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生きること、学ぶこと


重要なことは人間が決める?



 鳥取県有識者会議が人間主導のAI活用10原則を提案した。(座長山本龍彦)人間の存在が疎外されるのを防ぐために、重要なことは人間が決めるという人間主導の原則を掲げた、民主主義や地方自治の要諦であるとした。
 
AIではなく人間が最後は決断するという原則を最初に明確にするということは、国もやっていない。
 
 欧州のAI法は基本的人権や民主主義との関係を基本として議論しているが日本の政府の議論にはそれが欠けている。
 
 提案された10原則は次の内容である。
自治体デジタル倫理原則〜人間主導のデジタ社会へ〜
 
 
(1)住民自治:AIではなく住民の意思に基づく議論による決定
(2)人権保障:AI利用目的の明確化、SNSも住民の権利を守る対応
(3)インクルーシブ:偏見から住民を守る
(4)パートナーシップ:AI活用には住民間の協同、連携
(5)課題解決:住民のウエルビーイングにつながるAIの活用ニーズを考える
(6)人間主導:人間が最後は責任を持って決断する人間主導の使い方
(7)リテラシー:住民の批判的思考を育成すること、住民を守るための情報発信
(8)透明性:住民が評価できるようなプロセスの説明
(9)ガバナンス:デジタル施策の結果を評価して、AIのロジックやシステムを管理していく
(10)機敏性:試行、改良、再挑戦によりフィードバックにより機動的な対応をする。
 
 AIを含めたグローバルPFへのIT規制は、すでに世界的な問題になっている。EUがその筆頭である。日本もようやく「スマホソフトウェア競争促進法」によって、独占から市場競争を促し、緊急停止命令や独禁法を上回る課徴金20%の規制法を閣議決定した。
 
 また、2024年に広島宣言からパリのOECD閣僚理事会へ向けAI偽・誤情報対処を求める宣言をリードしたが、肝心の著作権法の再改正を考えていないため各国からは日本の規制は甘いという指摘がある。オリジネーター・プロファイル(OP)の提言がその特徴であるが、海外に比べてAI規制の議論は全体として遅れていて、生成AIの安全性確保の法整備を本気で検討せざるをえなくなっている。現在はガイドラインだけである。イノベーションの創出や社会課題の解決、国際競争力の確保などに軸足を置くのではなく、人権侵害や犯罪につながるAIや偽情報への対応を、欧州のAI法案のように実施することを急ぐ。
 
 鳥取県有識者会議のような「人間主導」という明確な原則を全てのスタートとすることを世界に向けて提案するチャンスである。


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