流星都市。
「あの頃の質のいい日本語の曲やりたいんだよね。」ケイスケさんがそう言って選んだのは、山下達郎、ブレッド&バター、そして小坂忠。2年前のことです。
僕にとっては三者ともどっちかというと聴く方。唯一ブレバタは一時期すごくハマってコピーしていたので、やり始めると止まらなくなるのを抑えながらでしたが^ ^。その中でいちばん手をつけたことがなかったのが小坂忠さん。でも、実はほうろうアルバムを僕は2回も買っているのです。
最初は日本語のロック的な音楽を漁りまくっている時に買った。エレックとかベルウッドとか大量に再発された時期、ありましたよね。あまりにマニアックすぎて地方のレンタル屋に並びそうもないから狂ったように買っていた。ただ、その頃はまだチャーさんもちゃんとコピーしていない頃。だからほうろうのイントロのコードからもう想像できないわけですよ。なんだこのコード?みたいな^ ^。で、さらにその頃は高い声命みたいな時期でしたから、忠さんの渋い声にうまく反応できなかった。
それでいったん手放してしまったんだけど、また数年後に買うんです。あの時は…たしか茂さんがギター弾いてるって言うんで、そういやギター意識して聴いたことなかったなと思って買った。改めて聴いてもそんなにギターギターしてるわけじゃないから、こんな感じかーっていうくらいでしたけど。
ところが。ケイスケさんに「これとこれとこれ」って言われて、自分が歌う前提になって聴いて、なんか衝撃的な感じになった。
もともとフォーク出身ですから、まあ、昨日のエントリもそうだけど、ダイレクトに言葉が入ってくる曲に抵抗ないんです。ていうかむしろそっちが好き。何言ってんのかわかんないとか詞はどうでもいいとかいう人の曲は得意じゃない。メッセージとまでは言わなくても想いが知りたい。このへんが青臭いところだったんですね。歌ってみて初めて気づく細かいあれこれ。うわー気持ちいい。歌い手とバックバンドじゃない感じ。実際のところはどうだか知りませんけど、演奏していて曲に吸い込まれる感じになる。まあバンドのみなさんが凄腕だったせいもあるでしょうが、とにかく気持ちよかった。
このアルバムの中で「流星都市」っていう曲がお気に入りなんです。SFを歌うってフィクションの中でもとりわけ難しいというか、そういう歌やってる人あんまり聞いたことない。絵を共有するのが難しいから。歌詞カードも見ないで鼻歌歌ってる時には気づきもしなかったHGウェルズは歌って心踊るんですよねー。ただ僕がおかしいだけかもしれません^ ^歌ってみて初めて歌詞の凄さとか、歌い回しとか、出過ぎない演奏とか、さりげなく難しいコードとか^ ^宝物がたくさん詰まったアルバムだと気づきました。遅い。そういう意味では自分の成長を知る物差しというか、やっと少し理解できるような気になったというか。50で(大汗)。
ちょっと前、KenKenが忠さんがんばれみたいなツイートしてたので予感はあったんだけど、生で聴く機会に辿り着けなかったのが残念でした。ご冥福をお祈りします。
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