<第6回>Step2.テーマを決めたら、その次は取材(=ネタ探し)をしよう【文章の書き方入門講座】
こんにちは。
戦略マスター頼朝です。
文章の書き方入門講座・第6回は、Step2.取材(=ネタ探し)のやり方についてお伝えしていきたいと思っています。
取材を制する者は文章を制するからです。
それでは、行ってみましょう!
戦略マスター頼朝@文章術でブランディング/リーダーシップ論(@6VQGPJH3FHYoZn6)さん / X (twitter.com)
1.なぜ取材をした方が良いのか?
前回(第1回) は、文章を書くための第一歩である「テーマ決め」についてご説明しました。
テーマが決まったら、次に「取材」をしてみましょう。
文章、特に自由作文を書く場合には、書くための題材(素材)が必要になります。
題材は、文章を書くためのアイディアが湧いてくる源であり、文章の種ともいえます。
この文章を書きやすい題材(種)を探して集めてくることを「取材」と呼んでいます。
なぜ、自由作文を書くためには「取材」をした方が良いのでしょうか?
そもそも、自分がよく理解していないことや、ぼんやりしたイメージしか持てていないことについては、文章を書きにくいからです。
逆に、自分がよく理解していることや、具体的なイメージを持てていることについては、文章が書きやすいといえます。
例えば、直接見たり、聞いたりしたことや、今までに読んだ本から得た気づきや学びなどといった自分の体験を題材にしますと、自分の中でイメージがはっきりしているために文章を書くアイディアが湧いてきやすいのです。
したがって、日常生活の中で見たり、聞いたり、読んだりしたことなど、すぐにイメージできるような具体的なことを題材にすると良いでしょう。
そもそも、文章を書き続けるために大切なのは、自分の心が動いた物事を題材として拾い集めてくることです。
自分の心が動いた物事を題材にするのでなければ、文章を書くためのモチベーションが上がりませんし、読者からの共感も得られないからです。
したがって、新聞記者になったつもりで、資料を読み込んだり、人から話を聞いたり、現地に行ってみたりするなどして、自分の心が動くような題材を取材してみましょう。
また、自分の中の過去の記憶をたどってみるのも良いでしょう。
いわば、自分自身の記憶を取材してみるのです。
とにかく、色々な物事に目を向けて取材をすることで、自分の心が動いたものを拾い集めてみてください。
そうすれば、「これなら文章を書きやすい!いや、書いてみたい!!」と思える題材を見つけることができます。
そして、良い取材をするためには、日頃から注意力を集中して、身の回りの物事をよく観察する習慣をつけるようにしてみましょう。
そうすることで、今まで見落としていた面白い題材を見つけることができるからです。
なお、自分自身のためだけに書く純粋な日記の場合は別にして、自分以外の誰かに読んでもらうことを想定して書く場合には、取材にもちょっとした配慮が欲しいところです。
テーマ選びにも言えることですが、読者が全く興味を持てないような面白くない題材をもとに文章を書いてみても、おそらく読んでくれる人は少ないでしょう。
誰もが知っているようなことを題材にしても、読者の興味を引くのは難しいのです。
もちろん、誰もが知っているようなことを題材にする場合であっても、そこに自分なりの独自の解釈を加えれば、読者の興味を引くことができます。
ただ、題材自体に新規性がありますと、それだけで読者の興味を深く引けるものになります。
そのためにはやはり、なるべく新規性のある題材を集めるのが良いでしょう。
したがって、取材する時には、読む人ができるだけ興味を持ってくれるような面白いものを題材として選びましょう。
以上をまとめますと、取材は、自分がよく知っている身近なことで、しかも、多くの人が興味を持ってくれそうなものを題材として集めてくるのがお勧めです。
そうすることで、詳しく書くことができますし、多くの人に読んでもらうことができるからです。
また、題材自体が読者の興味を引くような新規性があるものですと、それ自体に独自性が生まれてくるからです。
2.取材(=題材探し)の具体的な対象は?
2-1.自分の体験を取材する
取材の対象は、文章を書く目的やターゲットとする読者によっても異なります。
ただ、文章の書きやすさという点から言えば、まずは自分の体験を取材対象にするのが良いでしょう。
入門レベルの段階では特にお勧めです。
なぜなら、前述の通り、自分の体験はイメージしやすい上に、全く同じ体験をしたことがある人はほぼいないことから、読者からも興味を持たれやすいためです。
つまり、誰かから伝え聞いた伝聞事実よりも、自分自身の体験の方が内容を詳しく書きやすいですし、また、独自性が強いため読者の興味も引きやすいといえます。
さらに、ストレスなく文章を書き続けるという点からも、自分の体験を題材にする方が書きたい内容を思い浮かべやすくて、書くのが楽しいでしょう。
では、取材の対象となるような自分の体験にはどのようなものがあるのでしょうか?
例えば、以下のような体験を取材対象にして、題材を集めてみるのがお勧めです。
まとめますと、自分の体験は自分の心が動きやすいものであるため、体験を通して関わった物事や人を取材対象にすると、題材を集めやすいです。
ぜひ自分の体験を取材し、そこから得た気づきや学びを題材に文章を書いてみましょう。
自分の体験を対象に取材してみますと、人にちょっと聞いて欲しい気づきや学びが題材として転がっているはずです。
2-2.本や動画、ラジオなどのコンテンツを取材してみる
次に、本や動画、ラジオなどといったコンテンツ(=発信者の気持ちや意見などがメッセージとして込められた内容のあるもの)を取材してみるのも良いでしょう。
確かに、入門レベルのうちは自分自身の体験に取材してみるのが一番題材を見つけやすいです。
ただ、取材対象が自分の体験だけですと、体験の範囲内のことしか書くことができません。
つまり、もっと詳しい内容を知りたい読者にとってみれば、深みのない文章と思われかねません。
また、権威ある第三者の意見や考え方も知りたいという場合もあります。
そこで、テーマに関連するコンテンツを取材して、自分以外の視点から見た気持ちや考え、あるいは、より詳しい客観的な情報を題材として集めてくるようにしましょう。
特に本は、著者の意見が上手くまとめられているため、読書をするだけでも気づきや学びが多いものです。
著者と対話するつもりで読書しながら、共感した内容や賛成・反対したくなった内容を題材として、文章に書くと良いでしょう。
また、著者の考え方の一部には共感できたものの、それにプラスして自分の意見を言いたくなることもあると思います。
その補足的な意見自体も題材として使えます。
さらには、著者とは反対の意見を持ったことなども、文章を書く題材として活用できるでしょう。
以上のことから、本や動画、ラジオなどのコンテンツを取材して、そこから得た気づきや学びを題材にして文章を書くことをお勧めします。
読書をすれば1000年以上前の偉人の考え方が格安で手に入ります。
図書館で借りれば、それこそタダです。
したがって、本などの資料を読み込むために取材する場所として図書館を利用するのがお手軽で良いでしょう。
最近は、CDやDVDなども貸し出してくれる図書館が増えています。
それでも、なかなか題材が見つからないとお悩みの方のために、とっておきの方法をご紹介します。
それは、自分の文章の種本になるような本を探してみることです。
特に、物事を説明する文章を書きたい場合に有効です。
「えっ!?それって盗作ではないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
事実、私は大学院時代にそのような疑問を持ち、先輩に質問したところ、ひどく怒られた経験があります。笑
もちろん、他人が書いた本の文章を丸写しして書くのは盗作です。
それは絶対にやってはいけません。
他人の努力を盗むことであり、また、そこには自分自身の独自性が何もないからです。
そうではなく、文章を書くための「種本」と言いましたように、あくまで自分の気づきや学び、意見を導き出すための種として、他人の著書を活用するのです。
そして、種本から得た自分自身の気づきや学びを文章として書けば、それは盗作ではなく、独自性のある文章として評価されます。
実際、その先輩や教授たちから教えていただいた内容としては、
「先行研究の論文を読み尽くして上手くまとめた後、そこに自分の考えを1割でも上乗せできれば修士論文として上出来だ」
とのことでした。
「たった1割でもいいから、それぞれの研究者が自分なりの独自性ある考え方を先行研究に上乗せする努力を続けていくことによって、人類の学問は発展していくのだよ」
とも教えられました。
話がちょっと難しくなってしまったかもしれません。笑
小中学生の方が読んで下さっているかもしれませんし、また、入門段階のお話でもありますので、種本を題材にすることについてもうちょっと分かりやすくご説明します。
例えば、自分が書こうとする文章のテーマに合うような、ある種本を見つけたとします。
話を分かりやすくするために、その種本は桃太郎の物語だったとしましょう。
そうです、幼い頃に親に読み聞かせてもらった、あのおとぎ話の桃太郎です。
桃太郎を種本にして文章を書くというのは、どういうことでしょうか?
例えば、桃太郎に描かれた物語の続きを自分で想像して書いてみることです。
つまり、物語の続編を書いてみるのです。
主人公である桃太郎や猿、犬、キジ、そして、敵である鬼などの登場人物やそれらのキャラ設定だけでなく、時代状況や場面、人間関係といったストーリーの枠組みをそのまま引き継げるので、お話の続きをイメージしやすいからです。
自分がよく知っている物語を種本にすることで、アイディア出しがとっかかりやすくなります。
自由作文は自由なアイディアで書いて良いものですので、よく知っている物語の続きを自分なりに解釈して自由に書いても大丈夫です。
例えば、桃太郎の話の続きとして、鬼ヶ島で鬼を退治して帰ってきた後の後日談を自分なりに書いてみるのも面白いでしょう。
また、鬼ヶ島に出発する前の旅の道中を自分が創作した物語で埋めてみるのも良いでしょう。
続編を書くといった種本の活用の仕方は、物語やエッセイなどのストーリー性ある文章を書くための取材方法として有効です。
他方、説明文や意見文といった文章を書く時には、種本の中で述べられている著者の意見に対して賛成意見や反対意見を書いてみると良いでしょう。
もちろん、著者の意見に賛成する場合は、ただ賛成するのではなく、著者の考えを補強するような理由づけを自分なりに考えて書くと面白い文章になります。
逆に、反対意見を書く場合には、その反対する理由を深く、かつ、詳しく書くと、読者の興味を引く文章が書けるでしょう。
したがって、説明文や意見文といった文章を書く時には、自分の意見を引っ張り出すための取材対象として種本を活用するのがお勧めです。
ぜひ本屋さんや図書館を取材場所に選んで種本を見つけ、自分が興味を持てて、しかも、読者の興味を引きそうな題材を見つけてみましょう。
2-3.人に話を聞いて取材してみる(インタビュー)
前述しました通り、本や動画、ラジオなどのコンテンツを取材対象にして、そこから自分の心が動いた気づきや学びを題材に文章を書くのが最初はお勧めです。
ただ、そもそも本は著者の伝えたいメッセージが文字で書かれたものです。
すなわち、本を読むということは著者との対話をすることです。
そうであれば、本の著者だけでなく、自分が興味を持った人の生の声を取材対象にしてみると、もっと面白みのある題材が集まるかもしれません。
実際、著名人の生の声は、第一級の歴史資料として扱われることもあるくらいです。
なお、自分が興味を持った人にインタビュー取材をする時には、相手の時間を無駄にしないために、あらかじめ質問リストを作ってから臨むと良いでしょう。
質問リストがあることで、話が散らかることなく、お互いにとって有意義なインタビュー時間にすることができます。
そして、取材対象者の本音を聞き出すには、信頼関係作りが何よりも大切です。
インタビュー中の接し方だけでなく、インタビュー前の依頼の仕方や、インタビュー後のお礼の仕方にも気を使いましょう。
なお、インタビューをやり終えたら、すぐに文章を書くのではなく、事実の裏取りもしておくと良いでしょう。
インタビューで聞いた事実が正確かどうかを本で調べたり、第三者的な立場の人に事実かどうかを確認するようにすると、より信頼性のある文章を書くことができるからです。
2-4.現地に行って取材してみる
本を読んだり、人に話を聞いてみたりして取材するのは、題材集めとしてとても良いことです。
ただ、最も説得力を持つ文章は、直接見たり、聞いたり、自ら体験して得た学びや気づきを題材にして書かれたものです。
例えば、旅をするのが好きな人なら、旅日記を書いてみるのはどうでしょうか。
旅行ガイドブックに書かれているようなありきたりな内容ではなく、自分が直接感じた景色の素晴らしさや、旅先でのおいしい食べ物、現地の人々の暖かな人情など、自分が旅先で感じた心の動きを素直に文章に書いてみるのです。
自分で現地を直接見たり、感じたりして集めてきた題材なだけに、読書をして得た題材とは全く異なる臨場感を感じさせてくれます。
歴史好きで、しかもお城を見に行くのが好きな人は、実際に見に行ったお城の素晴らしさを具体的に書いてみるのも良いでしょう。
電車の旅が好きな人は、自分が乗った電車のことについて、自分が好きな部分に焦点を当てて題材を集めてみましょう。
電車の図鑑には書かれていないような、独自視点の文章が書けるかもしれません。
このように、現地に行って直接取材してみると、本やインターネットで得た知識を上手くまとめただけでは書けないような、文章に臨場感と立体感をもたらす題材が集めやすくなるのです。
3.取材メモは、ノートではなくカードに書こう
取材をしてみて、せっかく学びや気づきといった自分自身の心が動く物事に出会えたのなら、それを忘れないうちにメモしておきたいものですね。
心が動いた事を記録に残しておかないと、人間はすぐに忘れ去ってしまう生き物ですから。
私も、せっかく良いアイディアが浮かんだと思ったにもかかわらず、すぐにメモしておかなかったことで忘れてしまい、悔しい思いをしたことが何度かあります。笑
ちょっとした心の動きでもメモに書き残しておきますと、そのメモを書いた時の様々な感情や場面が具体的に思い出されてきます。
したがって、文章を書くための取材をする時には、気づいたことや感じたこと、ひらめいた意見などといった、自分の心が動いたことを全てメモするようにしましょう。
取材では必ずメモを取ることで、自分自身の心の動きの振り返りにも大いに役立ちます。
また、そのメモが結果的にボツになったとしても、また別の文章を書く時に役に立つこともあります。
ただ、心の動きをメモして記録に残すといっても、色々なやり方があります。
ノートに書いたり、ちょっとしたチラシの裏に書き殴ってみたり、あるいは、最近ではスマホのメモ機能を活用してみたり、などといった方法が考えられますね。
特に手書きのメモは味があっていいものですね。
その時の心の動きが字の書き方からよみがえってきやすいからです。
まるでその時の体温と共に思い出されてくるかのようです。
とは言え、せっかくの心の動きを忘れないように記録に残しておくことが目的ですから、その目的さえかなうのであれば、どんなメモの仕方であっても良いと思います。
もっとも、文章を書くための題材として使うことを想定しているため、それに合ったメモの仕方になるように工夫していきたいものです。
それでは、文章を書くための取材メモはどのように書いていったら良いのでしょうか?
取材メモを書くための一番お勧めの方法としては、ノートではなく、カードに書いておくことです。
カードの良さは、ノートとは違って、自由自在に並べ替えができることです。
この並べ替えのしやすさが、次回にご説明する「文章の構成」を考える時に大いに役立つのです。
文章の構成とは、自分が言いたいことを読み手に伝わりやすくするために、題材をどのような順序で並べるのかを考えることです。
つまり、自分の言いたいことが読み手に伝わりやすいように、題材の順序を組み立てたものが文章の構成です。
自分自身が納得がいき、そして、読み手にとっても伝わりやすい構成が出来上がるまでは、題材の順序を色々と並べ替えながら考えていく必要があります。
文章構成を考える時に、取材メモを全部ノートに書いていたのでは、自由自在に並べ替えができません。
すなわち、あれこれと試行錯誤を繰り返しながら、最適な構成を考えていくことがやりにくいのです。
したがって、取材メモは名刺サイズのカードに書いていくようにしましょう。
そして、取材対象について自分の心が動いた内容(自分なりの解釈)をメモカード1枚ずつに書き込んでいくのです。
出来事といった単なる事実をメモカードに書いていくだけでなく、そこに心の動き(自分自身の気持ちや考え)も一緒に書き込んでおくことで、題材に独自性が生まれ、ひいては、それをもとに書いた文章に深みが出るからです。
作文では、何よりも自分自身の気持ちや考えを書くことが読者の興味を惹きつけるコツといえます。
同じ物事を経験しても、人それぞれ、その物事に対する解釈は千差万別であり、自分自身の気持ちや考え(解釈)こそが独自性の源になります。
独自性ある内容の文章は、自然と読者の心をとらえることが多いです。
したがって、カードの中には、自分自身の心が動いた内容を書いていきましょう。
そして、小さなメモカードを何枚も作ったら、それぞれのカードに書かれたメモを見ながら、取材内容を整理していきましょう。
つまり、同じような内容のメモはひとかたまりのグループにまとめていくと良いでしょう。
最後に、読み手に伝わりやすい文章を書くためには、対象について自分自身が本当に理解できるまで取材を繰り返した方が良いです。
時には取材のやり直しも必要だったりします。
メモカードの内容を見ながら構成を考えている時に、まだ題材が足りないと思ったり、あるいは理解が不十分だと思ったりしたら、取材の追加ややり直しをしてみましょう。
取材と構成作業を行ったり来たりすることで、深みのある文章を書くための題材が少しずつ洗練されていくからです。
そして、本当に自分自身が理解することができた題材だけを選抜して、伝わりやすい順序に組み立てていくようにしましょう。
最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。
自分自身が納得がいき、しかも、人に興味を持って読んでもらえるような文章を書くためには、取材が命です。
今回の冒頭でもお伝えしましたが、取材を制する者は文章を制するからです。
それだけではなく、自分自身の知識や経験を広げるためにも、そして、人生そのものを楽しむためにも、どんどん取材に行ってみましょう。
次回は、読み手に伝わりやすい文章を書くための生命線とも言える「文章の構成」について詳しくご説明していきたいと思います。
もし、この文章の書き方入門講座に共感して下さる方がいらっしゃいましたら、これからも応援していただけますと大変ありがたいです。
それでは、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
戦略マスター頼朝
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