おじさん、歩くことに目覚める。

毎日が同じ、趣味もなく、ただ生きているだけのおじさんが、
歩くことにワクワクしている。

子供の頃、どこまでも歩ける気がしてた。
自転車に乗れるようになり、世界が拡がった。

歳をとるごとに、自分の足を使わなくなってきた。
電車にのる。車に乗る。
世界は拡がれど、自分の力ではなく、受け身で。

いざ歩くと楽しい。
道端のちょっとした草花がいとおしい。
車窓から見る一瞬の景色と、
自分の足で歩く自分の時間感覚で見る景色。

全く違う。

好奇心と言うものは、年をとるごとに衰退していくと言うが、
今、歩くことが好奇心なのだ。