スタート地点。
21世紀のすごいところは長い間心の中で眠っていた記憶を、目の前に連れて来てくれることです。
1979年、昭和54年。中1の年ですが、この年は自分が本格的に音楽にはまるほどたくさんの音楽番組がテレビでもラジオでも放送された年でした。いや、正確にはそういう番組の存在に自分が気づいた年、ですね。
自分の自由になる音楽ツール「ラジカセ」を手に入れたことが大きかったんだと思います。AIWAの安いモノラルラジカセ。そんなものでも宝物でした。ステレオでもないし、というかステレオかモノラルかなんて意識してなかったなあ。のちに左と右で聞こえてくる音が違うのを体験して驚くという(笑)。ひたすらラジオを聴いてはお目当ての曲を録音して、みたいな。今聴けばわかるけど、当時はAMの音が悪いとかそういう発想はなかったですね。音の良し悪しよりも音楽の良し悪しというか。とにかく音楽に飢えていた感じ。あのころがいちばんメロディを聴いていたかもしれない。もう少しあとから「音楽は歌詞だ」とか思うようになったと思うんですね。いい曲なら何でも好きみたいなところありました。いい曲たくさんあった時代でした。
新聞を毎日チェックしては番組を探す。FM雑誌とかの存在を知るのはまだ先の話。なけなしの小遣いで買ったカセットテープを準備してーあのころは安くなかったですよねータイマーなんて知らないから、直前に正座する勢いで準備して、みたいな。そうやって少しずつ手元の音源を貯めていきました。この時代のせいでその数十年後、人生が狂っていくんですね(笑)。あの頃何でも手元にあれば普通の人生だったかも…想像できないけど^^;
その年、日本人初の武道館連続7日間公演!という触れ込みでアリスが「限りなき挑戦」というコンサートを行いました。このコンサートはそのあとの横浜スタジアム公演と合わせてライヴアルバムとしてリリースされています。
同時にこの春からのツアー全体が「美しき絆」という映画になって、公開されました。同時に連動したムック本がリリースされ、レコードを聴きながら演奏シーンを想像するという、今からは考えられない感じでしたが。
そんなある日、TBS系「日曜特バン」でアリスのこの公演が特集されると知りました。なけなしの小遣いでカセットテープをーDENONのテープだったなー買ってきてスタンバイ。MCも全部覚えるほど繰り返し聴いてました。
近年Youtubeでその映画の切り抜きみたいな映像に混じって、この特番からの切り出しと思われる映像があり、あ~もう一度見たいなあなんて思っていましたが、ついに!!アップしてくださった方に感謝。自分のスタート地点をもう一度、それも繰り返し見れるってなんて幸せなんでしょう^^
改めて映像を見直すと、当時は当然ながら気づいていなかったことを今のボキャブラリーで見れるので、二度三度楽しめます^^。いやー病んでるな(笑)。チンペイさんのEmの話はこないだも書きましたけど、なんとハンマリングする様子とかね、珍しいですね。それで人差し指が立つのかあ、なんてね。エバリーブラザーズモデルWJ-100SKの全盛期。カッコいいなあ、欲しいなあと思い焦がれていたことを思い出しました。キンちゃんのピアノ弾く様子も、今見るとそうやってるのかとわかります。あのころこんな場面があったとか気づいてなかったなあ。録音した後は記憶に頼るだけですからね。
憧れまくっていた彼らが、折に触れて「30歳」と繰り返し言っている意味は、中学生には全くわかりませんでした。その2倍近い年になっても、当時の30歳は老成しているなあと思います。年齢を感じるというより感じたくなくても否が応でも感じてしまう今、彼らが言っていた「これから」ー「秋、そして冬」の季節へどう歩いていくか、なんてことを思いつつハンドインハンドを見ていました。