、そもそもの上演時間が長い。二時間半とか三時間とかあるのですね。
そして、YouTubeなどで元の劇を探してみたのですが、セリフの間に「間」がほとんどない。
ずーーーーーーーっとセリフが続くっぽいんです。早口の弾丸トークの掛け合いが二時間。
しかも、やや構造が複雑。
恋する貴族たち、彼らを巻き込む妖精界の痴話げんか、職人達の劇中劇。
そもそも、この劇中劇にせよ、その周りのエピソードにせよ、前提となる物語を知らないといけないはずで、そこをどうクリアするかも頭の痛い課題。
一時間の上演時間に押し込むということになれば、相当悩まれただろうなぁと・・・・
また、どこまでも喜劇なので、笑いどころがないといけないわけで、そこも抜かりないのが素敵でした。
個人的には「春眠暁を覚えずだなぁ」というセリフが好き。
あと、壁の穴越しに話をするという部分がしっかり採用されていたのも嬉しいところ。
原文では「through Wall's chink」であって、a hall in the wall(場末の店)ではないそうですよ。