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見捨てられがちな、高齢者の骨折~圧迫骨折と骨盤骨折~

【写真】E233系です。色もフォルムも善きですなー。

この記事は、圧迫骨折と骨盤骨折って同じなんですっていう、変化球から入りたい内容です。
どう同じかっていえば、同じく転倒や打撲がまねく骨折だってことのほか、入院できずに見捨てられがちな疾患だってことで同じなんです。

いわゆる疾患名っていうのは、医者の業務を行うためのコーディングであって、ソーシャルワーカーは自分の業務にあわせた視点で、それぞれの疾患を頭の中で再編成する必要があるんです。

そんで、ソーシャルワーカーの視点っていうのは生活者の視点と共通するところが多いので、生活者全般に有用な視点なんじゃないかとも思います。

転倒や打撲で受傷
圧迫骨折や骨盤骨折は、ほぼほぼ高齢者特有の疾患といって良いと思います。テレビ番組の悪ふざけで、落とし穴に落とされたりすると、若くても受傷するみたいですが。
高齢者の場合は、骨粗鬆症や筋力低下なんかを背景に、転倒や打撲で、背骨や骨盤が骨折してしまうことで、痛みで身動きできないくらいになります。なので、救急搬送を要請をすることになります。

で、立派な病院の救急外来について、圧迫骨折や骨盤骨折だってわかると、「帰れ」って言われたりします。
病院でやることはないので、家で安静にしていてくださいってことなんです。

なんで帰れなんていうのよ!
金にならんからです。
圧迫骨折や骨盤骨折の多くは、手術適応がありません。
安静にしてひたすら痛みが引くのを待つしかないんです。
安静にしているだけの患者さんと、手術やらなんやらっていろいろやる患者さんを入院させる場合、病院にとってどっちのほうがいいと思いますか?
こういう点は、「入院したら、一緒に白内障の検査もしてもらおうかな」ぐらいに思っている市民側の意識とはけっこう離れています。

この疾患で入院に至った場合、その病院は、とても芯の通った医療者達の集まりだって思ったほうが良いと思います。
デフォルトでは入院できないと思っておいて、入院できたら感謝ってくらいに考えておきましょう。政治家だったら雲隠れのためでも保険診療で入院できます笑

問題なのは家に帰ってから
病院に入院させてもらえず、家に返された場合、すったもんだの末に、包括支援センターがケアマネジャーを紹介してくれ、良心的な業者が即日に、介護ベッドを家にいれてくれたとしましょう。
だけど、良かったねっていってる場合でもなくって、トイレはどうすんの?とかって課題にあたります。
「そういうときには訪問介護があるね」って、おしっこやうんちが出たときに都合よく、来てくれるわけないでしょう。
じゃあどうしようって考えつつ、「うんちってくさいよな~。」とか、いまさらなことを考えたりします。
そんな感じの場合には、家族間で、介護や家事の分担の崩壊がおきるでしょう。仕事が休めるかとかの以前に、介護を行う気持ちの上での準備ができていないからです。

「共倒れはよくない」みたいな言葉も飛び交いつつ、要介護も4くらいは出ることが見込まれるので、それをきっかけに特養に入居したりするケースも見られます。

一番大事なことはリハビリってのは、あたりまえだけど、それができない
高齢者の圧迫骨折や骨盤骨折で一番大事なのは、なんせ早期のリハビリです。痛みがありつつも体を動かして体力を維持することが大事で、リハ専門職のかかわりが必須です。
私が新米のソーシャルワーカーだったころ、整形外科医からは、「痛みが引くまで(3か月程度)、体力を落とさないように、どっか紹介してやれ」ってけっこううるさく言われました。「ばか野郎!」と同じくらい言われました笑
なんか、当たり前すぎてすみませんって話なんですけど、上で述べたように、リハビリをする環境が整わずに、回復困難な筋力低下に至る事例は少なくありません。
この病気は、痛みが引くまでの数か月を過ごす良いリハビリ環境が見つかれば、回復が期待できるって点では、予後について社会的な影響要因が大きい病気です。この記事ではこれが言いたかったことです。しつこいですが、それができないまんまで筋力低下が慢性化していく事例は少なくないってことです。

じゃあどうすればいいのか。
リハビリ病院とか、地域なんちゃら病棟とか、老健とかあるじゃん、といっても、最初の医療機関が入院させてくれないと、なかなかつながるのが難しいところです。

じゃあどうすればいいのかってことですけど、まず、ものすごーく、ファンダメンタルなことを言うと、家族はなるべく近くで暮らそう!だったりします。子は新宿やアメリカで夢を追い求めていますっていうのもいいですけどね。それなら、こういうときの対応を考えておくべきです。家族が遠隔でこういう事態をコントロールし切るとしたら、ざっくり100万~150万を見積もるか、要介護状態が重度化するのも仕方がないと、覚悟したほうがいいのかもしれません。

親族の介護を、自分ではない誰かがやるべきって無意識に思っている人、多いかもしれませんけど、すでに介護保険制度は成熟しないまま劣化の一方向に進んでいますから、もっぱら国の制度に頼って、それでうまくいくって考えないほうがいいと思います。私は日本は長期的には、個人単位から、再び、家族単位っていう傾向が強まると考えています。社会保障が脆弱になるんだから仕方がないでしょう。それに異議があるなら、選挙に迷わずいけよ、いけばわかるさ、ありがとー!って感じです。
ファンダメンタルというか、ファナティックなことを言ってますね笑 私はまともなことをいってると思っていますがね。

そういう暗い、抹香くさい話じゃなくて、具体的な方法の話のほうがいいかもしれません。

①入院させてくれってお願いする
無難なのは、救急外来で「帰れ」って言われたときに、入院させてもらえるよう頑張ることですね。その方法は各自で考えるのがいいと思います。

②医療ソーシャルワーカーに相談できるかチャレンジ
それでもダメって場合は、医者に、医療ソーシャルワーカーを呼んで、どっか別の入院先を紹介してくれって頼みます。
普通のアドバイスは、ここで終わりですが、私は少しひねくれているので、医療ソーシャルワーカーも関わってくれないことがある現状をお伝えします。
心のない病院の場合では、医療ソーシャルワーカーは、入院患者をさばいていく専門要員に成り下がっているところも散見されます。そういう病院の医者からは、「うちは、外来ではソーシャルワーカーはかかわりません」ってお断りが入ったりします。エレベーターに貼ってある「医療福祉相談室へようこそ」のポスターと話がちがうじゃんか!とか野暮なことは言わんといてください。

徹底抗戦するなら、「ちょっと電話で相談します」とかいって一旦間をおいて、知り合いに弁護士がいるなら、病院に一本電話をいれてもらったり(医者は弁護士が苦手です)、都道府県の医療整備を担当する部局(市じゃないですよ。病院を管理するのは都道府県です)に人権侵害の案件として電話を入れて交渉に臨むとかありますが、ベッドで寝ている人のことを考えると、ちょっと悲しいかもしれませんね。素直に帰ったほうがいいかもしれません。紹介状と画像データをもらって帰ってください。

③100万の拠出を覚悟して、包括支援センターと相談
一般的にうまくいく方法としては、緊急避難でショートスティに入って、リハビリが充実した老健などに入るって方法でしょう。
確実なのは、有料老人ホームの自費ショートスティに1日1万5000円くらいで入って、老健の空きを待つって方法です。それだけで、なんやかんやで初月は60万くらいはかかることになります。
この方法を切り札にもっておいて、あとは、包括支援センターやケアマネの方からの選択肢を聞きます。
介護保険の要介護認定前でも、特養とか老健のショートスティを調整してくれたり、早急に入れる老健や医療機関を見つけてくれたりっていう場合もあります。超強化型老健っていう区分の老健であったり、地域密着の医療を行っている小規模の医療機関(100床~200床くらい)で回復期リハ病床をもってる病院がねらい目です。
こういう調整って、普通の人にはわからんと思いますが、わかりやすく言えば、近本の守備範囲くらいすごいことです。

もちろん、老健に入るまでの1ヵ月くらいの期間を、家族で介護して、訪問リハビリで対処できれば、有料に入った場合の60万くらいは浮くわけです。

60万って高いって思うかもしれませんけど、老後に備えたもしものときのお金って、こういうときに使わなければ、他に使うときないですよ。今日がいちばんヤバイ日です。

まとめ 圧迫骨折・骨盤骨折と初期の対応について
・高齢期におきやすい疾患
・重篤さに反して入院ができない場合がある
・入院できない場合、回復不能な筋力低下に至ることがある
・リハビリを継続することで回復可能性もある
・適切なリハビリ環境におくための取り組みには苦労することもある
・こういう事態での専門職のスムーズな調整は、近本の守備範囲くらいすごい




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