ロースト。
ギターの話をしていて「ロースト」という言葉と結びつくというのは、僕がギターを弾き始めた40年くらい前には考えられなかったのではないかと思うのですが、そのローストの話。
最近、というかちょっと前ですね、「ローステッドメイプル」という記述を見かけるようになって。なんだろうと思っていましたが、ギターのネック材をロースト(roast)することによって油分や水分を抜いちゃう。そうすると硬くなって、ヴィンテージと同じ感じになる、と。経年変化でからっからに乾いた感じを人工的に作り出そうとしてる、というところでしょうか。たしかにヴィンテージギターと現行品のいちばんの違いはそこ…とはいえ塗装も違いますからね。わかりにくいですけど、ヴィンテージのネックの硬い感じはたしかにわかります。で、現行品との一番の差を感じるところは重さ、というか軽さ。たぶん油分水分(らいみん)をまだ含んでいる分だけ重いのではないかと推測します。なんか印象としては急に流行りだした感じありますけど、こういうネック、以前からあったんですかね?
ローステッドメイプルってのはエレキギターの話なんですけど、実はアコースティックギターでも最近これっぽい話があって。アコギの場合はトップ材。トップ材に処理を施している「トリファイドスプルース」っていうのをよく見かけるようになりました。トリファイド(torrefied)っていうのもroastedとかdriedとほぼ同じ意味で使われているようですね。木工の世界では昔からある技術、という風に検索すると出てきます。ビリヤードのキューなんかにも採用されているんですね。最近アコギのトップ材にこの処理を施しているものがヴィンテージレプリカ的なモデルに見られます。これもヴィンテージのニュアンスを求めての感じ。
10年位前からヤマハもAREとかいう加工でたぶん同じニュアンスなんだと思うんですけど、トップの鳴りを乾いた感じになるようにしてますよね。量産品に対して技術的にこういうことが可能になったということなのでしょう。
ヴィンテージ礼賛というわけでもなく…まあ使ってますけど…レリック仕様っていうのが僕は苦手で…苦手っていうか自分で傷つけたい方なんで(笑)、きれいな方がいいんですけど、このロースト加工は音だけ古い感じになるって言うんで、ちょっと今後の経年変化が楽しみです。実はこないだからよくアップしているHIDAKAギターがこのトリファイドスプルースなんですよ。日高くんによると力木にもトリファイド材を採用しているらしく。まだまだ新品なので枯れた感じというのはそんなに感じませんが、倍音の感じはいわゆる新品の感じと違う気がします…思い込み?(笑)。今後さらに化けるのか…いや、もしかしたらもう枯れてるからそんなに変わらないのか?わからなくなる^^;
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