ピンクペイズリー。
Charと言えばムスタング。この45年あまり 、2020ムスタングまで実にたくさんのモデルを使用してきたCharさん。もちろんご本人はそれを狙ったわけではないでしょうが、結果的に手にした色と年代のムスタングたちの市場価格を高められて(笑)きました。その結果、マニアにとっては「いつの時期」の「どれ」かが、また興味とコピーの対象になってくるという^^。本記事はそんな行き過ぎた(笑)マニアのレポートです。
Mustangs and Char。
「Charモデル」としてリリースされたムスタングは現時点(2022年)でUSAカスタムショップ製が2種類。そしてJapanのムスタングが1種類。2013年にリリース(発表は2012年)されたFree Spirits、そしてPink Loud。その後2019年にメイドインジャパンのChar2020ムスタング。まあこれは羊の皮をかぶった(未年生まれだけに^ ^)ストラト風味の強いモデルですが。気が付けば、一人のギタリストのモデルとしてはたくさん出ていますよね。USAフェンダーでは長らく生産されていなかったムスタングを復活「させた」というのは画期的なことだったと思います。
そのご本人が最近使っているのが、「ピンクペイズリー」フィニッシュのムスタング。少し前からライヴの場面では登場していましたが、Player誌2021年11月号ニューアルバムのリリースに伴う特集記事で初めて公式に?お目見えしました。
この記事の中で「Free Spirits/Pink Loudのリフィニッシュ」というのが分かったわけですが、当然ながらこれが一般向けにリリースされるとは限らない。ふと30年くらい前を思い出します^^——いまではふつうの?というか知っている人も多いバーガンディミストカラーですけど、USAはもちろんジャパフェンでも90年当時はどこにもなくて。大手量販店のスポットオーダーを経てジャパンから出るまでにもずいぶん時間がかかりました。当然ながら、売れる地域優先でしょうから、九州大分で見かけるようになるまでにはさらに時間がかかりました。どこが作っているのかとか流通やら取引の都合を知ったのもこの思い余ってこそ^^。当時はネットもないし、情報はほぼまったく入ってこない。結局僕は出ることをまったく予想していなくて、某工房にオーダーして作ってもらいました。ああ懐かしい(笑)。ないなら作るというのはあの頃から変わってないことに改めて気づく(爆笑)。
ピンクペイズリー。
一方、今回の目玉になっているこのペイズリー柄。フェンダーの歴史の中で、ピンクペイズリー、ブルーフラワーというフィニッシュのギターが出たのは60年代末期。68年頃のモデルです。もともとテレキャスターのフィニッシュ。ボディ形状の条件もあるでしょうね。コンターがないから貼りやすい。貼るのは「壁紙」。これを貼った上に塗装とオーバーコートを施したメタリックバーストフィニッシュのモデルです。紙でくるんでいるわけだから当然生鳴りは犠牲になるだろうと思いますが、「人と違う」のがいい「天邪鬼」な(笑)人の気持ちは間違いなくくすぐるであろうと^^
昨今は、「上手に探せば」見つからないものはないんじゃないかと思うくらいの情報があるweb上ですが、このペイズリーフィニッシュの自作についてもレポートを書かれている方がいらっしゃいます。DIY的なものに関しては、というかギターいじりに関しては海外の人がノウハウの公開には積極的?集合知的なところもあるんでしょうか?今はさらにYouTubeにも動画で解説があったりします。もちろん自己責任で的なところでしょうけどね^^。
DIY。
前回2020ムスタングの改造でもお世話になった全日本チャー同好会(勝手に命名^^)のH先輩に今回もお世話になりました。
最初ためらっていたのに、実際に先輩が作った一本を見ると「おお!」と心が動くのはいつものこと^^…またタイミングよく?うちに74年製のネックが一本余っていて(この時点で異常ですね…:笑)、さっそくジャパフェンのボディを調達。ピックアップは気絶を作った時に外した73年製。ポットやジャック等消耗パーツは新たに購入、これにH先輩にコーディネートしてもらってChar風味パーツを揃えていただき、スタート。
Wall Paper。
まず「壁紙」探し。われわれの狙いはペイズリーはペイズリーでも「あの模様の」ペイズリー^_^。これを探すところから。海外のサイトを探り、問い合わせして。のちに気づきましたけど日本にも販売されている方がいらっしゃいますね。デカールと紙とサイズに注意。ちょっと前に日本製フェンダーからペイズリー柄のストラトが出ていましたが、あれはどっちでしょうか?要は壁紙だと凸凹がある。オリジナルのフェンダーヴィンテージは当然これ。対してデカールはつるんとしている。現在ネット上に出てくる記事では壁紙を明記されているところとそうでないところがあります。作業上、そして出来上がりを考えれば当然デカールの方が凸凹のない分楽だし、きれいに仕上がると思います。あとはその質感みたいなところまでこだわるかとか二次的な好みでしょうか^^。僕はなんかの記事で、このモデルは(壁紙でくるんでいる分)重いというのを読んだ記憶があって、その感じに興味があったので、壁紙仕様で先輩にオーダー。Charさんのはどっちなんでしょう?
工程。
ここからの作業はH先輩によるものです。たいへんお世話になりました^^。なお、改造はあくまで個人の楽しみによるもので、なんらかの権利を害する意図は全くありません。当然のことながら改造をお薦めしているわけでもありません。以上の点を最初にお断りしておきます。
今回調達したのはMG65-86のスラブ白ボディ。フリースピリッツに合わせてというのはもちろんだけど、紙を貼る前提ではコンターボディはやりにくいですよね。まずは塗装剥がしから。
74年のネックはポリがかなり硬化していてたいへんだったらしい。
剥がし完了。
ピックガードは、オリジナルのペイズリーテレキャスターは透明なんですよね。そのピックアップまわりの配線とかを見えなくするために?ピックアップ周辺部分に塗装を吹いてある。それに合わせてボディの外周にバーストを吹いてある。うまい処理^^。Charさんのムスタングはボディ上の柄とピックガード上の柄が違うので、クリアガードではないとわかります。もとのピックガードの上にペイズリーデカールを貼ってその上にフィルムでコート。
Charさんのは新品の改造だからパーツが真っ白なんですけど、僕のはペグ(ネック)がすでにヴィンテージなので、全体のトーンをそれに合わせてカバーやスイッチもそれ風味にしてもらいました。
「74年」というのを少し説明すると、「74年のムスタングにはアルダーボディのものがある」「よく鳴る」みたいな話があって、本当かな?と思って探したことがあるんです。アルダーボディのものは確かに存在します。鳴りに関しては、正直個体差の範疇だろうし、好みの問題だろうし、そもそもそういう意図でムスタングを弾き比べたり買いそろえたりする人は少ないでしょうし(笑)。まあ70年代後半のムスタングと比べれば同じポリ塗装でも明らかに違いはあります。可能性を秘めているというか(笑)、後半のは鳴りという概念を棄てている鳴らなさぶりですからね(個人の印象です)。困ったことにその音でしか鳴らないからその時期のやつ持ってないとダメというマニア泣かせなんですけど(笑)。H先輩はわざわざこの年代のコンデンサを調達して、ヴィンテージ同様のアース配線までしてくださって、そのうえでフリスピ配線。ネックまわりもものすごくきれいに修正・調整していただき大感謝。お世話になりました。無事完成です。晴れ続きの2022年4月でよかった^^大切に使います。