祖父母の使っていた昭和の麻雀用語

私は小学生くらいの頃、よく祖父母を相手に家族麻雀をしていた。
あれから数十年。私は今でも友人らと麻雀をする事はあるが、祖父はとっくに亡くなり、祖母は認知症を患って卓を囲む事はできなくなった。
ふと思い返せば、祖父母が使う麻雀用語は今私たちが使うものと少し違っていたように思う。
きっと昭和の人々が使っていた古い麻雀用語なのだろう。このまま忘れ去られてしまうのも何だか寂しいので、その一部をここへ記録しておく事にする。


1.「ドンドン」

ドンドンとは、場ゾロの事である。
…と言っても、若い人はまだなんだか分からないかも知れない。場ゾロはアガリの点数計算の時に使うものである。アガリの点数は、2を(飜数+2)乗したものに符をかける事でまず基準点を出し、その基準点を基に算出される。その際の「+2」が場ゾロであり、ドンドンなのである。
…符計算に馴染みが無く、まだピンと来ない人も多いだろうが、ともかく私の祖母は役を数える時にドンドンと言っていたと思う。「中ドンドンで1000点」「中、東、ホンイツドンドンで満貫」という具合だ。
一般的にはドンドンではなくバンバンと言う場合が多いようだが、最近はいずれもも言う人が少なくなってきたように思う。
なお、ちょっと古めの麻雀漫画を読むとバンバンはわりあいよく出てくる。有名な賭博漫画の「カイジ」でもバンバンと言うシーンがあった。

2.「マクラ」

マクラとは、雀頭・アタマの事である。これは聞いた事のある人も多いかも知れない。
「マクラが無い」「ドラがマクラだ」とか言ったりする。これは祖父母だけでなく両親も言っていたような気がしており、私も大人になってからも使っていたが、いつの間にかアタマと呼ぶようになった。

3.「もの」

ものとは、ドラの事である。
祖母が使っていた言葉で、「ものが乗った」「タンヤオもの1ドンドンで2600点」と言ったりする。なお「裏もの」「カンもの」とは言わない。裏ドラは普通に裏ドラである。
これに関しては、祖母の口以外から聞いた事が無い。祖父も両親も使っていなかったし、ネットや創作物も含めてドラをものと呼んでいる人は見かけない。
恐らく方言で無いかと思っている。同じ使い方を聞いた事がある人がいたらぜひ教えて頂きたい。
ちなみに、祖母は兵庫県の生まれで、確か宝塚あたりに生家があった。

4.「東場は西も場風」

これは用語では無くルールである。我が家の麻雀では、東場は西も場風として1飜ついた。南場では、南と北が場風として1飜ついた。
私は中学生ぐらいまでそれが普通のルールだと思っていたが、世間でそういうルールを採用しているのは見た事が無い。昔、本だかネットだかで1度だけ、そういうルールもあるという記述を見た事があるので、我が家だけのローカルルールという訳では無いようだ。


以上、祖父母(主に祖母)が使っていた麻雀用語やローカルルールである。もっとあったような気もするが、残念ながら忘れてしまった。
近頃、方言を保存しようとする動きがけっこう盛んだったりはするが、恐らく麻雀用語はその中には入っていない。「ドンドン」などは、私が老人になる頃には完全に忘れ去られてしまうのではないか。
仕方のないことかも知れないが、なんの痕跡も残さずに消えてしまうのは寂しいので、せめてここへ書き残しておきたい。また、皆さんが聞いた事のある古い麻雀用語があったら、ぜひ教えていただきたい。


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