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絵描きの視点からの見え方をSFの言葉で言語化したい。たまにSF小説を書いて公募に出して…

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絵描きの視点からの見え方をSFの言葉で言語化したい。たまにSF小説を書いて公募に出してます。 第3回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト審査員賞

最近の記事

テッド・チャンのスペインでのAI企業批判を紹介するついでに、感想を書きました

 先日11/8に、スペインのバルセロナで開かれた、「The 42nd Festival of Fantastic Genres」というイベントでのチャンの発言らしいです。  今回は、特にAIアート批判という感じではありませんでした。「AIは資本主義のナイフの刃を研ぐ研ぎ器である」という見出しどおり、そんな感じのいつも通りのビッグテック批判です。  これで全てなんでしょうか?まだ講演みたいなものをする?  スペイン語→英語をグーグル翻訳、その英語を自分で翻訳しました。でも、途

    • トム・ヨークがAI無断学習を批判する声明に署名した件ついて

       2024/10/23、トム・ヨークをはじめ1万人以上の著名なクリエイターが各種団体と共に署名した、生成AIによる創作物の無断学習を非難する声明が発表されました。〝Statement on AI training〟というシンプルな名前の声明です。いい略称とかがあればいいのですが、ここではそのまま呼びます。  初期の署名リストには、カズオ・イシグロやテッド・チャンがいます。自分が昔から最も尊敬していた作家たちが生成AI批判者になっているので、答え合わせ感があります。(カズオ・

      • 絵画版の生成文法について考えています

         要するに一言で言えば、「ことばを使う能力」は生得的に脳に組み込まれた機能のおかげ、とチョムスキーが言ったわけですが、「絵を描く能力」にもそういう機能があるのでは?という話です。  いったんは言語版の生成文法の話から始めます。  このエッセイで、チョムスキーはLLMをボロクソに批判しているわけですが、彼がLLMに知能がないと言う理由はLLMが「次のトークンを統計的に予想する」形でしか言語を使わないからです。チョムスキーは知性には予測能力だけではなく、説明能力が必要だと言い

        • テッド・チャンによる生成AI批判と自由意志の話

          ◆前回の記事の短い補足 前回の記事に貼ったリンクの記事内で、テッド・チャンの韓国での講演のサイトを紹介しましたが、私はこれを自力で発見できませんでした。ネットでテッド・チャンファンの方が紹介しておられたのを、勝手に共有しました。 これは自分が、チャンの行動をすべて追う探索能力がないことを示しています。 だから私は「紹介する活動をしてます」と言いましたが、その能力を信頼しないでください。活動とすら言えません。継続するか不明。でもファンではあります。 また、自動翻訳も本来、使う

        テッド・チャンのスペインでのAI企業批判を紹介するついでに、感想を書きました

          テッド・チャン「生成AIは著作権ロンダリングツール」

          まさかそんな、世界最高のSF作家のテッド・チャンが 反AIの絵師と同じこと言うわけないでしょ…… では、ニューヨーカー誌での8月31日に発表されたチャンのエッセイを読んでみましょう。 Why A.I. Isn’t Going to Make Art 「なぜAIはアートを作ることがないのか」 言ってた…… テッド・チャンによれば、生成AIは 「著作権で保護されたデータのマネーロンダリング」 「罪悪感なしに盗作のような行為に従事させるプログラム」 「私たちを本来の私たち、

          テッド・チャン「生成AIは著作権ロンダリングツール」

          なぜ日本SF界は人間のアートの側に立たなかったのか

           生成AIユーザーが自己を正当化するときに使うのが人間とAIの学習の類似です。もう少し複雑にとらえている人もいるかもしれませんが、人間も他の人間から学んでいるのでいいじゃないかという言い訳はnoteでは日に何回も見ます。  これを否定するのは本来はSF作家の役目でした。  テッド・チャンやグレッグ・イーガンはその役目を果たし、人間の学習と生成AIの学習は違うと明確に言っています。  イーガンはLLMが永久に推論能力=知能を持たないことを引用しています。また、LLMがAGIの

          なぜ日本SF界は人間のアートの側に立たなかったのか

          小説は運ゲーでイラストは熱だと思いました

          日記から入りますが、さなコン2024(pixivの短編SF小説のコンテスト)は普通に落ちました 去年は審査員賞に残ってうれしかったですが今年は無理でした 今回はメメントとゾンビを混ぜたジャンル混成ものって感じでしたが 去年みたいにパンチがないなと思っていたのでまあ 無理と最初思ってたけどなぜか時間が経つと良かったんじゃないか?と期待するようになってしまったんですね やっぱり小説はよくわからない 絵と違ってどうすれば受けるのかわからない 文学方面の人とそもそも会ったことないし

          小説は運ゲーでイラストは熱だと思いました

          AIイラストが創作ではなく引用の一形態であることを示す思考実験

           イーガンの『ゼンデギ』というSF小説の短い紹介から始めます。それは、一言で言えば「脳そのものを学習素材とし、脳活動を出力する生成AI」の話です。それは数千のドナーの脳神経の構造を平準化した基幹部分と、LoRAのように特定の個人を模倣する部分からなります。  これによって、特定の人間の人格そのもののエミュレートができます。人格LoRAです。作中では精度が低く完全なコピーではないのですが、そこは今回の本題ではありません。  さて、この人格コピーに絵を描かせたら、著作権侵害は起

          AIイラストが創作ではなく引用の一形態であることを示す思考実験

          海外ハードSF作家がどのように生成AIを批判しているか

          「人間絵師ですが生成AIには感謝しています」というふざけたタイトルから変えたので序盤の構成が変だと思います。後半は現状のタイトル通り、SF作家の発言を紹介しています。  自分が絵師であり、生成AIに感謝しているのは本当です。どう感謝しているかというと、絵師でなおかつSF小説界隈に顔を出している者からすると、絵とSFという結びつきづらかった二者を結びつけてくれたからです。  SF小説を書いて公募に受かろうと思った場合、(ハード)SF小説を書くには研究者やテック系の人が有利で、

          海外ハードSF作家がどのように生成AIを批判しているか

          「絵師が生成AI問題について知ってもらうためにSF小説を書いてる」活動の報告

           この活動はひっそりと一年間、複数の作品の応募をすることで続けていましたが、ひとまず簡潔に、直近の報告と作品の紹介をします。そのうち、一年間のまとめについても記事で書くかも。(落選ばかりで成果がないと思われるかもしれないので書いておくと、さなコン3では審査員賞という成果がありました。でも、それはテーマを前面に出さなかったからでした) https://note.com/roncele/n/n5dcc77f2205c  この記事で報告した『大いなる養蜂家』という小説を、ハヤカワ

          「絵師が生成AI問題について知ってもらうためにSF小説を書いてる」活動の報告

          テッド・チャンしか信用できるSF作家がいない件

          さすチャン これ画像は既出ですが新しいインタビューみたいです。 「生成AIはアートを作るためのものではない」と言ってくれたのはよかったです。前は「小説執筆には役に立たない」くらいの言い方だったのが、アートにまで範囲が拡張されました。 生成AIの有害性は専門外の話題だとわからなくて甘くなることがあるので、チャンも「小説はクソだけど絵は便利でいいんじゃない」と言うことがあったら残念だなと思っていましたが、そんなことはなかったです。 自分でも、翻訳に対する認識が甘いところがあり

          テッド・チャンしか信用できるSF作家がいない件

          「脳内イメージを具現化できたら俺も神絵師なのに」批判

          「脳内イメージを具現化できたら俺も神絵師なのに」 と思ったことはあるでしょうか。 あるいはもっとシンプルに、 「頭の中のイメージを絵に出来たらいいのに」 とか。 これらに類する気持ちを持ったことがある人は多いと思います。自分もです。 最近はイラストAIまわりで見ることが多いように思いますが、SF小説の中でもよく登場しました。「脳内イメージ具現化装置」みたいなガジェットはよくあったと思います。2023年には実際にfMRIと生成AIを使って脳内イメージ(メンタルイメージと呼ばれ

          「脳内イメージを具現化できたら俺も神絵師なのに」批判

          人間とAIの学習の違いをオートポイエーシス論で説明したい

          オートポイエーシス論を使って生成AIの無断学習を批判できたらいいなぁというテストです。 オートポイエーシス論が何かというのは下のほうでちょっとだけ説明します。 最初に、画像生成AIによる著作物の無断学習はなぜ問題なのだろうという問題意識から始めます。 画像生成AIの無断学習に問題がないと思う人の主張は、 「なぜ人間も様々な著作物から学習しているのに、AIのそれだけを絵師は批判するのか」 という感じだと思います。 これを言い換えると、 「人間の学習と機械学習はどう違うのか」

          人間とAIの学習の違いをオートポイエーシス論で説明したい

          絵師が「生成AIの無断学習問題がテーマの小説」を書いて公募に出してみた

          そのXでの報告。 カクヨムに公開してある小説全文がこれです。 結果、一次通過しましたが二次通過できませんでした。残念。 公募中はカクヨムで非公開にしなければならなかったので、ほとんど閲覧されていません。 まだほとんど読まれていないということで、一番読んでほしい人たちに全く届いていない状況です。 一番読んでほしい人たちというのはもちろん、AI問題を憂いている人たち、人間絵師と、それを支持してくれる人たちです。#NOMORE無断生成AIというタグを使っている人たち。規制を訴

          絵師が「生成AIの無断学習問題がテーマの小説」を書いて公募に出してみた