ブルークリスマスという映画。
46年。時間の経過というのは言葉にすると恐ろしいですね。
1978年の作品、ブルークリスマス。僕はこの年、小学校6年生。ようやく周りのことに興味を持ったというか、音楽やラジオや…サブカルチャー的文化が自分に伝来した頃でした。まあでも何も知らなかった。よく言えば、作品を作品として楽しめていた頃。誰が何を演じているとか思いもしない。その人がその人生を生きていると思う。フィクションの意味がわからない頃でした。
岡本喜八監督、倉本聰脚本というコンビ、そしてものすごいキャスト。この映画にはかなりの力が注がれていたのかなあと思えるような豪華キャストに見えます。
この春、WOWOWで放送されたのを観る機会に恵まれました。前に雲を翔びこせを見た話を書きましたが、あれに続くCharネタです。
この作品で、Charさんは主題歌を担当しています。この「ブルークリスマス」という曲、僕は20周年記念でリリースされたアルバムCHARACTERを聴くまで、まったく知りませんでした。
全編通して、イントロから歌い出しのとこらへんまでが何度も繰り返されるのですが、登場する「ヒューマノイド」というバンドの曲という設定のこの曲、演奏はされません。ラジオやなんかでオンエアされる、という流れ。
脚本もキャストも、東宝がこの作品に注いだ意欲を感じますけど、たぶん早すぎたんでしょうね。時代のはるか先を行っていた気がする。あの頃はもう少しシンプルな感じのザッツフィクションって方がウケたんじゃないのかな。仲代達也を中心に展開する政治サスペンス的な流れと竹下景子と勝野洋の間の恋愛流れとをSFの中で語るという設定が、たぶん誰をターゲットにしているのか、当時には伝わらなかったんじゃないかなと思います。事実、スターウォーズと宇宙戦艦ヤマトが大ヒットしていた中で、この作品はまったくウケなかったらしい。それもよくわかるというか、これをSFというにはあまりにも日常に近い。血が青い、という以外にはいわゆるSFの特撮的なニュアンスは何もありません。UFOを見たと言っても別に宇宙人が出てくるわけではない。光を浴びる。それだけ。ロボトミー手術という言葉が唯一時代を感じさせるかな。大人の見るSFとは、という感じだったのかなと思います。作品そのものは今の僕の歳で見てもドラマとして楽しめます。なんなら繰り返し見てる^ ^。セリフが秀逸なんです。むしろ今の時代の方がこの作品ウケるんじゃないかなあ。ただしめちゃくちゃ暗いんですよね。何も救いがない。希望もない。日本沈没でさえ、その先があったのに。映画が終わって、ただ「救いがないなあ」と思う。村上春樹の作品を読んだ時に感じるのと似ている。
今の時代にこれを見ると、あまりフィクションとして笑えないのが残念ですね。そういう意味では、倉本聰氏の先見性というべきか、あるいは作品中でもそういうセリフが出てきますけど、時代が変わっても人間は同じことを繰り返してしまうということなのか、どっちにしても、複雑な気持ちにさせられる作品です。
Amazonプライムでも観れるようです。興味ある方、ぜひ。Charさんは出て来ませんけど^ ^
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