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<第10回>Step4-1.執筆(前編)〜➀題材メモをどうやって膨らませて書くの?【文章の書き方入門講座】
こんにちは。
戦略マスター頼朝です。
文章の書き方入門講座・第10回は、Step4.「執筆」(前編)のやり方についてご説明していきます。
テーマ決め→取材→構成と進んできたら、文章を書くための大切な下準備はできたことになります。
そこで、いよいよ文章を書いていく段階である「執筆」に入っていきましょう。
ただ、下準備はできているにもかかわらず、いざ文章を書こうとするとペンが止まってしまう方も多いですね。
では、どうやったらスムーズに文章を書けるようになるのでしょうか?
ポイントは、題材メモの内容を膨らませて書くことと、日本語として読みやすい文を書くための工夫を身につけることです。
それでは具体的に見ていきましょう。
戦略マスター頼朝@文章術でブランディング/リーダーシップ論(@6VQGPJH3FHYoZn6)さん / X (twitter.com)
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1.題材メモの内容をどうやって膨らませて書くか?
題材メモの内容はあくまで骨組みに過ぎません。
確かに、構成をしっかり練ることができていれば、題材メモの内容をただつなげて書いただけでも、一応意味が通ることは通ります。
しかし、そのような文章ですと、そっけなくて、あまり読み応えがないものになってしまいます。
せっかく人に読んでもらうために文章を書くのですから、できるだけ興味を持ってもらい、楽しく読んでほしいですよね。
そのため、執筆段階では、題材メモに書いた内容を膨らませて(=肉付けして)書くようにしましょう。
文章の肉付けの仕方については色々な工夫がありますので、これから具体的にご説明していきます。
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1-1.人の動作や場所の様子を口頭で具体的に説明してみる
まず、表現の工夫の1つとして、人に話をして伝えたいことを説明する時と同じように、人の動作や物事・場所などの様子を具体的な言葉で説明してみると良いでしょう。
いざ文章を書こうとするとペンが止まりがちな人でも、会話で相手に伝えようとする時には、様々な言葉を使い、理解してもらえるように具体的に説明しますよね。
そうすると、自然に題材メモの内容が膨らんで、読み応えのある文章になるはずです。
例えば、小学校4年生の生徒さんに作文指導をする場合、私はインタビュアーになったつもりで、その子に題材メモの内容を色々と質問してみます。
すると、題材メモの束を前にペンが止まっていた子も、口頭では説明するための言葉がたくさん出てきます。
それを見て、私は
「それだよ。それを書けばいいんだよ。
今、口で説明してくれた内容は分かりやすかったからね。」
と伝えます。
生徒も
「あ、そうなんだ。それでいいんだ!」
と言って、暗かった表情がパッと明るくなります。
それからはペンがどんどん進み始め、文章を書くのを楽しく感じてくれることが多いです。
また、人の動作や物事・場所などの様子を具体的な言葉で説明することによって、読み手にイメージを持ってもらいやすくなります。
(例)
❌ 駅前でカラスに追いかけられて怖かった。
⭕️ 暑い日の昼下がりに駅前を歩いていたら、後ろから鳥が羽ばたく音が聞こえてきた。
振り返ったらカラスが目前に迫っていて、鋭い爪で頭を引っかかれそうになった。
普段はそんな経験をしたことはない。
そのため、カラスがかなり速いスピードで猛然と襲ってきたことに恐怖を感じた。
また、題材メモの内容を膨らませて書きたい時には、説明したい具体的な相手を思い浮かべながら文章を考えると良いでしょう。
そうすることによって、どんな言葉を使って題材メモの内容を膨らませれば良いのかについてイメージが湧きやすくなるからです。
相手に対して自分が言いたいことをしっかり伝えるためにはどんな言葉が必要なのかが、自然に思い浮かぶようになります。
したがって、一番伝えたい相手のことを思い浮かべながら、どんな言葉を補えば伝わりやすくなるのかを考えることにより、題材メモの内容を膨らませてみましょう。
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1-2.自分の五感を使って感じたことを書く
「五感」とは、視覚(見る)、聴覚(聞く)、嗅覚(臭いをかぐ)、味覚(味わう)、触覚(触る)の5つの感覚のことです。
自分の五感を使って感じたことを言葉で説明すると、文章を詳しく肉付けすることができます。
自分の五感で感じたことは自分だけの体験です。
体験を書くことで、自分の文章に独自性を出しやすくなります。
したがって、五感で感じたことを具体的な言葉で上手く表現すると良いでしょう。
題材メモの内容を肉付けすることができるだけでなく、独自の感覚で表現された文章は独自性を持つようになるからです。
そのため、他の人が書いた文章と差別化しやすくなるでしょう。
(例)
❌ 山で食べたカレーライスがおいしかった。
⭕️ 涼しい風が吹く中、山の休憩所で作ったカレーライスは、スパイシーな香りが辺りに広まって、それだけでお腹の中がキュンとした。
山登りでとてもお腹が空いていたので、ガッツいて食べた。
程良い辛さで何杯もおかわりしたくなる。
カレーライスを食べている最中は辛さでおでこから汗が吹き出たが、涼しい風が乾かしてくれて、とても気持ちが良い。
おいしいカレーライスのおかげで、食べ終わった頃には山登りの疲れもどこかに飛んでいってしまった。
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1-3.会話表現を交えて場面を作る
題材メモの内容を膨らませる方法の1つとして、会話表現を盛り込むというのがあります。
「会話表現」というのは、カギ括弧を使い、その場にいる人の言葉をセリフとしてありのままに書いてみることです。
文章の中に会話表現を盛り込むことによって、まさにその場にいるかのような印象を読者に与えることができ、興味を持ってもらいやすくなります。
(例)
❌ 何事も準備が大切だということをお父さんが教えてくれた。
⭕️ 夕食の後、リビングでお父さんと一緒にテレビを見ていた時に地震災害の映像が流れた。
テレビを見ながら、お父さんが優しく語りかけてきた。
「地震が起こってから水や食料などの準備をしても遅いんだよね。
それでは助かる命も助からなくなってしまうんだ。
テスト勉強とかでもそうだけど、前もって準備しておくことで、いざと言う時に落ち着いて行動できるんだよ。
だから、近い将来に地震が起こるかもしれないと予想して、今から備えておこうね。」
確かにそうだなぁと納得した僕は、次の日に家族でホームセンターに行って、水や食料、避難グッズなどを買うことにした。
物語文やエッセイなどの文章を書く場合に冒頭に会話文を交えた場面(=人が登場する具体的なシーン)を持ってくるのも、読者の興味を引くための工夫になります。
読者は冒頭の一行目を読んでみて、次を読み進めるかどうかを決めるものです。
せっかく伝えたいことがあって頑張って文章を書いたのに、最後まで読んでもらえなかったら悲しいですよね。
会話文を効果的に文章の中に盛り込むことによって、個性のある自分らしい書き出し表現を考えてみましょう。
つまり、書き出し部分の文章をどのように書けば、読者に興味を持ってもらえるのかを考えるのです。
ポイントは意外性です。
「そうきたかっ!」と意表をつくような書き方ができると、読者の興味を引きつけやすくなります。
会話文を効果的に使う観点から言えば、例えば、文章の冒頭からいきなり会話文で書き始めてみるのも意外性があって良いでしょう。
読者からすると、
「これから何が始まるのか?どんな場面なのか?」と興味を持ちやすくなります。
(例)
❌ 山登りの最中は、息が切れてとても辛かった。
⭕️ 「はぁ、はぁ。」
一歩一歩、山道を登るたびに息が切れる。
額から汗が吹き出る。
背中に背負っているリュックがだんだん重くなってきた。
ずいぶん高いところに登ってきたので、心なしか空気も薄いように感じる。
「はぁー、はぁー。」
ついさっきよりも、息の切れ方が激しくなってきた。
頂上はまだ見えない。
このように、冒頭部分の書き出しを会話文を使って工夫してみることで、読者に興味を持ってもらうようにしましょう。
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1-4.擬音語や擬態語を取り入れて書いてみる
「擬音語」とは、人や物が発する音を言葉で表現したものです。
例えば、「お腹がぐるぐるなっている」の「ぐるぐる」という音や、ドッチボールのボールが耳の近くを飛んでいく時の「シュー」といった音などですね。
飛行機が飛んでいる時の音を「ゴー」と表現することもあります。
こういったものが擬音語です。
他方、「擬態語」とは、物事の状態や人の身振りなどの様子をそれらしい言葉で表現したものです。
例えば、お母さんが機嫌良く笑っている時の様子を「にこにこ」という言葉で表現したり、こんにゃくの触り心地を「ぬるっとした」などと表現しますよね。
こういったものが擬態語です。
このような擬音語や擬態語を文章の中に上手く取り入れて説明することで、たんに骨組みの状態だった題材メモの内容を膨らませて書くことができます。
まだ骨組み状態でしかない題材メモの内容をそのまま書きますと、無味乾燥な文章になりがちです。
しかし、擬音語や擬態語を取り入れて書くことで、文章が生き生きしてきて、読者にとって具体的なイメージが湧きやすくなるのです。
ただし、過剰に擬音語や擬態語を使い過ぎてしまいますと、幼稚な印象の文章になってしまいます。
そこで、適度に擬音語や擬態語を使うようにしましょう。
幼稚な印象を与えることなく、題材メモを効果的に膨らませやすくなるはずです。
(例)
❌ 宿題をやらずにゲームをしていたら、お母さんが鬼の形相で立っていて怖かった。
⭕️ お母さんが夕飯の買い物に行っている隙に、ちょっとゲームをすることにした。
宿題はやっていない。
でも、少しの時間なら大丈夫だろう。
ゲームをやり始めてどれくらいの時間が経ったのか分からない。
それだけ夢中になって遊んでいた。
ゲームもクリアに近づいた頃、空気の流れが変わって人の気配がした。
思わず、背中がゾクっとした。
振り返ってみたら、いつの間にかお母さんが帰ってきていた。
恐る恐るその顔を見ると、まるで鬼のようないかつい表情ではないか。
頭の上にメラメラと炎の柱が突き立っている。
突き刺さる視線に僕の頬がヒリヒリする。
きつい三角形になったお母さんの目を見ると、宿題をやっていないのがどうやらばれているらしい。
僕の夕飯抜きと、1時間以上にわたるお説教をくらうことが決まった瞬間だった。
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1-5.類義語辞典・言葉の言い換え辞典を活用する
自分が伝えたいことを文章で表現するためのちょうどふさわしい言葉がなかなか思い浮かばないことってありませんか?
私はよくあります。笑
せっかく人に伝えたい題材メモが集まったのに、しかも、それを分かりやすく説明するための構成メモも考えたのに、ちょうどふさわしい言葉が思い浮かばないのはもどかしいですよね。
自分のボキャブラリーの無さに悲しくなることもあります。笑
でも、諦めなくていいんです。
そんな時に救世主となってくれる便利な本があるからです。
あまり馴染みがないかもしれませんが、世の中には「類義語辞典」「言葉の言い換え辞典」という便利な本があります。
1つの言葉に対して、それと同じような意味内容を持つ類似の言葉がたくさん載っています。
例えば、「嬉しい」という言葉1つをとっても、
・愉しげ
・楽しい
・明るい
・幸せ
・ご機嫌
・喜ばしい
などといった類義語がたくさん登場します。
類義語辞典を参照してみることによって、自分が伝えたい内容にぴったり合うような言葉を見つけやすくなります。
したがって、題材メモの内容を膨らませて文章を書きたい時には、「類義語辞典」「言葉の言い換え辞典」を時々参照しながら、もっと良い別の表現がないかを考えてみましょう。
こうすることで、次第にボキャブラリーが増えていきます。
また、同じ題材メモの内容を伝えるに当たっても、より一層ふさわしい言葉で文章を膨らませやすくなります。
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欧米の名演説家と言われた人たちは、類義語辞典などを常に活用して演説原稿を書いたそうですよ。
そのお陰で、言葉に深みのある名演説が生まれたのです。
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以下、(中編)に続く。
最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
Step4.執筆についてはお伝えしたい内容が多く、一度に説明しますと文章が長くなってしまいますので、今回から数回に分けてご説明していきます。
ぜひ、次の中編もお読みいただけますとありがたいです。
この文章の書き方入門講座を通して、文章を書くのが好きになってくれる人が少しでも増えたらとても嬉しいです。
この試みに共感していただける方は応援の程どうぞ宜しくお願い申し上げます。
戦略マスター頼朝