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「それは私じゃないよ」

あなたは私がよく笑うから好きだっていう。でもね、私はあなたの前だから、よく笑うようにしてるの。本当の私は無愛想で、基本的には笑わないよ。なんなら、高校時代に感情の起伏があるかどうか心配されて、カウンセラーの先生との面談を勧められたくらいだもん。

あなたは私が掃除できることがすごいっていう。でもね、別に掃除なんて好きじゃないし、あなたがしないことをすれば好感度が高いってわかってるだけなの。本当の私はADHD気味で掃除するのが苦手で、整理整頓なんてない。なんなら、去年から病院に通院して、コンサータって言うお薬を貰ってるくらいなんだ。

あなたが好きな私は、私が作った作られた私。

あなたに褒められるのがすごく嫌だった。だって、あなたが褒める私は私の本質じゃないから。本当の私はずっと奥底に眠っていて、あなたの前でだけ猫を被っているだけだから。

別にあなただけじゃない。すべての人が私の奥にいる私を知らない。みんな私の表面を褒めるだけ。誰もその内側・その奥底にいるものを見ようとはしない。でも、それは異常なことじゃない。愛がないわけでもない。それが人間なんだって思う。

別にわざわざ外見が良い物の中身を剥こうとするのはむしろ性格が曲がってるって思うし、知ろうとしても相手が知られたくない素振りを見せれば退くのは当たり前だし。

これはエゴイズムだ。きっと、私の中を知ろうとしてくれる人に巡り合っても、それはそれで不快に思うのだと思う。私の心は本当にただ生きづらい心の形をしている。そして、今日もそのエゴイズムに流されて、あなたと別れたいと伝えるの。

私はバカだからまた繰り返すのだろう。今度は自分を見せるように振舞おう。今度は自分を知ろうとしている人を受け入れよう。そうやって、人が当たり前にすることを決める。そして、実行できずそれを貫き通せざるおえなくなる。

幸せに慣れない自分にただ今日も絶望する。

写真:ウワノソラのコアラ

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