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インターナショナルスクールに通わせる覚悟

みーちゃん(我が娘)は、2歳の時からインターナショナルスクールに通っている。厳密に言うと2歳〜3歳まではインターナショナルスクールが運営している2歳児クラスに通い、3歳〜4歳まではプレスクール、そして正式にインターナショナル教育を開始したのは5歳のキンダークラスからである。現在に至るまで1度の転校(インターから別のインターへ)経て12年間インターナショナルスクールに通っている。その経験から言えることは、日本人家庭の95%はインターナショナルスクールに通わせない方がいいと思う。ちなみに英語が得意な日本人になりたいのであれば、インター教育は一切不要である。


馬車馬のごとく働き続ける覚悟

子供をインターに通わせる際に覚悟したのは、私に仕事を辞める選択は20年程度ないということだ。インターに通う場合、親の経済的負担は年間数百万にも及ぶ。これを、4歳〜22歳まで継続するには相当の覚悟がいる。日本人の平均所得から考えると、あり得ない額である。私は、高額の住宅ローンを組んだものと思い20年間は馬車馬の如く働く覚悟を28歳の時にした。2歳(プレスクール)から13歳(8年生)までに費やした学費とその他教育費(習い事など)を合算すると、ファミリーマンションが買えてしまう値段になる。そして、大学院を卒業するまで計算すると港区に中古マンションが買えるくらいの金額になる。

社会からハブられる覚悟

インターに通わせている日本人の保護者は、義務教育を子供に受けさせていないとみなされる。文科省のサイトを確認すると、以下のような内容が記載されている。つまりインターナショナルスクールへ子供を通わせるということは、「普通教育」から遺脱する覚悟が親子ともに必要である。住んでいる地域にもよるが、小学校へ入学する年齢になれば学区の校長や場合によっては教育委員会と熾烈なバトルを繰り広げる覚悟も必要である。近隣住民からは確実に変な人とみなされるため、よほど外国人が多く住む大使館近くでなければコミュニティーから親子ともにハブられる。地域のイベント等にも参加しずらくなり、近所で友達がいるという環境ではなくなる。

基礎学力をすっ飛ばす覚悟

日本での義務教育は、平均的な底上げをするには素晴らしいシステムである。平仮名・カタカナ・漢字・アルファベットの書き方を授業内で定着させてくれ、毎日の宿題で復習習慣を身につけさせ、生活態度においても整理整頓・掃除・家庭科教育まで人間が生きていく上で必要なスキルを義務教育が終了までにマスターさせてくれる。
インターの場合、小学生の間はほとんど宿題が出ない。老舗インターや外国人の割合が高かったり、国際バカロレアプログラムに基づきカリキュラムを作成している学校では、基礎学習の概念はない。国際バカロレアプログラムの場合、MYP (6年生〜10年生)になった途端に難易度は爆上がりし日本で教育を受けた親の多くは対応することが困難であろう。中学生になれば自己責任になるので、保護者が子供の勉強に関わる機会は皆無である。あまりにも勉強についていけないと転校を推奨されるか放置されるかのどちらかである。

フィルタリングされていない家庭環境

身近に小学受験や中学受験した人が多いのだが、公立を選ばない理由として「フィルタリングされた家庭の子供同士で学ばせたい」という親の願望が存在する。私も少しだけ小学受験を考えたことがあるのだが、(1)両親が仲良く、(2)父親が世帯主となり、(3)高度専門職や社会的に尊敬される職業に就いており、(4)品行方正な家庭環境、であるというフィルタリングが存在する。
インターにおいては、多様な家庭環境が存在する。同性婚をした保護者の元で育つ養子、シングルファザー・マザーの家庭、ステップファミリー、祖父母や親戚の家で育つ子供、住み込みのベビーシッターが育児の多くを担当し両親は海外を飛び回っている家庭、不労収入のみで生活し両親が共に働いていない家庭、など家庭の形はバラエティーに富んでいる。職業においても、大企業勤務の正社員はほぼいない。水商売系の経営者、飲食店経営者、著名な学者、芸能人、士業、医療系経営者、音楽家、何で生計を立ているのか分からない人まで幅広い層がいる。学歴においても中卒〜世界トップランキング大学卒までかなり幅が広い。そのような環境で子供を育てると、良くも悪くも日本のイメージする良好な家庭環境に価値を持たなくなる。

ヒエラルキーとしては底辺

前提としてインターは、(1)駐在で一時的に滞在しているファミリー、(2)国内に永住している外国人ファミリー、(3)父兄のどちらかが外国籍のファミリー、(4)夫婦共に日本国籍であるが義務教育を放棄してインターを選んだファミリー、で構成されている。
インターにおけるヒエラルキーは、(1)軍関係、外務省関係、グローバル企業に所属している駐在員、(2)国内に永住している欧米系保護者、(3)国際結婚をした父兄のどちらかが白人の保護者、(4)そして夫婦共に日本人保護者という明確なラインが存在する。私は米国でもかなりの人種差別を経験し、アジア人だから馬鹿にされることも移民だから区別されることにも慣れている。しかし、多くの日本人にとっては初めて感じる理不尽な区別ではないだろうか。ちなみに子供同士の間でトラブルが発生した際には、表面ではフェアに扱われるが実際にはこのヒエラルキーが大きく影響する。ある意味米国社会の縮小図のようなイメージだ。

なぜ通わせるのか

私が子供をインターに通わせる理由は、2つしかない。1つ目は、子供が就学前検診であまりにも頓珍漢な答え方をしたため義務教育を受けさせるのは厳しいと感じたからだ(その話は別の機会に紹介しようと思う)。2つ目は、自分が日本で受けた義務教育が辛すぎてトラウマがあるからである。アメリカでは言葉で尽くせないほどの苦労を経験したが、日本で通った小学校6年間+中学校3ヶ月に比べたらどんなことでも乗り越えることができた。


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