どこからが夢かわかんない話
私はレイキから始まって、6種類くらいのエネルギー伝授を受けた。
その中のどこかでいわゆる「波動」、人や物のエネルギーがわかるようになったが、元々は霊感体質ではなく何かが視えたり不思議体験をするタイプではない。全て理屈で理解してやる方である。
さて、そんな私が一度だけどうにも不思議な体験をしたことがある。今でもあれは夢だったのか現実だったのかわからない。
因みに私は時系列に異常に弱いので、何年前のことなのかがさっぱり思い出せないのだが、まあ数年前ってことで。
ある夜、布団の中で天井を見ていた。
その当時は、寝る前に真っ暗にした寝室でエネルギーと遊ぶのが楽しい日課であった。仰向けに寝て暗い空間を見ていると、キラキラとラメのような光の点が降って来る。それを眺めながら眠りにつくのだ。その日もいつものよに光を手のひらに集めたりして遊んでいると、突然ゴゴゴゴゴーと言うかなりの圧を感じた。耳が詰まる様な、身体の周りを密度の濃いエネルギーが取り囲んで圧迫してくるような感じがした。「何か来た!」と思って少し怖くなった。心臓がバクバクして船の汽笛のような耳鳴りがした。じっと身を任せていると、体が宙に浮こうとしているのに気がついて、布団から離れないように抵抗したが、その内、仰向けの姿勢のままで床と天井の真ん中あたりまで浮き上がった。
幽体離脱であれば、寝ている自分の姿が見えたりするようだが、そんな様子ではなく、はっきりと肉体ごと浮いた。そのまま庭に出る戸の方へ進んでいき、戸の前で体は縦になり立ったまま宙に浮いている形になった。
すると戸の向こう側に、身長が3メートルくらいはありそうな大きな黒い人影が見えた。「あ。ミカエルが迎えに来た」となぜかそう思った。
そのまま戸をすり抜け、近所の空き地を通り(地面から1メートルくらい浮かんだ所を)あっという間に知らない国にいた。
何百年前?てな感じの石畳の坂道を地面すれすれに登っていく。コントロールはできない。すると長く円を描くようにカーブした坂道の上から大勢の人々が駆け下りて来た。みんな仮面(目の当たりだけを隠すマスク)をつけたり、何か仮装をしている。騒ぎながらわらわらと走って来る群衆に逆らって私は登り続ける。「ああ~、ぶつかる~」と思ったが、向こうは私が見えないようでどんどん私をすり抜けて坂道を降りて行った。そうか、下の広場で祭りがあるんだ。そのまま坂を登りつめ、石造りの塔の上に降りた。
そこで先にいた人たちと「あ、良かった。みんな来られたね」みたいな会話をして、花火を見た。
翌朝、目が覚めて「ああ、夢だったんだ」と思ったが、さてどこからが夢だったのか、最初から全部夢だったのかいまだにわからない。
その後、どうしても気になって、あの石でできた町の風景に似た写真を検索してみた。仮装した人たちがイタリアぽい雰囲気だったのでその界隈を検索。サンマリノ共和国という小国を見つけた。その国のことは知らなかったが、夢で見た風景にそっくりの写真があった。