【日記】超絶安全運転/2024.11.02
これは今日ではなく昨日の出来事だけど、自分にとって初めての経験をしたので、記念に書き留めておく。
高校の頃の友達と久しぶりにランチした。車で彼女の家まで迎えに行き、助手席に乗せて、目的のお店へ向かおうという時だった。彼女が「実は…」と口を開き、自身のお腹の方へと視線を誘導した。会っていない間に、友達は妊娠していたのだ。
同世代の結婚や出産の報告をSNSで目にすることは増えてきたけど、お腹を大きくした友達の姿を実際に見るのは初めてだった。どうリアクションすればいいかわからなくて「わっ!」とか「おっ!」みたいなことを言ったような気がする。友達が知らぬ間に妊娠していた驚きをなんとか受け入れたあとに、不安がじんわりと押し寄せた。今からわたしは、出産を年末に控えた妊婦さんを助手席に乗せて、山奥にあるカフェまで30分かけて運転するのか。今この車に乗っているのはわたしと友達の2人ではない。3人いる。いや、もし双子だったら4人か。
見えない命を、確かに預かっている。そのことに気づいた途端に心拍数は上がり、ハンドルを握る手はかすかに震え、首から肩にかけての筋肉は力んで硬直した。「めっちゃ緊張するわ、どうしよう」みたいなことを口走りながらなんとか運転したけど、こんなに頼りないドライバーに命を預けていた友達はさぞ不安だっただろう。
約5年間、毎日欠かさず運転してきたけど、こんなに怖くなったのは自動車学校の路上教習で初めて公道に出たとき以来だった。これまで培ってきた運転スキルを駆使し、法定速度マイナス5キロくらいを維持しながらゆっくりと走った。段差のある場所を通るたびに変な汗が出たけど、事故を起こすことなく無事にカフェまでたどりつけた。
店はわたしが選んで事前に予約していたけど、当然ながら妊婦さんが食べられるものがあるかどうか考慮して選んではいなかった。不安だったけど、優しい味付けのおかずやお味噌汁が食べられる和食の店を選んでいたので、妊娠中でも問題なく食べられるものばかりだった。心底ほっとした。友達も「いま食べられる料理の中でベストなものを選んでくれた」とすごく喜んでくれた。昨日は雨が強くて寒かったけど、お店の中はあったかくて、お茶もお味噌汁もどれも温かかったのが本当にありがたかった。
2軒目の店もすごくゆったりとした雰囲気で、混雑もなく落ち着いていた。駐車場からお店まで少し歩かなきゃいけなかったのは彼女の体を思うと少し心配だったけど、「少しは運動した方が安産になるって聞くから全然いいよ」と言って一緒に歩いてくれた。
妊婦になった友達から聞く話は、知らないことばかりだった。妊娠の初期症状はどういうものがあるのかとか、つわりは人それぞれだとか、生ものは控えた方がいいとか、卵かけご飯が食べられなくてつらいとか、そういうことを話してくれた。初めてのことだからきっとすごく不安だと思うけど、彼女は終始明るかった。しっかりしてるなあと思った。うまく言葉に出来ないけど、自分の人生に対して、どっしり構えているような感じがした。
帰り際、子供が産まれて落ち着いたらまた会いたいと言ってくれてうれしかった。家を建てたら遊びに来てよとも言ってくれた。高校3年間を共にした部活仲間が、お母さんになっても会ってくれるなんて、こんなにうれしいことはない。おこがましいけど、わたしと会うことが彼女にとっての息抜きになればいいなと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?