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慶應義塾大学法学部・通信教育学部 法律論文レポート課題-民事訴訟法2

法学部生(通信教育学部含む)や法律初心者の方向けに、あえて言葉を補って参考答案例を長く書いてみることで、理解しやすくしました。法律論文やレポートの書き方に慣れていない方の参考になれば幸いです。

<慶應義塾大学法律論文・レポート課題-民事訴訟法2016年度課題>
道路を横断していたXは、Yが運転する自動車に衝突されて大怪我を負った。XがYに対して、「被害総額は500万円であるが、その内の300万円の支払いを求める」との損害賠償請求の訴えを提起した。
このような訴えは適法であるという立場に立って、以下の問いに答えなさい。
(1)起訴による時効の中断の範囲は、残額の200万円に及ぶか。
(2)裁判所は被害総額についてはXの主張を認めたが、Xに過失があったとして、過失相殺として5割減が相当であると判断した。裁判所は判決で、Yに対していくらの支払いを命じればよいか。


<答案構成>
1.(1)一部請求における時効中断の範囲について
Q1.一部請求の可否・・・私的自治に基づく処分権主義vs被告の応訴の煩・訴訟経済
「このような訴えは適法であるという立場に立って」
・・・一部請求肯定説または明示的一部請求肯定説(判例)に立つことが前提
                ↓
学説と明示的一部請求肯定説(判例)の紹介
                ↓
自説である明示的一部請求肯定説の論証(前提論点なので、短めに論証する)
  理由 → 明示的一部請求肯定説の規範
                ↓
Q2.一部請求における時効中断の範囲
・・・本問のような不法行為に基づく損害賠償請求権の短期消滅時効との関係で、後訴での残部請求の可否
                ↓
学説と判例の紹介
                ↓
自説である学説の論証
 判例に対する批判 → 自説の積極的な理由 → 自説である学説の規範
                ↓
本問の事案へのあてはめと結論

2.(2)一部請求における過失相殺の基礎とするべき損害賠償額について
Q3.一部請求における過失相殺の基礎とするべき損害賠償額
・・・一部請求肯定説→按分説、一部請求否定説→外側説が論理的に素直だが、実質的妥当性をいかに図るかがポイント
                ↓
学説(外側説と按分説の紹介と、それぞれの説からの帰結)と判例の立場の紹介
                ↓
自説である判例の立場の論証
 学説(按分説)に対する批判 → 自説の積極的な理由 → 自説である外側説の規範
                ↓
本問の事案へのあてはめと結論


☆規範定立(論証)の仕方
①問題提起
本問では、(具体的な事実)であることから〇〇請求をすることができないか。この場合、「(条文の文言)」とは何かが条文上明らかでないため問題となる。
                ↓
②反対説の紹介
この点(確かに)、「(条文の文言)」とは(反対説の規範)であると解すべきとも思える。
                ↓
③反対説への批判
しかし、(批判の内容)という点で妥当ではない。
                ↓
④自説の理由(積極的な理由付け)
そもそも(思うに)、△△条の制度趣旨は、~という点にある。
とすれば、・・・・であると考えるべきである。
                ↓
⑤自説の結論(規範)
よって、「(条文の文言)」とは(自説の規範)であると解する。
                ↓
本問事案への当てはめ
(事実)→(事実に対する評価)→(自説の規範への該当性の有無)→(事案に対する最終的な結論)


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