Ron Sugano

柴又Shiryudohのオーナー、Ronと申します。職業は彩纏絵師(Tattoo Artist )です。 大学時代シルクロード美術を学び、その後、考古学の仕事に従事しました。その事から世界に興味を抱き、海外へと旅立ちました。何故、今の道へと至ったのかを、これから書いていきます。

Ron Sugano

柴又Shiryudohのオーナー、Ronと申します。職業は彩纏絵師(Tattoo Artist )です。 大学時代シルクロード美術を学び、その後、考古学の仕事に従事しました。その事から世界に興味を抱き、海外へと旅立ちました。何故、今の道へと至ったのかを、これから書いていきます。

最近の記事

六十五話 タトゥーを入れる理由

それは自然な事だった。 毎日通うウチに、いつの間にか僕の身体に一つ、また一つとタトゥーが増えていった。 きっと日本で生活していたら、こうはならなかっただろう。 旅という非日常であり、また凡ゆる束縛からも解放され、他者の干渉や目も気にせず、自分の意思で全て決定して進む事が出来たからこその事だったと思う。  スタジオは路面店の一階だけど、少し階段を上がった一階だったので、騒がしさとは無縁だった。 大理石で出来た床、大きなソファ。壁には沢山のフラッシュ(下絵)、冷蔵庫、奥の部屋は

    • 六十四話 ウブド滞在とタトゥーアーティストへの第一歩

       早朝、プラマ社のバスに乗り、クタからウブドへと向かう。海から段々と坂道が増えてきて木々も増え、気温は変わる。 高度が上がっているのだと感じる。 途中、寺院でお祭りらしき光景を目にする。 綺麗な衣装に身を包み、頭の上に果物やその他、沢山の物を載せながら、歩く女性達。 大きな傘?を持ち歩く男性。何かの儀式でもあるのだろうか? 獅子舞みたいな変なヤツが寺院の階段のところにいる。その目はギョロッと見開いていて、すごい迫力がある。 目力が半端ない。 内陸部に入ると、段々と異

      • 第六十三話 日本人との出会い

         夕方、マデ先生と共に「日本人の女のコ」と会いに行く。 先生のお話では、17時にクタビーチの近くにあるカフェで待ち合わせ。相手も丁度、二人らしい。 僕らは約束の時間に少し遅れて到着。 どんなコ達だろう?久々の日本人との出会い。 すると早速その友達を発見するマデ先生。 一人のコは優しそうで、小柄で可愛らしい女性。 そしてもう一人はその…なんというか…、縦にも横にも僕の2倍近くありそうな膨よかで少し大柄な女性。 いや、待て待て。 焦るな。 外見で判断するのは良くない。

        • 第六十二話 いざ、バリ島へ

           日本の中古フェリーに乗り、ジャワ島からバリ島へと向かう。船には乗客の他に、車や動物、食べ物も運び込まれる。 船の上ではバリ人達と仲良くなり、食べ物を分けてもらう。バリの人も親切だなぁ。    どれくらいの時間が経過した頃だろうか?暫くすると皆の動きが慌しくなる。 そうか。いよいよ、あのバリ島へと到着するのか。僕も荷物をまとめ、下船の準備をする。   さあ、遂にバリ島へと到着だ。    フェリーが港に着くと、まずは車から上陸。そして車も降り切らないうちに、人々も下船する。野菜

          第六十一話 海外初タトゥー

          海外で初めてのタトゥーアーティストとの出会いは、ここ、ジョグジャでした。 知人の話では、このスハルト政権時代にタトゥーというものは違法で、見せしめに銃殺された事もあったという。 やはりそんな時代に彫る事を生業としてちる連中というのは、なかなか”肝が座った”連中だったのだろう。 地元の友人は怖いと言い、スタジオには行かなかった。    当時の僕はそんな話はまったく知らず、彼らと普通に話しをしていました。 外国からのお客さんという事で、彼らの下っ端のコが、食べ物から飲み物から

          第六十一話 海外初タトゥー

          第六十話 偽物日本料理

           ジョクジャカルタ。ジャカルタを東京とすれば、ここは京都。伝統芸術や文化遺産で知られるインドネシアのジャワ島にある都市。 18世紀に建てられた王宮は、今でも健在。 バリ島で有名なガムランも、実はここジャワが起源。 今でも王宮では、このジャワの伝統的なガムランを聴く事が出来ます。 僕個人の意見を言わせてもらうと、バリの激しいガムランと違い、ジャワは静寂のガムランという印象。 この音色を聴くと、とても心が落ち着く。 当時のジョグジャ(地元ではこう呼ぶ)は今よりものんびりした空気

          第六十話 偽物日本料理

          第五十九話 ジャカルタで待つものは

          少し時間を戻して、ジャワ島に到着する前、スマトラ最後の街での事。 僕の乗るバスはここで休憩をとり、食事をする事にした。 スマトラは写真のように長閑な景色がずっと続き、のんびりとしていた。 ただ、タイミング的には北からどんどん雨季に入っていたので、赤道を跨ぎ、雨に追われるように南へ南へと進んでいた。 食堂では、みんなで同じテーブルにつき注文する。 いつもの様に誰かが僕の食事を頼んでくれる。 スマトラは敬虔なムスリムが多い為か、旅人への施しか、とにかく人々が親切で、食べ物を食

          第五十九話 ジャカルタで待つものは

          第五十八話 恐怖のバス再び

           インドネシアの人々は、どこに行っても非常に親切でした。 どこでも仲良くなるし、気にかけてくれる。ご飯に誘われる事も多く、正直、食事代を余り払った記憶すら無かった。 そんな彼らインドネシア人と、日本人の僕という間柄でしたが、過去に両国の間には、暗い歴史があります。 ガライ・シアノッというインドネシアのグランドキャニオンと言われるところでは、巨大な防空壕があるのですが、そこは旧日本軍がインドネシア人達に強制労働させ、作らせたところと言います。動けなくなった人間は、刀で切捨て

          第五十八話 恐怖のバス再び

          第五十七話 死の淵に立って

           スマトラ島。インドネシアの西に位置するこの島は、確か日本の面積の1.7倍とかなんとかの面積を持つ(かなりアバウトです)島。 北部にはアチェという独立を望む地域も存在し、また、以前、大きな地震のあった所でもあります。   スマトラと言えば何となくコーヒーかなと思った僕は、特にコーヒーが好きではないのだけど、取り敢えず現地のコーヒーを飲んでみる事にした。 うん、何かザラザラしてて、野生的なコーヒーだ。美味しいとは思えないけど、悪くも無い。 コーヒーを飲みながら、この先の旅の予

          第五十七話 死の淵に立って

          第五十六話 別れの時

          タマン ネガラの滞在も、今日で終わり。 いよいよ、おチビとの別れをしなくてはならない。毎度の事ながら、これは本当に辛い。   凄く懐かれていたからこそ、余計にだ。 おチビは「行っちゃ嫌だ」と大粒の涙を流してながら、ずっと泣いている。 「私も東京に行く」と僕から離れない。 お母さんに抱えられ、 大泣きしながら、ボート乗り場まで見送りに来てくれた。 車も入って来ないこの場所。 まだ小さなおチビにとっては、ここが自分の世界の全て。外には街があって大きなビルがあって、沢山の人が居

          第五十六話 別れの時

          第五十五話 ネコの目

           ジャングルから戻った僕ら、のんびりと毎日を過ごす。ようやく、人の声が聞こえてくるという日常が戻ってきた。   こんな経験はあるだろうか? 森の中で生活していると、街中で聞こえるような音や、居ないはずの人の声が聞こえたりとかする事が時々起こる。 恐らくこれは僕が思うに、「耳の記憶」というものであって、何か「それ」に近い音が聞こえると、耳が記憶している音へと変換してしまうのではないかと思う。 これは時々視覚にも現れ、見えないはずのものが見えたりもする。自分の知ってる物に近い物

          第五十五話 ネコの目

          第五十四話 真夜中の珍客

          まだ揺れている。 僕は直ぐ様起き上がり、枕元に携帯しておいたマグライト(懐中電灯)を手にする。 他の何人かも目を覚ましてるけど、まだ誰も動けない。   取り敢えず僕は警戒はしながらも、先ずは一番に外の様子を確認しに出る。 すると下には何か大きな得体の知れない黒い物体が動いている。 で、デカい。 その体高は遥かに僕の背丈を越えている。   その大きさに一瞬怯み、ライトを当てるのを迷うが、やはりその存在を確認しておきたいのでライトを照らす。 すると、その黒い物体は僕に気づ

          第五十四話 真夜中の珍客

          第五十三話 その出会いは突然に

          その出会いは突然訪れた。 ジャングルを一人歩いていると、後ろから複数の気配がする。 振り返ると、そこには何とオラン・アスリ達が三人達が居るではないか! 三人で何か話し、そして近寄ってくる。 それぞれ手には槍、吹き矢、ナタのような武器(というか、狩猟の道具でしょうか)を持っている。 ジャングルの中、腰布以外は裸同然、そして裸足で歩いている。   大丈夫か?これは?こっちは丸腰同様な上に複数対一人の出会い。 初めてのコンタクトが実現したのは良いが、どうしたら良いのだろうか??

          第五十三話 その出会いは突然に

          第五十二話 野生動物に遭遇する

          昨晩あった不思議な出来事は自分の心の内に仕舞っておいて、最初に見た「バク」の話のみを浅野さんにする。 未だにあの不思議な出来事が、夢のように感じていたので。   「何で起こしてくれないんですかー!?」   「仕方ないですよ。だって完全に熟睡だったし。起こしちゃ悪いじゃないですか」 非常に悔しがる、浅野さん。 朝はブンブンの階段を降りてきて、固形燃料で火を焚き、お湯を沸かしラーメンやパンなどを食べる。 この湿気でパンなどカビっぽくなってきて、そろそろ本気でヤバめかもしれない

          第五十二話 野生動物に遭遇する

          第五十一話 幻想的光景

          突然、目の前の草原に霧が立ち込める_。   先程まで月明かりに照らされ視界もはっきりしていたが、もう殆ど見えない。 幻想的な光景。 まるで舞台を観ているようだ。   すると霧の中、何かの動物らしき影が映る。 何だろう?   何かは判らないが、小さな小動物のようだ。 その後、すぐ後ろに続いて、少し大きめのものが続く。 続けて来るなんて、ありうるのか?些か不審に思う。   そして、更に霧は濃くなる。   今度は跳ねる動物、動きの遅い地を這う生き物、そして飛ぶ物まで出てきた。

          第五十一話 幻想的光景

          第五十話 ジャングル生活2日目

          2日目。 荷物を担ぎ、ジャングルトレッキングして、次のブンブン(動物観察小屋)へと辿り着く。 僕らより1時間程遅れてオージーのカップルが到着。 それより更に遅れ、一人旅の日本人が到着。 どうやら、今夜ここに泊まるメンバーが集まったようだ。 オージーの二人はとても大人しいバードウォッチャー達。  もう一人の日本人の旅行者はとにかく装備がすごい。 グレゴリーの旧ロゴのバックパック、フェアリーダウンのシュラフ、シェラのマグカップ、その他、すべてのアウトドア用品が最高級ブランド

          第五十話 ジャングル生活2日目