シェア
6号室の196番
2020年9月11日 04:36
いたずらにじゃれあった夏の日が過ぎて、揺らめきたつ陽炎が夕立ちに溶ける。溶け出した夏の余韻で、すれ違う人の青い影が伸びていく。うんざりしていた蝉の声も今は少し懐かしい。朝に目覚めれば秋の虫が火照りを冷ますようにサラサラと鳴く。★今日は時間を割いてくれてありがとう。それなのに予期せぬ事があって僕は戻らなければならなくなった。「今日は、もう帰ろうか」行くべきか留まるべきか逡巡する僕を抱