六十五話 タトゥーを入れる理由
それは自然な事だった。
毎日通うウチに、いつの間にか僕の身体に一つ、また一つとタトゥーが増えていった。
きっと日本で生活していたら、こうはならなかっただろう。
旅という非日常であり、また凡ゆる束縛からも解放され、他者の干渉や目も気にせず、自分の意思で全て決定して進む事が出来たからこその事だったと思う。
スタジオは路面店の一階だけど、少し階段を上がった一階だったので、騒がしさとは無縁だった。
大理石で出来た床、大きなソファ。壁には沢山のフラッシュ(下絵)、冷蔵庫、奥の部屋は